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LIFE

がんと暮らす

映画『がんになる前に知っておくこと』【上原拓治さんインタビュー】

  • LEE編集部

2020.10.28

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自身が「がん」と診断されたとき、あるいは、身近な人が、がんになったとき。

治療は?子育ては?仕事は?どんな問題が出てきて、何をすればいい?

がんになる前に知っておきたい「向き合い方」について、映画『がんになる前に知っておくこと』の映像ディレククター、プロデューサー上原拓治さんにお話をうかがいました。

この記事は2020年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。


映画『がんになる前に知っておくこと』
上原拓治さんに聞く「知っておきたいがんのこと」

映像ディレククター、プロデューサー。制作会社勤務などを経て、2011年株式会社上原商店を設立。企画から約3年ほどかけて、がんをテーマにした映画の制作を続け、完成させる。

がんをテーマにした映画の制作をしようと思ったきっかけは?

4年前に自分より年下の親族をがんで亡くすという経験をしました。

がんなんて自分とは関係ない病気だと思っていたので、いざ身近な人ががんになっても何もできず、これまでがんについて考えてこなかったことをひどく後悔。

当時の私のようにがんについて何も知らないという人のための映画を作って、私のように後悔する人を減らしたいと思いました。

映画の中の取材対象者はどのように決めたのでしょうか?

最初に三宅流監督と構成を考えて、腫瘍内科医、外科医、放射線腫瘍医、緩和ケア医の先生などから話を聞こうと決めました。

どの先生がいいかは書籍、ウェブサイト、がん関係のNPO法人にも連絡を取りリサーチ。

半年以上の時間をかけて、今の日本を代表するがん専門家を選びました。



映画の撮影中に印象的だった話やエピソードはありますか?

映画の中では使っていませんが、撮影時は、勝俣範之先生[*]のインタビューだけでなく、先生が実際に患者さんを診療する場面も取材。

患者さんとじっくり向き合い、がんのことだけではなく趣味やスポーツの話を交えながら丁寧に話を聞く姿は、私がそれまで知っていたお医者さんのイメージと違うので驚きました。

患者さんたちも前向きで明るい方が多く、勝俣先生が言う「がんと共存する」ということの意味が、頭ではなく心から納得できるような診療風景でした。

[*]日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣範之さんに聞く「がんにまつわる最新事情」はこちら

映画の制作をする中で、これは広く多くの人に知ってほしいと感じた情報はありますか?

特に強く感じたのは「標準治療」の重要さ。

標準治療は科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療。有名人のがん治療の記事などで、標準治療を飛び越えた先端医療や代替医療にスポットが当たっていることも多いのですが、まずは何より「標準治療」を最初に選んでほしい。

この映画では、そういう確かな情報を届けたいと思いました。

もしがんになっても慌てないために、大切なのはどんなことだと思いますか?

映画の中で、東京女子医科大学 放射線腫瘍科教授の唐澤久美子先生も言っているのですが、治療の方針を決めるにあたっては、その人が人生で何を大切にしているかが重要な指標になります。

自分にとってこれが生き甲斐、ここだけは譲れないというものが何なのか、それを普段から考えておくといいのかもしれません。

僕自身も多くのがん専門家、経験者の話を聞く中でいろいろと考えさせられました。

映画『がんになる前に知っておくこと』

映画『がんになる前に知っておくこと』

勝俣さんはじめ、がんの専門家や経験者とナビゲーターの女性との15の対話を収録。『がんになる前に知っておくこと+劇場版ブックレット』¥4800/上原商店


取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年7月7日発売LEE8月号『がんと暮らす』の再掲載です。

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