
『浅田家!』

©2020「浅田家!」製作委員会
抱腹絶倒! この家族、変わっているけどたまらなく温かい
写真好きな父の影響で、カメラの道に進んだ浅田家の次男・政志(二宮和也)は、長いモラトリアムを経て、写真の芥川賞と言われる〈木村伊兵衛写真賞〉を受賞。ようやくプロの写真家の道を歩き始める。それから数年後、東日本大震災が発生。政志は、かつて依頼を受け家族写真を撮った、一家の安否を確かめるため被災地に向かう――。
前半は、受賞した爆笑家族写真集『浅田家』完成に至るまでが、ユーモラスに活写される。いつも政志に押し切られる形で、いい大人の家族4人が全力でコスプレし、消防士やバンドマンやレーサーなど実際になりたかったもの、経験してみたかったものに成り切る様子に爆笑必至。衣装もシチュエーションも完璧な裏で、時にノリノリ、時にボヤく姿が笑える。特にヒーロー姿で、政志の指示に疲労困憊して座り込んだ瞬間を捉えた「疲れたヒーロー」は噴き出し必至! しかしユニークな浅田家の面々にプップと噴き出していると、後半、映画のトーンは一転。何度も胸を突かれ、ウッと嗚咽を漏らす羽目になる。
大切な家や家族や友人を失った人々と対峙する政志は、呆然としながらも、津波で泥だらけになった写真を洗浄し、元の持ち主に返すボランティア活動に参加するように。――前半と後半における強烈な悲喜の対比が一層、家族や友人のかけがえのなさ、失う悲しみをひしひし胸にねじ込んでくる。でも、さすがは『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』の中野量太監督。どんな悲しみのどん底に落とされても、絶望では終わらせない、思い継がれていく愛、笑顔になれる強さ、愛のぬくもりが感動を強固なものにする。いつも弟からの難題を引き受けてしまう優しい兄に妻夫木聡、主夫の父に平田満、バリバリ働く看護師の母に風吹ジュン、芸達者たちの味わいが深い。互いに思い合いながら踏み込みすぎない、浅田家の距離感も心地いい。実際に被災地で写真返却の活動をした写真家・浅田政志を演じた二宮和也の、陰と陽、いろんな表現や横顔も堪能できる。(全国東宝系にて公開中)
『浅田家!』公式サイト
『パピチャ 未来へのランウェイ』

© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION –TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS ––JOUR 2 FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC
女性弾圧に立ち向かうオシャレ大好き女子に熱くなる!
’90年代のアルジェリア内乱を背景に、イスラム原理主義による女性弾圧に屈せず、自由を求め、自分を貫こうとする女性の姿を描く。ファッションデザイナーを目指すネジュマは、周りからの圧力を感じながらも、命がけで大学の食堂でショーを開こうとするが。
付き合い始めたカレに、国を出ようと誘われた彼女が「祖国が好き。ただ闘わなければならないだけ」というひと言が忘れ難い!(10月30日よりBunkamuraル・シネマほかにて全国公開)
『パピチャ 未来へのランウェイ』公式サイト
※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。
取材・原文/折田千鶴子
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