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おうちで伝える「自分を守る」性教育

【おうちで伝える「自分を守る」性教育】はまじが性教育アドバイザーのじまなみさんと対談

  • 浜島直子

  • LEE編集部

2021.01.03 更新日:2023.09.04

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3歳7歳10歳……タイミングはまだあります! おうちで伝える「自分を守る」性教育

性犯罪が、毎日のようにニュースになる昨今。幼い子どもたちへの被害も、後を絶ちません。

また、同意のない性交渉が問題となり、“性的同意”という新たな概念も。こんな時代、私たちが子どもたちにできることのひとつが“性教育”です。

30〜40代の女性の多くは、“性教育”と聞くと、まだまだ積極的に子どもと話すことをためらってしまうかもしれません。でも性について学ぶことは、自分の体を知り、身を守る術(すべ)を学ぶための第一歩。

子どもの未来のためにも、おうちで性教育に取り組んでみませんか?

6歳の息子の性教育に関心! モデルはまじが「ずっと会いたかった」のじまなみさんと対談

これからは性教育が絶対必要! 息子にどう伝えれば? 浜島直子さん 性教育を明るく楽しく伝えています! のじまなみさん

(右)モデル 浜島直子さん

1976年9月12日、北海道生まれ。モデルとしてLEEをはじめ、数多くの女性誌で活躍。『暮らしのレシピ』(TBS)、『あさイチ』(NHK)などテレビ出演も。発売中の初の随筆集『蝶の粉』(mille books)が好評。6歳の男の子ママ。

(左)性教育アドバイザー のじまなみさん

「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」代表理事。国内外1万人のお母さんたちに性教育を伝える。『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)など著書も多数。13歳、11歳、5歳の3姉妹の母。

生理のときは、性教育ができる絶好のチャンス!

浜島 のじまさんの著書『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』を読んでからずっとお会いしたくて。今日は楽しみにしていました!

のじま すごくうれしいです! 本を読んでくれたきっかけは何だったんですか?

浜島 息子が幼なじみの女の子の家に遊びに行ったとき、トイレで息子が「怖いからドアを閉めないで」と言うので、その女の子と私で見守っていたんです。

すると、女の子は息子をじっと見て「おしっこが出た〜」と喜んでいて。このときに、これってありなのかなと。6歳に性を感じている自分もどうなのかなと思ったり……。

のじま 戸惑ってしまったんですね。わかります。

浜島 それで、知り合いに相談したらこの本をすすめられて。ものすごく参考になりました! 性教育の始めどきは3〜6歳とあったから今だ!と。

のじま もちろんその年齢以降でもぜひ性教育を始めてほしいのですが、小さいほうが先入観なく素直に聞いて、受け止めることができる。

「早熟な子になるんじゃ」「外で卑猥な言葉を言うかも」という声があるのですが、その心配は必要ないと思います。

浜島 私はこれまで、自分が生理のときは息子に「今日はおなかが痛い日だから、お父さんとお風呂に入ってね」と話していたんです。でも本を読んで、むしろ生理のときは性教育ができるチャンスなんだと知って、あえて一緒に入るように。すると「なんで股から血が出るの?」と聞かれたので、来た!と。

のじまさんの本にあるように「いい質問だね!」から始めて「女の人にはおしっこの穴、うんちの穴、赤ちゃんが通る穴の3つがあってね。赤ちゃんが通る穴の奥にはお布団が敷いてあって、お布団に赤ちゃんが来なかったらバイバイしなきゃいけない。それが生理ってことで、血となって出るんだよ」と説明できました!

のじま さすが! 100点の回答です! 親が拒絶をしたり恥ずかしがると、子どもは「聞いてはいけないことなんだ」と思い、性によくないイメージを持ってしまいます。まずは「いい質問」だと受け止めるのが○。

また、説明がないままで生理の血を見ると、子どもはお母さんが病気になったと思って、トラウマになってしまうことも。

どうして子どもができるのかやセックスについても、幼いからといって話せないことは何もないので、ぜひ正しい知識を伝えてあげましょう。

浜島 私は、性教育をすることで、自分自身も気持ちが楽になると思いました。生理のときは隠さなきゃ、お風呂に一緒に入れないということから解放されて、ストレスが減ったんです。

赤ちゃんはどこから来るの?と聞かれてもきちんと真実を伝えられれば、ごまかしていつか教えなきゃ、というドキドキもなくなります。性教育は子どもにも親にも、メリットばかりだと思います。

性教育を始めてから、隠さなきゃ、いつか伝えなきゃというストレスがなくなりました 浜島直子さん

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ネットの情報が正しい!? 子どもを性犯罪者にしない

浜島 のじまさんは、なぜ性教育を始めようと思ったのですか?

のじま 私はもともと看護師で生理や精通のこと、体の仕組みについては娘たちに教えていたのですが、セックスのことだけは壁で話せないでいたんですね。そんなある日、娘たちがパソコンでアニメを見ていたら、アダルトサイトにつながったようで見ていたんです!!

浜島 それは……驚きますね。

のじま セックスの話をしなきゃと思っていたのに、ななめ上から切り込まれたような衝撃で。子どもたちが慣れ親しんでいる動画から、こんなにも簡単にアダルトなものにたどり着くことを身をもって知りました。

すぐにタブレットやスマホが手に取れる時代です。子どもはインターネットから情報を得て、書いてあることは100%正しいと思い込んでしまうんですね。正しい知識があれば、おかしいとわかることも信じてしまうのが子どもたち。こんな危険なことはないなと。

浜島 怖すぎる……。それで、きちんと性教育をしたいと思ったんですね。

のじま そうなんです。あとは、性教育は愛情を伝える教育、コミュニケーション教育でもあると思っているんです。いつもセックスの話をするわけではなくて「あなたが大好き」「愛している」と伝えるだけでもいい。

浜島 それがどうして性教育になるんですか?

のじま 愛情を感じられれば、相手を思いやることができて、相手の嫌がることがわかるようになります。性犯罪の被害者、加害者にならないためにも、人との距離感を学ぶことは大切。

例えば、小学3〜4年生になると妊娠した先生に向かって「先生、セックスしたの?」なんて言う子が出てきます。特に男の子はその場のノリで、友達に合わせてふざけてしまうこともある。そんなときにも、性教育で愛情や距離感が伝わっていれば、ここからは言っちゃいけないという境界線がわかるんです。

将来息子が女性に「生理?なんで俺とセックスできないの?」なんて言ったら、嫌じゃないですか!

浜島 なるほど! 人の痛みがわかって、傷つけてしまうことがなくなるんですね。私は、のじまさんの本を読んで、命の誕生にまつわる話が、子どもの自己肯定感につながるとあったのが印象的で。

のじま これもひとつの愛情教育ですよね。

浜島 赤ちゃんができる仕組みってどうしても話しづらかったのですが、本にあるように「お父さんのおちんちんから種が出て、お母さんの膣に入ってお布団にちゃんと入ってくれてあなたが誕生したの。でもね、すごい戦いだったんだよ。あなたは1等賞なの。生まれてきてくれてうれしい、最高ー!」と伝えています。

のじま 素晴らしい! 大人は性の話にアダルトなイメージばかり持ってしまうけれど、子どもはただ自分の成り立ちや、生まれたときのことが知りたいだけ。だから「赤ちゃんってどうやってできるの?」と質問するんです。

変に隠さず仕組みを説明して、あなたは愛されて生まれてきたんだと、ぜひ伝えてあげてください。

性教育は愛情教育のひとつ。相手の痛みがわかるようになります のじまなみさん

息子の包茎はどうする? 夫には期待できない性教育

浜島 ほかにも、のじまさんに聞きたいことが! 他人に見せても触らせてもいけない「水着ゾーン(下記参照)」。今もお風呂で私が洗っているのですが、本当は親も触らないほうがいいですか?

のじま 4歳以降は自分で洗えるように伝えていますが、まだきれいには洗えませんよね。洗い方を教えることも親の役目です。男の子なら皮をむくことも少しずつ教えて。

浜島 皮をむく!?

のじま 生まれてそのままの状態のおちんちんは包茎です。将来、勃起したときに痛くないように半分ぐらいまでむくんです。女性はわからないのですが、皮膚をはがすのと一緒なので、最初はとても痛い。お風呂で皮膚がやわらかくなっているときに、少しずつやっていくのがいいと思います。

浜島 知らなかった! そのあたりはお父さんに任せようかと……。

のじま 今のお父さん世代は、包茎の知識がほとんどない人が多いように感じます。性教育については、できないと思ったほうがいいかもしれません。

浜島 確かにうちの夫も典型的な日本男性で「性教育なんてまだ早い」というタイプです。

のじま それが一番スタンダードだと思います。中には、性教育に嫌悪感を示す夫もいるほど。自然に知っていくと思っているし、夫自身が正しい知識を持っていないから、苦手意識を持っている人も多いですね。

浜島 夫にも知識がないと思ったほうがいいですね。そのほうが、こちらのストレスもたまらないかも。

のじま 妻のほうから「子どもでもこれだけ性犯罪にあう時代。加害者にも被害者にもならないように教えていきたい。今のスタンダードは幼稚園からなんだよ。私が性教育するから、応援してくれる?」と宣言をして。突然始めると戸惑う男性も多いので、最初にママから宣言して、話し合いをしておくのがいいと思います。

浜島 難しいですね。ママだって知らないことはたくさんあるし、恥ずかしいんですけどね! 最初は私も性にまつわる言葉を発するのに抵抗があったんです。でも、のじまさんの本を読んで、慣れれば「ペニスと膣がおたまとしゃもじぐらい普通になる」とあって、なるほどと! 戸惑いつつも、実際に息子に話してみたら、確かに意外になんてことなかった。

日本は社会全体が性に対してオープンじゃないから、ママたちも必要以上に身構えてしまう気がします。

のじま 言葉は慣れなんですよ! 日々繰り返していくことで、どんどん慣れます。よく「性教育のきっかけがない」という相談も受けるんですけど、実は日常のいろいろなタイミングで話すことはたくさんあります。子どものちょっとした発言をぜひ拾ってあげてみてください。

浜島 例えば、どんなふうに話せばいいですか?

のじま わが家の5歳の末娘がパンツの中を見て「いつになったらおちんちんが生えてくるの?」と聞いてきたときがあったんです。「女の子だから生えないよ。憧れる? おちんちん欲しいの?」と聞くと「欲しい」と(笑)。自分にないものに憧れるんですね。

ここから「そこは水着ゾーンだから誰にも触らせちゃダメだよ」といった防犯の話をしてもいい。性教育のゴールがわからないともよく聞くのですが、“愛・防犯・命”のどこかに終着させるといいのかなと思います。難しく考えてきっかけを探りすぎずに、言葉を尽くして伝えてみて!

浜島 のじまさんのお話を聞いていると性教育に前向きになれます。私も息子にもっといろいろと話してみます!
水着ゾーンの定義 1 他人に見せても触らせてもいけない、自分だけの大事な場所 2 「口」と「水着を着て隠れる場所」を指す 3 男の子も女の子も、口、胸、性器、おしり

LEEメンバー478人が回答!
Q あなたは子どもの性教育について関心がありますか?

かなりある 32% まあある 52% あまりない 10% まったくない 6% 読者の約8割が「関心あり」と回答 答えてくれた人の子どもの年齢 0-2歳 88人 3-6歳 109人 小学1-2年 75人 小学3-4年 75人 小学5-6年 52人 中学生以上 79人

「かなりある」「まあある」を合わせると約8割の読者が関心あり。ただし、性教育をスタートする年齢に関しては考え方に違いが。

「最近は、低年齢で犯罪の被害にあう話を近所でも聞くので、早くから始めたい」「小さい頃のほうが、変な先入観なく聞いてくれそう」と3〜6歳の幼児から始めたいという声と、「ある程度、物事がわかる年齢になってからのほうが伝わると思う」と小学校低学年、「早いと生理が始まる子もいるから」と小学校中学年からと、意見もさまざま。

思春期ママからは「もっと早く話しておけばよかったと悔やまれる」なんて声も。

Q 性教育は学校だけでなく家庭でも積極的にすべきだと思っている?

YES 87% NO 13% 学校での性教育で足りないことはみんなわかってる!

小学校の性教育では、いわゆる「第二次性徴」という体の変化についてのみ教えて、セックスや子どもができる仕組みは教えないという現状。多くの読者がそこは理解していて、家庭でも性教育の必要性を感じているよう。

「学校でのステレオタイプな教育では不十分だと思う」「大切なことなので親の口からもきちんと伝えたい」「ドラマのキスシーンなどを見て、子どもに聞かれるので恥ずかしがらないようにしている」などの声が。

また、「万が一、妊娠などの問題が起きたら親の責任問題になるので、家庭でも教育が必要」と危機意識を持っている人も。

Q 夫と子どもの性教育について話し合ったことがある?

YES 32% NO 68% 夫とは性教育についての価値観が合わない!

なんと約7割が「話し合ったことがない」と回答。思った以上に夫婦での意思疎通はされていない様子。「性のことは子どもが自分で自然に覚えると思っているよう」「必要以上に嫌がって、恥ずかしがる」などの声が。

また「夫は子どもっぽくて下ネタを子どもの前でも話す。オープンだけど下世話すぎるのでなんだか不安に……」なんて心配もあり。

中には「このアンケートをきっかけに、性犯罪や望まない妊娠も増えていて人生に影響大なので、正しい知識は必要だよねと話した」なんてエピソードもあり、きっかけを見つけて一度話し合ってみることは必要かも。

最初は恥ずかしい! でも言い慣れてくると、性教育に前向きになれる 浜島直子さん

性教育の終着点は“愛・防犯・命”きっかけを探りすぎずに、日常の中で自然に話して のじまなみさん

まとめ 1)性教育とは「愛情」「防犯」「命」を伝えること。決して恥ずかしくはない! 2)「生まれてきてくれてありがとう」と言うことも性教育 3)性教育で子どもは人の痛みを知る。やってはいけないことの境界線がわかるように


撮影/HAL KUZUYA ヘア&メイク/ナライユミ(浜島さん) 杉山えみ(のじまさん) スタイリスト/福田麻琴(浜島さん) 取材・原文/野々山 幸(TAPE)

この記事は2020年11月7日発売LEE12月号の再掲載です。

おしゃれも暮らしも自分らしく!

LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
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