12の島で開催されている今年の瀬戸内国際芸術祭。子連れで行くなら小豆島がお勧めということで、前回は2歳以下の子供でも楽しめる作品を紹介しました。後編は自分でだいぶ歩けるようになった2歳以上の子供と行きたいスポットです。
親しみやすそうで、受け入れを拒まれてる?「迷路のまち〜変幻自在の路地空間〜」(目)
今回、巡った作品の中で一番トリッキーだったのが「迷路のまち〜変幻自在の路地空間〜」。
そもそもわかりにくい場所にあって、やっと見つけたと思ったら、そこには昔よくあった煙草屋を併設した一般的な民家。
正直「ただの家じゃん」と思いながら、煙草屋の陳列棚のところから中へ。狭いながらも中も普通。でも何かが少しずつ変。
内部の写真撮影が不可のため、ここから先は実際に体験してください、としか言えないのですが、田舎のおばあちゃん家に遊びに来たのに謎解きを強要されて、しかも誰かにどこからか覗かれているような気配。きっとここでしか味わえない感覚でしょう。
さらに路地を行くと、もう一つの作品が。
こちらも撮影不可。中はゲレンデっぽいと言いますか、一般的な家屋では全くありえない光景が広がっています。
廃校を舞台にした「チョウジガマズミについて」(黒田大祐)と「島の誕生」(友定 睦)
小学校跡地を利用しているのがこちらの2作品。
「チョウジガマズミについて」は、玄関から校内に入ると薄暗くてちょっと薄気味悪くてビクビク。暗がりの校内を進んで2階の突き当りに現れるのがこちら。
植物と扇風機のコラボレーション!? しかも人が近づくと扇風機が動き出し、どこからか「あなたはどこから来たんですか?」と少女の声が。
ちょっとお化け屋敷のような要素があって苦手な人がいるかもしれないけれど、植物の作品自体は全く怖くないどころか、どうして植物と扇風機を組み合わせようと思ったのか、作者の意図を考え始めると恐怖心を忘れます。
その隣の体育館で展示されているのが「島の誕生」。こちらも真っ暗な環境の中、スクリーンには映像が流れています。
映像を見終わって出ようとすると、奥にもう1面のスクリーンが。
こちらは海を映したスクリーンの上から巨大な手から白い粉が。粉が溜まっていくとどうなるかは、見てのお楽しみ。
怒った神様が水を吐く「アンガー・フロム・ザ・ボトム 美井戸神社」(ビートたけし×ヤノベケンジ)
ビートたけしさんの構想をヤノベケンジさんが実現したコラボレーション作品。怒った水の神様が巨大な化け物となった設定で、作品の高さは約8m! パッと見はちょっと怖いかもしれないけれど、よく見ると可愛らしい顔立ち。
そしてこの作品のハイライトは8時〜17時の間、20分ごとに5分ずつ行われる化け物の口からの放水!
結構な勢いで出てくるので石垣の外まで水が飛び散ります。石垣のそばにいると飛沫がかかるかも。
196体の砂の子供が溶けていく「国境を越えて・潮」(リン・シュンロン)
泣いているような、微笑んでいるような、微妙な表情の子供たちの像が海岸に佇む作品。その数、196体! この様子はとにかく圧巻。
砂でできているため、波打ち際に近い方は波にさらわれて上半身だけや顔だけになったものも。瀬戸内国際芸術祭の夏会期に設置されたこの作品は、芸術祭が終了するまでの間に変化していく様子を眺めて味わうのがきっと醍醐味。
取材に訪れた8月中旬には、全部溶けた像は1体しか見つけられませんでした。像が溶けきった後にも秘密があるので、1体1体をじっくり眺めてください。
今回は子供も楽しめる作品を中心に紹介しましたが、他にも見たい作品がたくさん。車で回れるとはいえ、1日で全ての作品を見学するのは無理なので、宿泊して観光しながら作品巡りをするのがお勧めです。
■瀬戸内国際芸術祭 2016/秋開催2016年10月8日(土)〜11月6日(日)の30日間
瀬戸内海の島々を舞台に、3年に一度開催される現代アートの祭典。春・夏・秋開催の3シーズンで、秋開催は2016年10月8日(土)〜11月6日(日)の30日間。
秋開催では小豆島のほか、直島、豊島、女木島、男木島、大島、犬島、高松港・宇野港周辺に加え、秋のみ開催の本島、高見島、粟島、伊吹島の11の島と2つの港が会場に。会場の島へは、フェリーで30分~1時間程度でアクセスできます。チャーター船や海上タクシーもあります。
詳しくは公式サイトをチェック!
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。