雑誌やテレビで活躍するフードディレクターの川上ミホさん。育児を通して変わった料理への思い、軽井沢と都内との2拠点生活で気づいたこと。料理家としての活動はもちろん、さまざまな経験を積み重ねる川上さんの魅力に迫りました。
「日々の育児、娘のアレルギーを通して、みんながおいしく笑顔で食べられるシンプルなレシピが定番に」
● 川上ミホ Miho Kawakami
フードディレクター、料理家。国内外のレストランでの経験を経て独立。食のスペシャリストとして、雑誌、テレビなどで活躍するほか、レストランプロデュースや商品開発なども行う。著書に『ギルトフリーなおやつ』『キッシュトースト』(ともに文化出版局)。公式インスタグラム(miho.kawakami.5)も更新中。
「料理で無理はせず、電気圧力鍋に頼って。娘との時間を楽しむ余裕も生まれる」
川上さんがレシピ提案をしたことで出会ったという電気圧力鍋。
「『圧力鍋は扱い方を間違えると爆発する』という私の勘違いを払拭してくれました(笑)。今回作った『牛スネ肉のシチュー』はスイッチを入れてから30分ほどで完成。特にスネ肉や牛すじをやわらかくするときは、このお鍋なしでは考えられなくなりました。シチューは味噌を加えて、和食にも洋食にも合うまろやかな味に仕上げて」。
電気圧力鍋「Re・De Pot PCH-20L」2L¥13455/A-Stage
泥だらけでも楽しい!
軽井沢移住で気持ちが軽く
シンプルながらも華やかでスタイリッシュなレシピとスタイリングが魅力的な、フードディレクターの川上ミホさん。昨年、軽井沢へ移住して都内との2拠点生活をスタートし、その洗練されたライフスタイルも注目を集めています。川上さんが今や手放せないというキッチンアイテムが電気圧力鍋。
「時間をかけてコトコト煮込むのが好きだったのですが、この電気圧力鍋ならあっという間にお肉も野菜もやわらかく。出産後すぐは、仕事を頑張って、母親としてごはんもしっかり作らなきゃと、自分にプレッシャーをかけていました。でもそれでは疲れてしまうと気づき、今は頼れるアイテムは上手に使って。手を抜くのではなく、無理をしない料理との向き合い方ができるようになりました」
4歳の娘さんの育児を通して、川上さんの毎日のごはんの調理法や味つけは、より一層シンプルに、簡単になっていると言います。
「これまで料理をする際に、おいしいこと、見た目に美しいこと、安心安全なことを重視していたのですが、最近はその条件に“作り続けられること”が加わりました。娘が大好きなお芋ごはんや豚汁などの定番を大切にする、塩焼き・甘辛いタレ・揚げるなどのバリエーションは用意しておいて、季節の魚や肉と組み合わせる。いつもこまかいレシピに沿うのは大変だけど、これなら続けられるかなと。
また、娘が乳製品、卵、小麦粉、発酵していない大豆のアレルギーがあることも転機に。発覚したときはショックで、母親の腸内環境が子どものアレルギーに影響する可能性があるという記事を読んで『妊娠中にもっと気をつけていれば』と落ち込んだことも。でも、私がサポートできることはあるし、娘のアレルギーが教えてくれたこともたくさんありました。これまでは料理の仕事をしていても、食べられないものがある人のことまで思い至らなかった。おいしくなるならあれもこれも入れたいと思っていたのですが、より多くの人がおいしく、安全に食べられることを意識するように。そういった意味でも、レシピがどんどんシンプルになっていると思います」
軽井沢で生活を始めたことで、気持ちが楽になったとも。
「娘が服に小さな草をたくさんくっつけてきて取るのが大変だったり、『幼稚園で泥温泉に入った!』と全身茶色で帰ってきたり(笑)。どんなに自分が気をつけても対応できない、どうにもならないことってたくさんあるんだなと思ったら肩の力が抜けました。泥だらけで楽しそうな娘を見て、以前はできれば服を汚してほしくないと思っていたけれど、大人の都合を押しつけていたのかもしれないと。今は、そんな状況を心から楽しめるようになりました」
フードロスや環境問題……
食を軸に活動を広げたい
最近では、フードロスや環境問題など、幅広いテーマに関心を持っているそうです。
「ずっとフードロスについて何かしたいと思っていたのですが、軽井沢の環境に身を置いて心境に変化が。だんだんと考えるべき範囲が広がり、今後は環境系のNPO団体を立ち上げられればと考えています。また、子どもの食の経験をサポートする食育にも携わりたいと思います。私は、5年後、10年後の将来設計は遠すぎて考えられないのですが、目の前の気になること、やりたいことには一気にのめり込んで、集中して取り組むところがあって。失敗も多いのですが、今の自分の積み重ねが先につながると信じて進んでいきたいです」
強いエネルギーで何事にも全力で邁進する川上さん。忙しい毎日の中で、リラックスできる時間はありますか?
「定期的に、夫と二人でランチに出かける時間は大切にしています。子どもが生まれてから夫婦間の関係性が変わったなと感じていて、正直不満に思うこともあるんです。でも、レストランで落ち着いて、おいしいものを食べながらその思いを伝えると、意外と深刻な空気にならないんですよ!
気になることはその都度話し合って、心地いい関係を保っていけたらいいですね」
撮影/須藤敬一 メイク/早坂香須子(W) 調理・スタイリング/川上ミホ 取材・文/野々山 幸(TAPE)
LEE2月号『教えて! 笑顔の素』から。詳しくは2020年1/7発売LEE2月号に掲載しています。
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