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LIFE

夏の子ども、「夢中のタネ」の育て方

子どもの“夢中”どう伸ばす? 生物学者・福岡伸一先生がママの悩みに回答!

  • LEE編集部

2020.08.02

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LEE世代の幼少期とは大きく変わった感のある、昨今の養育環境。子どもたちが夢中になっていることも、自然やスポーツ、ゲームにYouTubeと様々に。

「依存症が心配」「勉強が疎かになるのが気になる」など、熱中していることがあってもなくても、親は心配!

不安を抱えるママたちから寄せられた悩みや疑問に、生物学者 福岡伸一先生がお答えします!

この記事は2020年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。


子どもの「夢中」の伸ばし方
「なぜ?」に正解を与えず、一緒に考えて

虫を友とし、自然にどっぷりとつかった幼少時代を過ごしてきた福岡先生。

「自然は、親や先生の言葉、本やテレビ、ネットでの情報とは違う"本当の"世界のあり方を示してくれます。それを子どもが実際に見聞きすることが大切です。
自然といっても、近所の公園や小さな川で十分。そうした"ちっちゃな自然"の中にも、深遠な宇宙があります。
ただし、3、4歳になるまでは、親の感性こそが子どものセンサー。道端に咲く花に目を留めたり、空に浮かぶ雲の変化に見入るなど、幼い子どもの視野に入らないものを、親が見つけてあげなければ」

子どもが何かに夢中になったら、親は主導や先回りをせず、見守る姿勢で。

「子どもは『なぜ?』『どうして?』と聞きたがりますが、親が正解を出してしまったら、子どもの『なぜ』はそこで消えてしまいます。
なので、一緒に『どうしてだろうね』と考えてみることも大事。子どもとともに考えると、親にとっても意外な答えが見つかるかもしれません」

ママの悩みにお答え!教えて福岡先生!
01|虫が苦手な子どもが気がかりです

「虫捕りしよう」と言っても、ものすごく気持ち悪がり・・・

「動物園は好きですが、触れ合うのはペットの犬だけ。得体の知れない生き物を怖がる、そもそも興味がないのが気がかりです」(長男13歳、長女10歳)

ムリに興味を持たせようとしなくてもOK

「虫に興味がないのなら、それはそれでよいのではないでしょうか。でも、犬は好きなんですよね? ならば、お子さんに、犬の世話を任せてはいかがでしょう。

もっと望ましいのは、子犬の時期から、しつけや散歩、エサやり(買いに行くこともです)、犬小屋などの掃除をさせるなど、責任を持って育てさせるのです。
そうやって生き物とかかわらせると、きっと彼らの不思議な習性や行動に驚かされるだろうと思います。

逆に、お子さんは虫好きで親が苦手という話もよく耳にします。その場合、協力しなくてもよいので、お子さんが飼育することはガマンして見守ってやってください」(生物学者 福岡伸一先生)

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02|虫を飼っても死んでしまうのでかわいそう

死なせるために昆虫採集をしているようで・・・

「息子は昆虫を捕まえるのが好きなのですが、かごに入れたまま世話をせず、結局は死んでしまいます。なんだか虫がかわいそうな気がします」(長男7歳)

虫の死を通して学べることもたくさんあります

「虫を死なせてしまうのは仕方がないことなので、もう少し見守りましょう。

私も残酷なことをしたり、虫を放置して死なせたりしました。そして、そこから生命のもろさや強さを学びました。お子さんもきっと、いろんなこと学んでいくと思います。

虫の寿命は短く、役目を終えてひと夏のうちに死んでしまうものが大半。なので、そんなにかわいそうに思わなくても大丈夫ですよ」(生物学者 福岡伸一先生)



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03|生物学者になるために勉強したのでしょうか?

受験や進学のために勉強しましたか?

「先生は、生物学者になりたくて勉強を頑張られたのでしょうか?それとも元から成績優秀だったのでしょうか?」(長男5歳)

研究が受験勉強のコツにつながりました

「小学校時代の夏休みは蝶の飼育に明け暮れていました。1、2年生の頃はただ単に観察日記をつけるだけでしたが、だんだん生態写真を撮るようになり(これが難しくて、カメラの勉強になりました)、食草の研究をするようになって……。

どれくらいエサを食べるのか量を測定したり、個体によって成長する速度が違うことを調べたりと、研究は年々バージョンアップしていきました。

それが高じて生物学者になりたいと思うようになり、勉強を続けていった感じです。なので、”受験のための勉強をした”という意識はそれほどないんですよ。ただ、研究することが、受験勉強のコツにつながったとは思います」(生物学者 福岡伸一先生)

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04|夢中になれるものはどうすれば見つかりますか?

娘は、今まで何かに夢中になったという経験がほとんどありません。

「いろいろ体験させても、その場では楽しそうにしている(見える)のですが、その後が続かないのです。自分から積極的に何かに取り組んでほしいと思っているのですが……」(長女10歳)

親がかつて好きだったものを教えてあげては?

「親が気づかないだけで、夢中になっているものや好きなものは、もう見つかっているような気がします。今お子さんがやっていること(読書、水泳、虫捕り、お菓子作り……)の中に、その芽があるのだと思います。

もし、本当に何もないようなら、ご両親はかつて何が好きだったのかを、教えてあげてください。その中に興味のタネが見つかることもあります」(生物学者 福岡伸一先生)

福岡伸一先生 PROFILE

ふくおか・しんいち●1959年、東京都生まれ。京都大学卒業後、米国ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などを経て、現在青山学院大学教授・米国ロックフェラー大学客員研究者。分子生物学を専攻し、専門書からエッセイまで著書も多数。


イラストレーション/根津あやぼ 取材・原文/村上早苗
この記事は2020年7月7日発売LEE8月号『生物学者福岡伸一先生に聞く 夏の子ども、「夢中のタネ」の育て方』の再掲載です。

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LEE編集部 LEE Editors

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