性教育が必要なことはわかったけれど、何から始めればいいの? どう伝えれば? 具体的な方法や子どもへの声かけの仕方を、性教育アドバイザーののじまなみさんが伝授します!
おうちで伝える「自分を守る」性教育
【弁護士 太田啓子さんインタビュー】これからの男の子たちに必要な性教育とは?
SHELLYさんインタビュー「性教育をタブー視しない! 情報は正しく伝えて」
この記事は2020年11月7日発売LEE12月号の再掲載です。
教えてくれたのは…
性教育アドバイザー のじまなみさん
「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」代表理事。国内外1万人のお母さんたちに性教育を伝える。『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)など著書も多数。13歳、11歳、5歳の3姉妹の母。
体の違いを実際に目で見て理解しながら話ができる
「お風呂は、絶好の性教育の場所です!」と話すのじまさん。
「特に小さい頃は、なかなか落ち着いて話ができませんよね。特に男の子は、逃げてしまってまともには聞いてくれません。お風呂のような狭い空間なら、集中して話せるし、ゲームもテレビもなく気が散らないので、性教育をするにはぴったりです。
また、お風呂は親も子どもも裸になるので、子どもが具体的に目で見て理解をしながら、いろいろな話ができます。
『なぜあなたにはおちんちんがあってママにはないのか』『ママのおっぱいはなぜ膨らんでいるのか』など、体の違いから性教育がしやすい。血が流れるのが見えるので、生理の話もしやすいですよね」
さらに、男女の兄弟の場合も差はつけず、同じように性教育をしてほしいとのこと。
「男の子のことも女の子のことも、まったく同じ内容で、同じように話してください。お互いの体の仕組みを知ることで、理解し合うのが性教育の目的のひとつです。
年齢でも区切ることはないですが、10歳以降は異性の親とは一緒にお風呂に入らないほうがいい。あえて性教育の時間やタイミングをつくってもいいかもしれません」
性教育で大切なことのひとつは、子どもに防犯意識を持たせること。そのために「自分の体にはプライベートな大切な場所がある」ことを理解しなければいけません。それが「水着ゾーン」です。
水着ゾーンは人に見せても触らせてもいけない、無理やり触ろうとする人は危険だと、身を守る基準を教えることができます。
また、友達にとっても大事な場所だと伝えることで、ふざけてキスをしたり、嫌がるのに体を触ったりすることがなくなります。
LEEメンバー478人が回答!
Q これまで水着ゾーンの話を子どもにしたことがある?
YESと答えたのは約4割で、半数以上は、水着ゾーンについて話したことがないと回答。
性教育に関心はあっても、やり方がわからない、防犯のために水着ゾーンについて話すことの重要性を知らないという人が大半のよう。
話したことがある人は「絵本に書いてあったので、一緒に読みながら教えた」「スイミングスクールに入るときに、人前で着替えなどしないようにと話した」などのケースが。
また「深い意味はなく、そもそも人に気安く触れさせるものではないと教えている」との声も。このように、自然に大切なことを伝えられると安心かも。
子どもから特に質問をされなくても、体を洗いながら、洗っているところについて話すと、性教育がしやすいはずです。
「おまたを洗うときは、尿道口、膣、肛門の順番で洗ってね」「おちんちんはきれいに洗おうね。おちんちんには何があるんだっけ? 命の種がつくられるところだね」など、短い言葉で、端的に知識を与えてあげるのもおすすめです。
体の違い、生理のこと、命のことなど、気負わず何でも話してみてください。
3歳以降は、トイレトレーニングなどでパンツを汚したら、自分で「パンツを洗う」ことを習慣にしましょう。
最初は風呂桶につけるだけでもOK。慣れておくと、思春期に精通が始まってパンツを汚しても自分で洗えるので、変に恥ずかしいと思ったり、気まずさを感じることがなくなります。女の子も生理でパンツを汚しても、自分で洗えれば気まずさがありません。
少し大きくなったら、パンツ洗いをきっかけに、精通や生理について話してあげましょう。
「精通」とは…
「生まれたときから、あなたには赤ちゃんの種(精子)をつくる場所があるの。それを精巣っていうんだよ。
10歳くらいになると男性ホルモンが出始めて、声変わりが起きたり、ヒゲが生えたり、骨格ががっちりしたりして大人の体に近づいていくんだよ。
精巣ではね、精子の製造が始まるの。年中無休で働いているんだよ! おちんちんの先っぽから初めて精子が出ることを精通っていうの。これでトンネル開通! それまでは出なかった精子が出るようになるんだよ」
「生理」とは…
「女の子は1カ月に1個、卵巣から卵子が出てくるんだよ。卵子は赤ちゃんのもとだから、やさしく迎えてあげたいよね。だから子宮では、ふかふかのベッドをつくって待っているの。
でも、卵子が精子と出会わなくて、受精卵っていう赤ちゃんの卵にならなかったら、そのベッドはいらなくなってしまうんだ。だから経血となって体の外に出ていくんだよ。
毎月毎月赤ちゃんの卵のベッドを新品のふかふかにしてあげているの。これが生理だよ。生理は『赤ちゃんの卵のベッドの交換期』なんだね」
LEEメンバー478人が回答!
Q 生理のことを子どもに説明したことがある?
生理について話したことがある人の中には、子どもが幼児期や小学校低学年で「一緒にお風呂に入れない、湯船につかれないので、それはなぜかということで話した」というケースが。具体的な生理の仕組みまで説明したという人は、あまり多くはないよう。
思春期以降の娘がいる人は「きちんと話したのは、11歳で学校で生理の授業があったとき」「12歳で初潮を迎えたら」「中学生になったら娘自身がオープンでよく話す」という声が多かった。
一方、男の子には「話す機会がないまま、大きくなって思春期を迎えてしまった」なんてことも!
性教育についてオープンでなかったママ世代には、性にまつわる言葉が言いにくいという人が多数。これは、慣れるしかありません。ペニスと膣が言えないと、セックスや防犯の説明もできない。ペニスと膣がおたまとしゃもじぐらい当たり前に言えるようになるといいですね。
あとは、実は聞き慣れることも大事。私が開催している性教育の講演ではまず言葉に慣れてもらうようにしています。
Q 赤ちゃんはどうやってできるの?
「赤ちゃんはね、男の人のおちんちんが女の人の膣に入ってできるんだよ。男の人のおちんちんにある精子と女の人の中にある卵子がくっついて、赤ちゃんになるんだよ」
Q 赤ちゃんはどこから生まれるの?
「女の人の性器には3つの穴があるんだよ。おしっこの穴、赤ちゃんを産む穴、うんちの穴、この3つだよ。赤ちゃんを産む穴は膣といってね、女の子と女の人にしかないんだよ。ここから赤ちゃんが出てくるんだね」
おうちで伝える「自分を守る」性教育
【弁護士 太田啓子さんインタビュー】これからの男の子たちに必要な性教育とは?
SHELLYさんインタビュー「性教育をタブー視しない! 情報は正しく伝えて」
撮影/HAL KUZUYA ヘア&メイク/杉山えみ イラストレーション/曽根 愛 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年11月7日発売LEE12月号の再掲載です。
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