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がんと暮らす

がんの相談が無料でできる場所"マギーズ東京"とは?

  • LEE編集部

2020.11.26

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自分や身近な人ががんとなったとき、なかなか冷静ではいられないもの。今の生活や治療のこと、今後のライフプランなど、不安に思うことはたくさんありますよね。

そんなとき、無料で利用できる、がん患者のための施設があることはご存じですか?

今回は、「マギーズ東京」共同代表の鈴木美穂さんに、設立までの経緯や、その強い思いを教えてもらいました。

この記事は2020年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。


共同代表の鈴木美穂さんに聞きました
がんの相談ができる場所"マギーズ東京"とは?

教えてくれたのは・・・
認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事
元日本テレビ記者・キャスター
鈴木美穂さん

24歳で乳がんに。休職して治療を行い、復職後にマギーズ東京をオープン。2018年に日本テレビ退社後はがん情報を広めるCancerXを立ち上げる。著書に『もしすべてのことに意味があるなら―がんがわたしに教えてくれたこと』(ダイヤモンド社)。

がんになっても安心して相談できる場所

日本テレビの記者として活躍を始めた頃、24歳という若さで乳がんが発覚した鈴木さん。自身が治療中に欲しかった場所を作りたい、という思いから、2016年にマギーズ東京をオープン。マギーズ東京とはどんなところなのでしょうか?

「イギリスで始まった、がん患者やその家族などのがんに影響を受けた人たちが、予約なしで訪れて無料で利用できる施設です。

がんに詳しい看護師、心理士などの専門家が常駐し、忙しい病院の先生にはじっくり聞きづらい相談や、不安をやわらげるプログラムを受けることができます。

温かみのある木造で建築にもこだわり、がん患者が心から癒される場所を目指しました。
昨今は、毎日20~30人が訪れてスタッフと話したり、時には泣いたり、ただゆっくりと体と心を休める方も。
もしがんになっても、こんなふうに安心して相談できる場所があるということは多くの方に知ってほしいです」(鈴木美穂さん)

マギーズ東京


https://maggiestokyo.org/

予約なし、無料で利用ができるがん患者やその家族のための施設。常駐の看護師や心理士が親身になって相談に乗ってくれる。
地方在住で来訪が難しい場合は、無料の電話相談にも応じているので問い合わせを。
住所:東京都江東区豊洲6の4の18 TEL:03・3520・9913

24歳当時のつらかった自分の支えになる場所を

鈴木さんは乳がんの治療中、どん底まで心が落ち込み一時はうつ状態に。
8カ月の休職を経て仕事復帰してからも、思うようにならない体調に落ち込み、がん患者への偏見に触れてはショックを受け……とさまざまな葛藤が。
そんな中、自分と同じように悩むがん患者に何かできないかと活動を始めます。

「治療中は、がん患者のブログを読んでは勝手に自分と重ねて落ち込んだり、インターネットで自分がしている標準治療と異なる治療法を見つけて心配になったり……。

本当に欲しい情報になかなかたどり着けないと痛感したので、経験者の生の声を中心に、信頼できる情報を掲載するフリーペーパーを制作。同時に、若年性がん患者団体『STAND UP!!』を発足しました。

発起人として、患者支援団体の代表者が集まる国際会議に呼ばれたことは大きな経験でした。そこで、マギーズの存在を知ることになり、これこそ私の求めていた場所だ!という思いを強くし、日本にマギーズを設立するために奔走することに。

いつも思うのは、24歳当時の一番つらかった自分の支えになる場所や情報を提供したいということで、それが今苦しんでいる方の助けになれば、私ががんになった意味があるのかなと感じています」(鈴木美穂さん)



新たな活動でネガティブながんのイメージを変えたい

最近では、マギーズ東京で見えた課題をより多くの人と相談、解決していくために、CancerXという新たな活動もスタート。

「CancerXは『がんになっても動揺しない社会に』がコンセプト。医療者と産学官民などが分野を超えて協力して、がんにまつわる課題を解決していくことを目指しています。
私自身、がんになって慌ててしまい必要な情報にたどり着けなかったので、一般の方を巻き込んだイベントも開催しています。

また、年間100万人ががんになる時代なのに、がんのイメージはまだまだひどく、がん告知から1年以内の自殺率は、一般の方の自殺率の23倍だと言われているんです。

それほど人を落ち込ませてしまう病気なのですが、今は必ずしもがん=死ではなく、患者の約6割が治療後も生き続けることができる時代。がん患者はかわいそうといったネガティブな印象も強いのですが、多くの人ががんになった後の人生を強くしなやかに生きています。

今後もさまざまな分野の人たちと手を取り合ってがんになっても生きやすい社会を作っていけたらと思っています」(鈴木美穂さん)

CancerX


https://cancerx.jp/

「がんになっても動揺しない社会に」をコンセプトに、がん患者やその家族のほか、一般に向けてもがん情報を提供。
4月には日本を代表するがん専門医が集結し「新型コロナ禍の今、がん患者・家族が知りたいこと」というオンラインイベントを開催。約500人が参加して大きな話題に。


イラストレーション/二階堂ちはる 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年7月7日発売LEE8月号『がんと暮らす』の再掲載です。

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