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LIFE

藤本こずみ

【子育て事件簿】背後で「カチャリ」。ベランダでまさかの締め出し事件!

  • 藤本こずみ

2020.06.29

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つい先日のこと。平和な朝に思いがけないアクシデントが起こり、悪戦苦闘の数時間を過ごすことになってしまいました。

まさかの出来事だったけれど、どこの家庭でも起こりうることかもしれない、と、ここでシェアしたいと思います。

 

事件はベランダで起きました

 

それは、緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常を取り戻し始めた平日のことでした。

テレワークが続いていた夫は、久しぶりに出勤。

在宅作業中心だった私は、久しぶりの取材から前日深夜に帰宅したばかり。

5歳息子は、再開したばかりの幼稚園へ、いつもより30分ほど早く出発。

ワンオペでバタバタしながらも送り届けて帰宅したら、時刻は9:00。

さて、1歳娘を見ながら自分のデスクワークを開始……するはずだったんです。

 

あ、その前に、洗濯物をベランダに出さないと。

 

3ヶ月のステイホーム中は、朝一番にすべての窓を開けてから、気持ちよく干していた洗濯物。

この日は、急いでいたため、とりあえず洗面所でハンガーなどにかけ、後で移動させようと思っていたのでした。

 

……今思えば、このように“久しぶり”や“イレギュラー”が重なって、慌ただしく過ごしてしまったことが、アクシデントの原因になったのかもしれません。

 

ベランダに出て、洗濯物を干していると……背後で「カチャリ」。

 

え???

 

振り返ると、娘がガラスの向こうで満面の笑みを浮かべ、ドアのノブを触っているではありませんか。

ガラスの向こうで? そう、私が一瞬背を向けた隙に、娘がダイニングとベランダの間のドアを閉め、中から鍵をかけてしまったんです……!!!

 

ど、ど、どうしよう!

 

 

 

 

洗濯物を干すだけ、のつもりだったので、もちろん手ぶら。スマホも家の中。

このベランダへは、ダイニングからも和室からも出られる構造になっているため、慌てて和室側を見てみましたが、そちらの窓も閉まっています。

あぁ……いつもなら和室の窓を開けてからベランダに出るのに。先週までなら夫が家で仕事をしていたのに。息子がいる間に干していればこんなことにはならなかったのに。いろいろな思いが頭をぐるぐる駆け回りますが、タラレバを言っている場合ではありません。

家の中には、1歳娘が一人。もし、このまま何時間も中に入れなかったら? その間に、娘が何か危ないことをしたら? ……考えただけでゾッとします。

まずは娘を説得してみる

 

今、ベランダにあるものは、物干し竿と洗濯物、天体望遠鏡とビニールプール、そして資源ゴミに出そうとまとめておいたダンボール。

それらを見渡して、決意しました。いざとなったら、物干し竿か天体望遠鏡の脚で、和室の窓ガラスを割ることを。傍から見たら、完全にドロボー。修理にいくらかかるのかもとっても気になるけれど、仕方ない!

その上で、まずは娘の説得を試みることに。

 

「(娘)~、そこ、カチャカチャってしてごら~ん!」

 

非常事態だと悟られないように、努めて楽しげに声をかける私。

娘もニコニコしながらノブを触るのですが……鍵が開く気配はありません。

ちなみに、このドアの鍵は、昔ながらのサムターンタイプ。

子どもにとっては、つまみを縦から横に倒して“閉める”のは簡単でも、横から縦に上げて“開ける”のは、難しかったんですよね……。

 

 

変化がないことに飽きて、その場にしゃがみ込む娘。なんだかワルい顔をしています。

そばにあった私のバッグを開けて、ウエットティッシュを、いちま~い、にま~い、と、丁寧な手つきでするりするり。あ~あ、全部出しちゃった。

続いて、私のデスクスペースに近づき、書類をガサガサ、文具をゴソゴソ、そしてガッシャン(すべてを床にぶちまけた音)。お願いだから、PCには触らないで~!

最後は、3メートルほど離れたキッズスペースに移動して、バウンサーに座り、びよんびよんとブランコごっこ(?)。こちらに完全にお尻を向け、遊びに集中していらっしゃいます……。

 

「おーい!」とつっこみたいところではありますが、目の届く範囲で機嫌よく過ごしてくれているならよし。

でも、そんな時間が長く続くはずはありません。早く何とかしなければ!

 



ベランダの中心で、SOSを叫ぶ

 

この日、不幸中の幸いだったのは、母と約束をしていたことでした。県内に住む母が、久しぶりに来てくれることになっていたんです。実家からわが家までは、小一時間。到着予定は、お昼ごろ。そこをなんとか、今すぐ来て欲しい……!

 

わが家はマンションの3階。ベランダ越しに、お隣さんに状況を伝えられたらと思ったのですが、様子をうかがうと……シーン。残念ながら、コンタクトは取れないみたい。

こうなったら、外に助けを求めるしかありません。いつもお世話になっている親切なマンションの管理人さん、ちょうど下を通ったりしないかしら……。

ベランダから身を乗り出してみたところ、管理人さんはいませんでしたが、なんと正面の建物に守衛さんの姿が!

この機を逃しちゃいけない、と、大声で呼びかける私。

 

「すみません! すみませーん! (大きく息を吸い込み)すーみーまーせーん!!!」

 

3回目にして、守衛さんキョロキョロ。そうですよね、そうなりますよね。

 

「あのっ! 向かいの建物のっ! 上です上っ! 3階ですっ!!!」

 

ここ数年で一番の大声を張り上げた結果、ようやく気づいてもらえました。ただし、道行く人も何事かとこちらに注目。あぁ、穴があったら入りたい……。

 

管理人さんを呼んできていただけないかとお願いすると、ただならぬ様子を感じ取ったのか、走ってくれた守衛さん。1分もしないうちに二人で戻ってきてくれました。こうして管理人さんに、これまた大声で実家の電話番号を伝え、母に連絡してもらうことに。

 

「お母さんとお話できましたよ! 『すぐに家を出ます』って!!!」

 

はぁ~よかった。危機的状況の中で、よく知った人と顔を見て話ができると、こんなにホッとするんですね。助けも呼んでもらえて、ひと安心。

 

この時点で、時刻は9:30。娘は、ドアの向こうでおもちゃ遊びをしています。

6月とはいえ、真夏なみの陽気だったこの日。光が燦々と降り注ぐベランダで大騒ぎしていたため、どっと疲れが押し寄せ、私はダンボールを1枚敷いて座り込みました。

身体を伸ばしたりねじったりして、ベランダヨガも悪くないかも、なんてのんきなことを考えていたのも束の間。

娘が、こちらの動きに気づいて近寄ってきたのでした。

娘、号泣、嗚咽、絶叫……!

 

「ままー、ままー」。ガラス越しに、私を呼び始めた娘。覚えたての手招きで、「おいでおいで」をしています。

いや……私だって入りたいんですけどね……。

とりあえず、笑顔で話しかけてみる作戦。

 

「あのね、大丈夫だよ。もうすぐ、ばぁばが来てくれるって(ニッコリ)!」

 

娘は、ひたすら「おいでおいで」。それでも私が入って来ないと分かると、みるみる表情が曇っていきます。こ、これはヤバイ……!

 

「うえ~ん!」。娘、ついに泣き出しました。

しかも、ドア周辺で動き回っているうちに、ガラスのドアの上から被せる網戸までバタンと閉めてしまったものだから大変。

私の姿も見えづらくなって、パニックに。

ぷくぷくの頬を、格子模様がつくくらい網戸に押しつけて大泣きです。

ねぇ、その網戸、あんまり、というか全然、きれいじゃないからね……。

 

「大丈夫、大丈夫」と声をかけ続けるも、娘はドアの向こうで床に伏せ、号泣、嗚咽、そして絶叫!

あぁ、今すぐ抱き上げたい。でも、できない。こちらのほうが泣きたくなっていると、突然近くから声が。

 

「あのう……どうかされました……?」

 

お隣の奥さんが、ベランダ越しに声をかけてくれました。

そこにいるのは、ボロボロのダンボールの上にヘナヘナと座るボサボサの髪の女(私です)。奥さんもさぞ驚いたことでしょう。事の次第を説明すると、「窓は開けておくので、何かあったら声をかけてくださいね」と言ってくれました。

ううう、みなさん、すみません。そしてありがとうございます。

 

そこからは、地獄の親子耐久レース。

励ます私、泣く娘。手を振る私、もっと泣く娘。歌ってみる私、もっともっと泣く娘。

もうだめ、限界……絶望的な気持ちになった、その時。

娘がぴたりと泣き止んだかと思うと、くるりと玄関の方を向きました。

その視線の先には、合鍵を持った母の姿が……(涙)!

 

時刻は10:30。こうして、ベランダ締め出し事件は解決したのでした。

 

 

長く長く感じられた1時間半。親子ともに身も心もぐったりでしたが、無事で本当によかった。

あとから考えると、この事件、もっと怖いことにつながる可能性だってあったんですよね。

万一、真夏や真冬だったら。火をかけたり水をためたりしている途中だったら。娘が食事や水分をとっていなかったら。ずっと誰の助けも呼べなかったら。……恐ろしすぎます。

 

これ以降、わが家では、ベランダに出る時は複数の窓を開けるようにしています。

今回のことで、スマホは常に携帯しておいたほうがいいこと、身近な人とはコミュニケーションを取れるようにしておいたほうがいいことも、痛感しました。

こんな事件がもう起きませんように。みなさんも、どうか気をつけてくださいね!

 

藤本こずみ Kozumi Fujimoto

ライター

1979年、兵庫県生まれ。雑誌やWEBで、インタビュー、ライフスタイル、占いなどの記事を執筆。趣味は、テレビドラマ鑑賞&リラクゼーションスポット巡り。夫、長男、長女との4人暮らし。兵庫・東京の二拠点生活に挑戦中。

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