企業で働きながら、第2子妊娠中に再発、治療をしながらの出産を経験した山梨富美さん。
仕事、育児、治療に日々奮闘する山梨さんに、当時の思いやこれからに暮らしについてお話をうかがいました。
この記事は2020年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。
体験者にインタビュー
仕事を辞める選択肢はなかった。治療とのバランスを取って続けたい
お話をうかがったのは・・・
山梨富美さん
1976年生まれ。日産自動車(株)にて勤務。5歳の女の子、2歳の男の子の母。闘病を綴ったブログには、これまでのがんの経緯や思いのほか、山梨さんと同じく妊娠中に抗がん剤を使ったママの声などためになる情報も。
第2子妊娠中に再発、できる治療はやろうと決断
第1子を出産後に一度目の乳がんがわかり、両側乳房を全摘再建、第2子妊娠中に肝臓に転移があるステージⅣで再発。
30回以上の抗がん剤治療でがん細胞はなくなったものの、今年2月に骨盤への骨転移で再々発し、現在は3度目の治療中だという山梨さん。
「最初は第1子の育休中だったのですが、再発時は第2子を妊娠しながら仕事をしていたので告知を受けたときはパニックに。
上司に『私死ぬかもしれないので、仕事をしている場合じゃないんです』と直球で伝えて、早めに産休に入らせてもらうことに。
結局、治療が始まったら体調も落ち着いてきたのですが、慌てすぎて周りを驚かせてしまいました」(山梨富美さん)
妊娠中に抗がん剤を使うという治療の選択には、葛藤や迷いも
「妊娠中の抗がん剤の使用については、自分でも文献やネットでいろいろと調べました。
説明では胎盤を通さない種類ということだったのですが、生まれた子どもの10年後、20年後のことはわからないことも多い。不安ではあったものの、上の娘もまだ小さいしできることはすべてやろうと決断しました。
生まれた息子はダウン症候群だったのですが、これは、妊娠中の抗がん剤とは関係がありません。
誤解のないように、ダウン症は抗がん剤を使う前から決まっていたことなので、ということは、私のブログなどでもお伝えするようにしています」(山梨富美さん)
\再発、治療を乗り越えて無事に誕生!/
私が闘病していることで子どもを不安にさせない
今年2月に骨盤への転移がわかった際には精神的なダメージが大きく、出社ができない日も。
「仕事をしなければと思ったのですが、体が拒否反応を示したので休みました。
このままだと子どもの前で笑えないと思ったので、以前からお世話になっていたマギーズ東京へ。
わかってくれる人に話を聞いてもらうと気持ちがラクになり、ひとりでゆっくり横にならせてもらうことで気持ちが落ち着きました。元気に笑って子どもたちに会えるように、そのための休息だったと思います」(山梨富美さん)
「私は、病気のことや治療については子どもたちに隠さないし、体調が悪いときは堂々と『しんどいから寝るね』と伝えるんです。
でも、気持ちが沈んでいるところはできるだけ見せたくないなと。私が闘病していることで、子どもたちを不安な気持ちにはさせたくないといつも思っています」(山梨富美さん)
育児、治療、仕事…うまく両立していきたい
現在は骨盤転移したがんのホルモン治療中で、副作用と付き合いながら、仕事も継続しているという山梨さん。
「私はもともと仕事が好きだし、これまでどんなに治療がつらくても仕事を辞めようと思ったことはないので、これからもうまく両立していきたい。
4月から希望していたダイバーシティ・ディベロップメント・オフィスに異動になりました。育児や介護、治療との両立に悩む社員をサポートしていきたいです。
さまざまな面で助けられているので、今後も自分のペースで仕事を続けて貢献していきたいと思っています」(山梨富美さん)
\息子の2歳記念に家族4人で撮影!/
取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年7月7日発売LEE8月号『がんと暮らす』の再掲載です。
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