昨年、およそ21年ぶりに日本全国を回るライブツアーを行った、歌手の森高千里さん。
北は青森から南は鹿児島までの36の街を、彼女なりの視点で切り取ったフォトエッセイが発売に。
観光名所から小さな路地裏まで、気の赴くままに歩いた日々は、自身にも大きな心の栄養となったよう。
森高千里さん
「皆さんが住む街のよさを、新たに知ってほしいです!」
「全都道府県を巡るライブは20代の頃に2度行ったのですが、当時はスケジュールの都合もあり、ツアー先をゆっくり見て回る余裕もなくて。実際にステージの上でも『ここ……どこだっけ?』と混乱したこともありました(笑)。今回こそ、公演する場所をあちこち歩き、思いっきりその街を楽しんでみたいなと。約1年のライブの間は、街歩きの中で心動かされたことや、発見したものをInstagramでアップしていました。そんな思いを本にまとめると、日本各地の街は魅力だらけ。そして私、食べてばかりいましたね(笑)」
旅のみならず、おいしいもの好きでも知られる森高さん。「スイーツから辛いものまでなんでもいけます」とのことですが、自身も大の料理好き。夫、長女、長男と、家族4人の時間が増えている今の時期は、あらためて家庭料理のよさも噛みしめているそう。
「この前、子どもたちが納戸でたこ焼き器を見つけたんです。2人が小さい頃によく使っていたもので、久しぶりにたこ焼きパーティをしたら盛り上がりました。わが家は長男が部活をしているし、ここ何年かはそれぞれの生活に合わせた料理を作っていましたけれど、鉄板焼き、水炊きと、何年かぶりに家族全員が一緒に囲める料理を作れる日も多くなって。それはそれでいいものですね」
20代の頃は歌手として多忙の日日を送り、30代~40代半ばまでは、音楽活動を控えて、子育て中心の生活をしていた森高さん。2人のお子さんがまだ小さかった頃のことを振り返ります。
「子どもたち以上に私が楽しんでいたかもしれません。行きたいと思った場所があれば、予定を詰め込んで出かけて、子どもたちの成長とともに変わりゆく世界を味わい……。幼かった2人と、やり残したことはないかも。とはいえ私もまだ、朝は早くに起きてお弁当を作ってと、子育て中の身でもあるんですけれども。でも小さい子ってかわいいじゃないですか。今も街で見かけると懐かしさから、思いきりぎゅっと抱きしめたくなっちゃいますね。もちろん、大きくなったわが子たちとのやり取りも無邪気な反応もあり、友達のような部分もあり、それも興味深いです。今、長女は、私と夫の朝食にグラノーラを手作りしてくれたり、ハマっている韓流ドラマを教えてくれたりします。でもそれに対して“抱っこする”みたいな、直接的な愛情表現はもうできないので、それは少し寂しいかなと、小さい子を見かけるたびに思いますね(笑)」
今回のフォトエッセイは「小さい子どもを育てている方にも見ていただきたいです」と。
「私の場合も、一日がすごい速さで過ぎていました。日常が慌ただしい分、なかなかどこかに出かけられないと思いますが、本で旅する気持ちになるのもいいですし、近くの街を散歩して何か新しい発見をするのもありですよね。安全や衛生には気をつけつつ。自分が暮らす街の魅力に気づくきっかけにしていただけたらと思います」
PROFILE
もりたか・ちさと●1969年生まれ、熊本県出身。’87年歌手デビュー。『私がオバさんになっても』『渡良瀬橋』などヒット曲多数。1男1女の母。子育て中は仕事をセーブしていたが、『LEE』では生活への思い入れを語るなど、頻繁に登場してくれていた! 2019年には21年ぶりに全国ツアーを開催。そのツアーを収録した『「この街」TOUR 2019』Blu-ray/DVDが発売中。http://www.moritaka-chisato.com/
『森高千里「この街」が大好きよ』
2019年1月~12月に全国36カ所37公演行われた「この街」TOUR 2019。公演先で森高さんが食べたもの、見たものをまとめたフォトエッセイ(今年のツアーは新型コロナの影響で、現在は中止または延期)。
シャッター商店街が増える一方、若い世代が活性化を図る土地もある日本。「各街をもっと元気にしたい!」という思いも詰まった一冊。¥1600/集英社
撮影/フルフォード 海 ヘア&メイク/渡辺真由美(GON.) スタイリスト/宇賀 愛 取材・文/石井絵里
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