読者アンケートで寄せられた、ジェンダーにまつわる周囲からの「何気ない言葉」。
モヤモヤする気持ちをどう処理すればいい?
ジェンダー問題に詳しいフリージャーナリスト治部れんげさんと、男性学を専門とする田中俊之さんがズバリ回答します!
この記事は2020年1月7日発売LEE2月号の再掲載です。
周囲の言葉にモヤモヤ 01
「〇〇家の後継ぎができた! ありがとう」
妊娠中、男の子だとわかった途端に義父母から「〇〇家の後継ぎをつくってくれて、ありがとう」と言われた。長女のときは何も言われなかったのに……
そんなに後継ぎが必要? こだわります? 大人の勝手な気持ちだと思うので、口に出してほしくなかった。(ワッフル)
義父母の世代は代々守るべき畑などがあったが、今は継ぐような家業はないことのほうが多いかも。慣習的に言うだけで実害はないので、気にしなくてもいいと思います。
また、相手が世代間のギャップを口にしたのだから、こちらも「今はそういう時代じゃないので」と伝えてみると、上の世代に気付きがあるかも。(男性学 田中俊之さん)
「私たちは後継ぎとかは考えていないので」とはっきり言ってもいいと思います。もしくは、夫に「こういうことを言われるなら子どもを実家に連れていきたくない」とくぎを刺し、夫から義父母に伝えてもらうこと。
夫の両親なので、まずは夫に気持ちを伝えて意思疎通をはかり、対策を考えるほうがいいかもしれません。(フリージャーナリスト 治部れんげさん)
周囲の言葉にモヤモヤ 02
「女の子なんだからおとなしく」
義母がことあるごとに「女の子だから」と言う。「女の子なんだからおとなしくしないと」「女の子なんだからお片付けしないと」……。
性別関係なく、おとなしくしてほしいし片付けもしてほしい。やってほしいことの理由づけに、性別を使わないでほしい。(nutte)
よく言われることですよね。受け入れがたければ「公共の場で静かにできる、お片付けができるのは人として大事なことだと思うので、そういう伝え方をしていこうと思ってるんです」と、性別ではなく人として大切にしたいと伝えて。
波風を立てたくないのであれば、軽く流して気にしなくてもいいのでは。(男性学 田中俊之さん)
義母と仲よくしたいなら何も言わない、自分のモヤモヤを解消したいなら言葉を返したほうがいい。このどちらかを選ぶ必要が。
返すなら「うちはそういう教育をしていないので、やめていただけますか」と言うのが正攻法。もしくは「今は女の子も活発なほうが幸せになれる時代ですよ」とポジティブに返しても。(フリージャーナリスト 治部れんげさん)
周囲の言葉にモヤモヤ 03
「女の子は、勉強はそこそこでいい」
夫は、長女が勉強がわからないと言うと「女の子なんだからそこそこでいいんだよ」と、すぐに答えを教えてしまいます。
私はその隣で「将来、離婚や死別で子どもを一人で育てることになったら、学力や資格が大切になるかもしれないから勉強しなさい」と話して、家庭が険悪な雰囲気に……。(もえぎのすけ)
これは夫と真剣に話し合う問題。自分が食べる分を、自分で稼げない怖さがわかりますかと。これからの時代、女性がお金のある男性と一緒になる可能性を追い続けるのは怖いですよね。
また、日本人男性は女性への人権意識が低すぎます。自分の娘に学ぶ権利、働く権利がなくていいと言うのは本当に寂しいですね。(男性学 田中俊之さん)
すでに夫に自分の考えを伝えているので、第一関門をクリアしていると感じます。「勉強しておくと、将来、自分のやりたいことを選びやすくなる」など、ポジティブな意味づけもしてみて。
両親の言うことが違って子どもが疑問に思ったら私は「お母さんはこう思う」と、自身の意思を伝えたらいいと思います。(フリージャーナリスト 治部れんげさん)
撮影/齊藤晴香 イラストレーション/久保夕香 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年1月7日発売LEE2月号『言ってませんか?「男の子だから」「女の子だから」』の再掲載です。
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