今月22日は、約20年に一度起こる「グレートコンジャンクション」の日
ウイルスに振り回された2020年も残りわずかとなりました。みなさまにはお元気でお過ごしでしょうか。
今回は、今月22日にみずがめ座で起こるグレートコンジャンクションと風の時代の生き方について書いてみたいと思います。
ちょっと専門的な話にはなりますが、占星術で使う12星座には度数があって、ひとつの星座が30度あります。グレートコンジャンクションとは土星と木星が同じ度数で出会うことなのですが、これが周期的なもので、約20年に一度起こります。1981年をのぞいて、約200年土の星座で起こっていたのが2020年からは風の星座で起こるので、これからは風の時代に入るとも言われているのです。今、ちょっと星占いが好きな人と話をすると、口を揃えて、「風の時代」について知りたがる。それくらい一般にも知られてきているんだなと思います。
怖がったり、慌てたりすることなく、「風の時代」へと意識を切り替えて
風の星座とはふたご座、てんびん座、みずがめ座のことで、今回のグレートコンジャンクションはみずがめ座で起こります。200年ぶりと言うと大きなことに感じられますし、確かに意識の切り替えのタイミングですが、怖がることはないと思っています。星が動きを止めることがないように、時代はいつも変わっているのですから。
と言うのも、生まれたときのホロスコープでふたご座に土星、てんびん座に天王星、みずがめ座に火星があり、グランドトラインという三角形を形成している私は、生を受けて以来、ひとりで風の時代をやっているようなもの。「上場企業に入り、事務職でお勤めしたら、適齢期で結婚して家庭に入る。仕事は家計の足しになるよう扶養範囲で」。そんな母や私世代の女性のロールモデルもどこ吹く風で好きなように生きてきてしまいました。風の時代になるからと言って、そんなに大騒ぎすることがそもそも風の時代っぽくないのではと思ってしまうのですけど。でも、風の星座の自由さがこんな風に固定されるのも、現実化とルールの星・土星がみずがめ座に入る意味なのかもしれません。土星はひとつ前のやぎ座の守護星でもあり、その星座の性質を形にしようとしますから。
多くの人の意識がもっと自由になりたいと望むように
「多くの人が勘違いしていて、SNSでつながろうなんてことばかり言っているけど、占星術での風はウインドではなく、エアー(空気)なんだよね」とは占星術家のSUGARくんの言葉。つまり、私たちは今、空気を規定するという難しい話をしているんですね。みずがめ座は多様性を表し、風の時代の生き方なんて、とてもひとつにはまとまらない。マニュアルもない。そんな中でどう生きていくのがベストなのか、みんなが探っている。
そんな前提はしつつも、敢えて語ってみると、やぎ座からみずがめ座へのスイッチが起こるというのはやはり絶対的なことだなと感じます。やぎ座は、てっぺんを取りたい星座ですから、過労死するくらいがんばって、ローカルな社会の中でポジショニングを取ろうとする。名前を得て、有名になることも好むでしょう。それが2008年に冥王星がやぎ座に入って以来、多くの人の潜在意識に働いていた心理でした。でも、2017年の末にやぎ座に土星が入ってからは、全部を欲しがってもそれは物理的に無理だと多くの人が気づき始めているのがこの「星がたり」が更新される12月7日の段階だと思います。
今月22日に土星と木星がみずがめ座で出会うと、多くの人の意識がそんな「てっぺんを取りたい意識」「名前を得たい意識」から離れます。成功や達成に多くの人が夢を抱かなくなり、もっと自由になりたいと望むのです。ロールモデルを離れ、自分らしさを考えるようになるでしょう。
さまざまな人との対話が、価値観を更新し「自分を生きる」ことにつながる
そう、でも、ここで「自分らしさ」が出てきます。「自分らしさ」こそ多様性の最たるもの。人の数だけ「自分らしさ」がありますし、他者から学ぶものではない。親から教わるものでもないからです。以前、セッションにいらしたご夫婦でこんな方たちがいました。上場企業に勤める男性は、「大学を卒業して、結婚して、子どもをもち、家を建てる」という「社会でよいとされている生き方」以外、考えたこともなかったと話してくれたのです。だから、奥さんにも「子どもを産んで当然」と要求していて、「子どもが欲しくない」という奥さんが受け入れられなかったそうです。一方、女性の側も好きな仕事をしつつも、その仕事での収入は月に5万円ほどで自分のお小遣いに遣っている。「男だから当然」と生活費は夫に頼っていたこと。夫が猛烈に働いて、くたくたになっている中、自分は週に数回しか働いていなかったこと。セッションを通じて、そんな自分の不自然な不公平さに気づいたと話してくれました。「私が昔ながらの生き方をして、夫に役割を求めていたら、夫も私に役割を求めて、子どもを押しつけてきますよね」と。
これはちょっと極端な例かもしれません。子どもの問題も働き方も、普通は、結婚前にすり合わせをしておくようなことだからです。でも、ここまでではなくても、自分の常識や思い込みで、男女の役割分担を相手に押しつけたり、これまでの社会のロールモデルを自分も生きて当然と考えたりということは誰しもある気がしています。風の時代に大切なのは、まずそんな常識や思い込みから離れることだと思うのです。新しい価値観を手に入れるためにはまずさまざまな人の話を聞き、否定せずにそれを受け入れること。その中で自分らしい生き方がきっと見えてきます。
そこで大切になるのはきっと優しさ。たとえば、私が若いとき、女性はすぐに辞めてしまうからと教育はしてもらえない風潮がありました。海外留学などに行かせてもらい、経験値を積めるのは男性か、本当に優秀なごく一部のキャリア女性でした。社会がそうだったのに、今になって急に男女平等とか女性活躍なんて言われても、という人の気持ちもよくわかります。意識だけが変わっても、私たちの文化はなかなか変わらない現状の中、女性や子どもなどまだまだ弱い立場になりやすい人たちに対し、いかに優しい目線をもてるか。それが問われるのかもしれないなとも思うのです。それは男性に対しても同じ。経済がよくならない中で懸命に働き、職場でも家庭でももち場を守っている人たちがきっとほとんどです。コロナで職を失った方たち、ショックから立ち止まってしまった人たちも大勢いるはずで、社会全体で考えていかないといけないとしみじみ思います。
(次回は、1月7日に更新)
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Saya Saya
アストロロジー・ライター
1971年生まれ。おとめ座。現在は、京都で夫とふたり暮らし。雑誌連載のほか、オンライン講座や、ホロスコープ・リーディングのセッションを行う。著書に「星を味方につける生き方、暮らし方」(集英社)など多数。
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