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現地ルポ連載vol.2 フランスのママたちの「おうちで過ごす家族時間」

2020.05.08

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フランスでは3/17(火)の外出制限令からすでに7週間、
がらりとライフスタイルが変わってしまったフランスの人たちは
今、どんな風に日々暮らしているのでしょうか?

パリ在住で自身も同じように自宅待機を続けている
スタイリスト兼ライターの鈴木ひろこさんが
3名のパリジェンヌたちにリモートで取材。
その様子を3回の短期集中連載でお届けします。

大家族で過ごす、カントリーライフ

2人目にご紹介するのは、両親の住む北フランスの小さな町、
アラスで家族と共に自粛中のフォスティーヌ・バラノウスキーさんです。
パリから列車で2時間ほどのアラスは、北フランス特有のベルギー文化の
影響を色濃く受け、フランドル様式の建物が並ぶ、魅力的な街です。

「私たちがパリを出たのは、3/9のこと。
政府の公式発表はまだでしたが、不安要素はあったし、
フランスでは子供の学校の送り迎えは必須なのですが、
そのときも保護者の間で、パリのロックダウンについての会話が出始めていました」。

 

数週間後からイースターバカンスに入るというのも、
出発を早めるにあたって良いタイミングでした。
両親の家がある地域なら、自然の中を思いきり駆け回れるし、広い牧場に馬もいる。
子供たちにとってもまさにパラダイスです。
そして、もう一つ大きな魅力はおじいちゃん、おばあちゃんが近くにいること。
日本と違って、フランスでは2世代、3世代同居ということはほとんどありません。
だから大家族での暮らしはとても珍しく貴重な体験なのです。
「ノエルやイースターなど、特別な行事でしか会えない
大好きな祖父母といつも一緒にいられることが
子供たちにはとても嬉しいことのようです。
おじいちゃんと一緒に馬の餌付けや、馬小屋のお掃除などの手伝いも
率先して行くし、この数週間で二人とも随分たくましくなりました、笑」。

牧場で放牧されている美しい馬を眺めるだけで癒されます。

 

 

自然の中でのびのびと!
リラックスしたムードがなにより大切

新鮮な田舎暮らしで、フォスティーヌさん家族は、
毎日どんなタイムスケジュールで過ごしているのでしょうか?

「学校に行かず、仕事のアポイントもない今は、時計を見ることがなくなりました。
朝日で目が覚め、腹時計でごはんの準備をする、笑。
すごく原始的な暮らしです。
朝起きたら、まず30分ほどヨガをして、ゆっくりと身体をほぐしながら温めます。
そして、家族が起きてきたら、みんなで朝食。
午前中はそれぞれの時間を過ごして、
子供たちはおじいちゃんと馬小屋に行くか、庭遊び。
私と夫はそれぞれ仕事。メールのチェックや、
企画書をまとめたり。新しいデザインをスケッチすることも。
『今日のお昼なあに?』という子供たちの声で
ランチの準備を始めます。

お天気が良い日は、必ず庭でランチ。
イースターが近いある日の食卓は、ひよこと卵のオブジェで
愉しげにテーブルセッティングしました。

パリではパン屋さんで買っていたけれど、
時間がある今だからこそ、ホームメイドのパン作りを。
ママのお手伝いをしてお菓子やパン作りが大好きになったというアンディくん。
アップルパイやクッキー作りにも挑戦。

 

午後は次男がお昼寝している間に長男は宿題。
今、幼稚園の年長ですが、担任の先生から毎日けっこうな量の
書き取りの宿題がメールで送られてくるんです。
でも、彼が集中して勉強できるのは、せいぜい1時間くらい、笑。
飽きてきたら、そこでストップして、自由にさせています。
今のこの厳しい状況が普通のことではないと、
子供ながらに感じて不安にならないように、
私たちができるのはできる限りリラックスしたムード作りだと思うから。
夕方はみんなで長靴を履いて、牧場へ行ったり、近くを散歩したり。
自然の中で、昆虫や植物、動物を観察するなど、
机上の勉強では学べないことを、
好奇心いっぱいに感じてくれることがなにより大切だと思うんです」。

書き取りのお勉強中のアンディくん。
毎日たくさんの宿題が担任の先生からメールで送られてきます。
ちなみにフランスは左利きの子がとても多いのです。

今回の緊急事態宣言のおかげで、本当に大切なことに気づけたと語るフォスティーヌさん。
自然が身近にある暮らし。思いきり風を感じられること。
庭に作ったキャバンヌ(小屋)で楽しそうに遊ぶ子供たちを眺められること。
馬を引いて近場を散策すること。パンを一緒に作ること。。。

今、田舎への移住について、夫婦で真剣に話しあっているところだそう。
結論が出るまではもう少し時間が必要なようですが。

「パリでは叶うことができなかった今の生活スタイルは、
かけがえのない私たちの人生を変える大きなターニングポイントになりました。
この8週間は神様からの素敵なプレゼントのように感じています」。


愛猫のエルメスと一緒に馬の餌を運ぶカートに乗って嬉しそうな二人。
お兄ちゃんのアンディくん(右)と、弟のジョナスくん。
I♡NYのスウェットも茶目っ気たっぷりに着こなして

フォスティーヌ・バラノウスキー●ファッションコンサルタントとして、
数多くの人気ブランドのブランディングをするフォスティーヌさん。
不動産業の夫と、6歳の長男、3歳の次男、
そして愛猫と共に両親の住む、北フランスで自粛中。
@ faustine_baranowski

 

取材・文/鈴木ひろこ
パリ在住29年のスタイリスト、ライター、コーディネーター、ファッションコンサルタント。
主な著書に『パリのナチュラルモダン・スタイル』『シャンペトル・シャビーの家』
@suzukichako

 

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