今年の年末年始は実家に帰省せず、ステイホームで過ごした人は多いはず。遠方に住む家族に想いを馳せている人もいるのではないでしょうか。そんな人にぜひ観てもらいたい映画『おもいで写眞』が1月29日(金)から公開されます。
ストーリーは、東京で夢破れた主人公が、祖母が亡くなったのを機に故郷の富山へUターン。祖母の遺影がぼやけた写真だったことを後悔し、お年寄りの遺影写真を撮影する話です。“遺影写真”ではなく“おもいで写真”に変え、思い出の場所で写真を撮るお年寄りたちとの交流を通じて、主人公が自分の人生を生き直す心温まるストーリーです。吉行和子さん、古谷一行さんらが演じるお年寄りの姿に、年を重ねた両親の姿が重なり、「こんな風に感じているのかな」「親にとって大切な思い出って何だろう」など、様々な思いが巡りました。
主人公の結子を演じているのが深川麻衣さん。結子の幼なじみで、彼女を支える役所職員・星野一郎を演じているのが高良健吾さんです。
やわらかくて優しい富山弁が、キャラクターを色付けしてくれた
高良さんといえば、美しすぎる端正な顔立ちはもちろん、現代劇から時代劇まで、様々な役を演じ分ける幅広さに惚れ惚れしていました。昨今の作品だけでも、剣豪の藩士から天才作家、官僚に教師、ストーカー(!)まで、たくさんの役を演じてきましたが、今回は地方に住む役所勤めの青年役。愛らしい富山弁がとてもフレッシュで、不器用な主人公を支える姿が献身的でなんとも癒し系です。
——まず、星野一郎役を演じた感想を教えてください。
「とても楽しい役でした。富山が舞台の話だったので富山弁で話していたんですが、富山弁が柔らかくて優しくて。方言を話すことで、一郎というキャラクターができていきました。標準語で演じるのと方言で演じるのは、大きな差があるんですよね。方言が持つ言葉の力というか、言葉がキャラクターをより色づけしてくれたという印象です。ただ、方言を100%で再現できるわけはないので、そういう意味では方言に引っ張られないように意識していたし、方言に助けられているという思いもありました。富山弁に助けられ、おかげで一郎が楽しめた気もしています」
——星野は地元に尽くす青年でしたが、東京に憧れている部分があるというのも現実的でした。高良さんも熊本ご出身ですが、共感する部分はありましたか。
「都会への憧れは、地方にいる人誰もが感じていることだと思うんです。だからそれを特別に意識することはなかったのですが、一郎が地元を大切にしている気持ちの方を大切にしていました。一郎は、誰もが感じたことのある感情を表現することが多い役だったので、正直、大変だったことがそんなになくて。どちらかと言えば、結子役の深川さんの感情に反応していくことが大切だと思って演じていました」
しごかれながら主人公に近づいていく深川麻衣さん。貴重な経験だった
——深川麻衣さんとは初共演ですが、ご一緒してみていかがでしたか?
「さっきの『大変じゃない』という感想につながるんですけど、深川さんが相当大変だったんですよね。監督にしごかれていました。日に日に役に近づいていく、結子になっていく深川さんの姿を目の当たりにしていましたが、とても貴重な経験だと思いながら現場に立っていました。変わっていく人の姿を目の前で見るのは、すごい経験ですからね」
——しごかれていた……! 監督は、深川さんにどんなリクエストをしたのでしょう。
「深川さんが用意してきたものを、すんなりやるというやり方では無かったんです。監督にアイデアがたくさんあり、「そういうことじゃないんじゃない?」「結子って、こうなのかもしれない」というところから入って、それを深川さんがひたすら表現していく。ついていくのもなかなか大変だと思うし、一方で面白さもあるなと思いました。さらに、深川さんは主演でもありますから、そのプレシャーもあったんじゃないかな」
——結子は、幼少期の経験から嘘が嫌いで、撮影依頼者の間違った思い出に撮影を拒否しました。この映画のテーマの一つでもあるのが、「思い出の真偽はどうあれ、その人にとって大切な思い出であればそれでいい」と受け入れる気持ちです。
「思い出の記憶違いって、たくさんある気がします。過去を、自分の都合のいいように書き換えていることがありますからね。書き換えた過去に救われていることもあるし、引きずられている部分もある。この映画では、自分、相手、第三者の思い出の違い・価値観の違いが、とても面白く描かれています。その人にとって大切であれば、第三者は何も言う権利がないんですよね。相手の大切なものを大切にできるようになるのが、結子の成長だったんです」
——そういうことって、よくある気がします。つい「それはおかしい」「間違ってるよ」と突っ込みたくなりますが。
「自分らしさ、自分が大切にしているもの・人・場所。そういったものは他人に何を言われようと、自分にとって大切であればそれでいい。自分の意見を突き通していいんです。もちろん、人の意見が自分の意見に変わる時もあるけど、それも悪いことじゃない。恥ずかしいことではないんだから、自分が大切にしているものを堂々と大切にして欲しいです。逆に、自分以外の人の大切なものを否定したり、ジャッジしたりする権利はないと思います」
——本当にその通りですね。ちなみにそれは、役者の仕事にもつながりますか。
「そうですね、役者にとっての“自分らしさ”って言葉や文字にするのが難しいと思います。自分が思っている“自分らしさ”と、周りの人が思っている『高良はこうじゃない?』『高良らしさって、こうでしょ』が、全然違っていたりするんです。それは、思い出や記憶の違いにもつながると思うんです。そういう部分があっても『自分はこう思う』『大切だったらそれでいいじゃん』と、割り切る部分があっていいのかなと作品を観ました」
朝一番のモーニングルーティンは、あったかいお茶。おすすめの作品は……!
——コロナ禍の今、昨年の自粛期間に続いて、今またステイホームが求められています。高良さんは、ステイホームを健やかに過ごすために気をつけていることはありますか。
「僕はそんなに早起きじゃないのですが、朝起きて、掃除して、洗濯をする。毎日のスタートに、それをきちんとするだけで気分がいいですよね。他にはドライブとか、公園を散歩とか、映画を観るとか。あとは、ネガティブな文字は読まないようにしていますね。『あ、これちょっとネガティブぽいな』と思うと、途中で読むのを止めます。ニュースや報道を見ていると、それが生活のメインのように感じてしまいますよね。近くの人と話すと、案外それとは真逆に感じている人もいますし、全員がそう思っているわけではない。自分で情報を選んで、コントロールする必要もあるのかなと思います」
——最近はモーニングルーティンが流行っていますが、高良さんが朝起きて一番にやることは何ですか。
「(少し考えてから……)顔を洗った後、お湯を沸かして、あったかいお茶を飲みますね。緑茶や味のついたもの、ティーパックのお茶、白湯を飲むこともあります。季節によって飲むものは変わりますけど、寒い時期はあたたかいお茶ですね。無意識のうちにそれが習慣になりました。そうすることで、スッキリ目が覚めます」
——以前に高良さんがおすすめしていた映画がとても好きだったのですが、最近観て良かった作品はありますか。ステイホーム中に観たいです!
「映画は新しい作品を追えていなくて、昔の作品を観直すことが多いです。映画じゃないですが、『水曜どうでしょう』は、すごく面白いですね! これまであまり観たことがなかったんですけど、4月に緊急事態宣言が出た時に見始めたんですが、みんなが面白いと言っている理由が分かりました! 見ていなかった分、たくさんエピソードがあったし、最近また新しいのも出ましたしね。
『水曜どうでしょう』は、旅をするじゃないですか。僕も旅が好きなので、今は一番それができなくて辛いんですけど、代わりに旅気分が味わえるというか。結構、変な旅の仕方をするんですけど、僕もああいう自由な旅が好きで(笑)。遅めの“水どう”デビューでしたが、本当面白くて元気がもらえます。自粛期間にすごく救われましたね」
——高良さんから『水曜どうでしょう』をおすすめいただけるとは(笑)!自由に旅に行けない今は、旅モノがリフレッシュにぴったりですね。
旅はもちろん、遠くに住む家族に会えるのは、まだ先かもしれません。映画『おもいで写眞』をきっかけに家族に会える日を待ちわびながら、それぞれの気持ちに、どう付き合い、寄り添っていくかを考えるのも良い機会だと思います。両親や祖父母は、年を重ねたことで変わってしまったこともあるかもしれません。しかし過去にとらわれず、今大事にすることがそれぞれにとっての幸せであることを忘れてはいけないなと思いました。高良さんのフレッシュな青年役とともに、映画『おもいで写眞』をぜひ楽しんでくださいね。
さらに! 高良さんは、2月からスタートする大河ドラマ『青天を衝け』に出演、映画『あのこは貴族』(2/26公開)『くれなずめ』(GW公開)が待機中です。2021年の活躍からも目が離せません!
映画『おもいで写眞』
- 監督・脚本:熊澤尚人
- 出演:深川⿇⾐ ⾼良健吾 ⾹⾥奈 井浦新 古⾕⼀⾏/吉⾏和⼦
- 2021年1月29日(金)より全国ロードショー
- URL:http://omoide-movie.com
©「おもいで写眞」製作委員会
撮影/菅原有希子
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武田由紀子 Yukiko Takeda
編集者・ライター
1978年、富山県生まれ。出版社や編集プロダクション勤務、WEBメディア運営を経てフリーに。子育て雑誌やブランドカタログの編集・ライティングほか、映画関連のインタビューやコラム執筆などを担当。夫、10歳娘&7歳息子の4人暮らし。