今回は「月星座」の歴史を深堀り
11月4日に思考や伝達の星・水星も「順行」し、さまざまな人間関係の感情のもつれも落ち着いてきたのではと思っています。みなさまにはいかがお過ごしですか。
さて、先月発売の『LEE』11月号特別付録、「星と暮らしのカレンダー」ですが、みなさん、活用いただいていますか? 私とHT子さんは、10月2日のおひつじ座の満月に、カレンダーどおり、二人とも別々のことで怒っていて、思わず笑ってしまいました。カレンダーでは、編集HT子さんのリクエストで月星座をご紹介したところ、月星座の出し方含め、反響がすごかったようなので、改めて、月星座を使った占いについて、お話ししてみたいと思います。
実は長い長い歴史を持つ、「月星座」を使った占い
月星座の占いは太古の昔からあります。私が初めて月星座を知ったのは1999年、占星術家の鏡リュウジさんにお会いしたとき。アメリカのジェイムズ・ヒルマンという心理学者の『魂のコードー心のとびらをひらく』という本を鏡さんが翻訳されていて、その文体がとても素敵だったので、ファンになったんですね。1年後、お目にかかるチャンスを得たのですが、「月星座は何?」と返されて、「月星座なんて素敵なものがあるんだ」と星の世界に入っていきました。
月星座だけに限った占い本も昔から、いろいろ出ているのですが、私がフリーランスになった2003年に出版された『魂の願い―新月のソウルメイキング』(徳間書店)という本も印象深いですね。ジャン・スピラーというアメリカ人占星術家によって書かれたもので、これをきっかけに、日本でも新月のお願いごとが盛んになりました。昔から、新月でお願いをするというおまじないは欧米にはあったようですし、惑星のパワーやタリスマンと呼ばれる宝石やお守りを使って、自分のお願いごとを叶えようという占星術もルネッサンス期にはヨーロッパで流行りました。タリスマンを使った儀式を取材したことがありますが、かなりオカルティック。インド占星術では今でも宝石を使って、惑星による悪影響をできるだけ少なくするようです。
「生活リズムのバロメーター」として月星座を使う文化圏も
お願いごと系の月星座の使い方とは別に、この間、私も『LEE』で作らせていただいたように、カレンダーとしての月星座の使い方もあります。欧米では月星座を使った農事暦などもあるのですが(日本でも一部作っている方がいます)、ヴェレダなどのバイオダイナミック農法もシュタイナーが提唱したもの。月を初め、惑星の動きにもとづいているんですよね。そのほか、ヨーロッパの街角では月や星を使ったカレンダーがごく普通に売られています。日本で言えば、大安や仏滅カレンダーに近く、月星座のリズムで生きることは生活に根ざしたものだなあと感じます。
そのほか、新月から満月に欠けて満ちていくときには美容液などを身体に入れ、満月から新月にかけて欠けていくときにはダイエットをするといいなんていう考え方は、ドイツの著者による1997年の『月の癒し』(飛鳥新社)という本から来ていると思います。私もこの本は大好きで、かなり影響を受けています。この系譜には『CREA』で書いている占星術家、岡本翔子さんがいらっしゃいます。日本での月のサイクルやハーブ研究の第一人者。『MOON BOOK』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という毎年出る月星座の手帳もおすすめです。翔子先生によると、なんと今年で18年目なのだそう。
こう比べてみると、パワーの国であるアメリカの占星術家は、月でもお願いごとにもっていくし、古い歴史のあるヨーロッパでは生活に根ざして使われているというカルチャーの違いがなんとなくわかりますね。日本はそのどちらの占星術家もいると思います。
月星座との付き合い方は、自分に合ったアプローチを選べばいい
日本の例で言うと、神さまとのお付き合いの違いがわかりやすいかもしれません。今、京都に暮らしていると、歴史の古いこの街では神さまとのお付き合いも生活に根ざした当たり前のもので、代表的なものでも、五月には葵祭、七月には祇園祭、十月には時代祭があって、その度に神事があります。私が好きなのは家からも歩いていける下鴨神社の足つけ神事。瀬織津姫さまの神社にお参りし、せせらぎで足を清めて、帰りにみたらし団子を食べて帰る。そんな暦の中にいてくださる、いつも見守ってくださる神さまが私は好きです。私の母方は下鴨神社などで知られる賀茂氏にもつながるようなので、遺伝子の中にあると言うのかな。
一方、神さまとのお付き合いでも、ガンガンお願いごとをするタイプの方もいますね。それは人それぞれ。どちらがいい悪いではなく、自分に合ったものを選んでくださいね。月や星のリズムはひとつでも、解釈はそれこそ占星術家の数だけありますから。
私自身は、生活に根ざして自分の心身を癒していく「月の癒し」系の占星術、「ライフスタイル占星術」「ホリスティック占星術」とでも言うべき世界を長年、追求しています。星に出会う前から、幸せになるライフスタイルやインテリアを長年ずっと研究してきたこともあり、ふたつの世界を統合していきたいなと思います。太陽を生きるためにも月で日々の気分を感じる。そんな風に太陽と月を自然に使い分けられると、きっととても生きやすくなるはずです。
(次回は、12月7日に更新)
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Saya Saya
アストロロジー・ライター
1971年生まれ。おとめ座。現在は、京都で夫とふたり暮らし。雑誌連載のほか、オンライン講座や、ホロスコープ・リーディングのセッションを行う。著書に「星を味方につける生き方、暮らし方」(集英社)など多数。
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