“堀江純子のスタア☆劇場”
VOL.7:大谷亮平さん
流れ星のように現れた魅力的な大人の男……大谷亮平さん。それもそのはず、大学卒業後、モデルをしていた大谷さんを高く評価した韓国の芸能事務所。韓国に拠点を移して、モデルから俳優へ。いわゆる逆輸入で、現在日本のドラマ、映画で大活躍。特に『逃げるは恥だが役に立つ』の風見さんで、大谷さんに堕ちた方も多いことでしょう! そんな大谷さんが、いよいよ舞台界へ。演じるのはかの『ボディガード』のミュージカル。ケビン・コスナーが演じたカッコよすぎるボディガード、フランク。公開当時、女性のみならず、男性までも夢中にさせたフランクを大谷さんがどうさばくのか。初舞台への意気込みを語っていただきました。
大事にしているのはストーリーと役
――大谷さんの『ボディガード』ファーストタッチは?
大谷 「たぶん、僕が小学生の頃に公開になったんだっけな。その後、気になったのは音楽でした。曲が先行でしたね」
――柚希さんのインタビューは、“エンダー!”三昧でした(笑)。
大谷 「確かに、小学生のときにみんな“エンダー!”ってのは、歌っていました(笑)。あと、印象に残っているのは、フランクがレイチェルをお姫様抱っこしている画だったり。……誰もが“なんか知ってる!”ってところがありましたよね。曲自体も、映画から飛び出して、バラエティ番組など、いろんなところで使われ、流れていたんだと思います。だから僕のように、映画よりも音楽を先に知る、っていう人は多かったですよね」
――ケビン・コスナーが演じた、そんな有名過ぎるイイ男を演じることについては?
大谷 「もちろん、フランクはとても魅力的なカッコイイ男だと思います。同性の僕から見ても。けれど、このミュージカルは、いかに映画に寄せるかということではなく、日本キャストならではの良さ、僕がフランクを演じるからこその自分らしさを出して……それがどう出来るのか。映画『ボディガード』を目指すわけではないと思っています」
――柚希さんと、勝手に、大谷さん素敵だ、すでにコスナー超えだと、キャッキャしてしまいました(笑)。
大谷 「いえいえいえ、そんなことないです(笑)。同じストーリーの同じ役だからじゃないですか。でも、そう感じていただけたのならよかった(笑)」
――大谷さんは、今回は初舞台になるとか。
大谷 「そうです。舞台のすべてが初めてです」
――いつか舞台で演じたい、いつか舞台に立つんだろうな…という意思や予感はどこか心の中にあったんですか?
大谷 「立つんだろうな、はなかったです(笑)。そもそも僕は映像と舞台とあまり分けて考えてなかったんですよ。それより大事にしているのはストーリーと役。どんな物語のどんな役なのか。それによって、“やりたい!”って気持ちが芽生えるほうです。どうでしょうね。本当は…分けて考えるべきなのかな。映像と舞台はシステムが全然違いますからね。『ボディガード』は映像作品だったものですけど、違う取り組み方をしなければならないと思っています」
実は、慎重派なんです
――大人になってから経験のない、新しい世界に飛び込むのは、私は勇気がいることだと思うのですが、大谷さんはいかがですか?
大谷 「僕はすごく慎重派で、できれば入念に準備したいですね。ドラマの場合だと基本、インした初日がすでに本番じゃないですか」
――そうですよね。同じシーンの芝居を、別の日にまた演じるって、トラブルでもない限りあまりないことですよね。
大谷 「そうなんですよ。だから、その時に感じたものを優先してやってみる方向に変わってきてますけどね。舞台に関しては、どうかな。準備というか、繰り返し何度でも演じられる設定のようなものをしっかりと身に付ける必要はあるかもしれないですね。そのためにも、稽古で生まれたものを大事にしなきゃならないのかなって」
――物語、役を重要視される大谷さんから見て、フランクの魅力とは?
大谷 「自分の仕事、任務を全うしているんだけど、どこかしら影があったり、迷いがあったり。その対比が魅力だと思う反面、些細な表情の変化もどアップで捉えてくれる映像とは違って、舞台は難しいだろうなぁって思いますね。彼の魅力を表情で意識することで、それが雰囲気として表現できるものなのか。いや、全身で表現したほうがいいのか」
ひとつの美しい終わり方
――影…っていうのが、舞台では難しいですよね。
大谷 「そう思います。本来は、その影って、ホンのちょっとしたことで漏れ出てしまうものだったりもしますからね。表情だけでの表現では足りない分は、相手との距離感だったり、もっと大きな目線で作っていく必要があるんじゃないかと思っています」
――なるほど。客席のどの位置に座ってるかによって、見える景色も違いますものね。しかも、今回はあるボディガードのアクション物語ではなく、根底にあるのは大恋愛。柚希さんはレイチェルとフランクの選んだ道に対して、自分ならもっと必死になるとおっしゃってましたが、大谷さんはどう思われます?
大谷 「あ~(笑)。わかりますね。僕ももっとがめつく行く派かもしれない(笑)。『ボディガード』はひとつの美しい終わり方ではあると思います。でも、僕だったら……って考える余地はある終わり方ですよね。相手のことを思ってなのか、自分のためなのか。同じ結果だとしても、自分と相手、どっちにより気持ちがあるのか」
――男性にとっては、美学のようなエンディングなのかな、って思うところもありました。
大谷 「どうなんでしょうね(笑)。僕だったら…っていうのは置いといて(笑)、物語の、いい終わり方だとは思います。問い詰めればいろいろ皆さん言いたくなることあると思いますけど、みんなで語りたくなる恋の行方っていうのも、いいものじゃないかな」
――映画のほうも、かなり前に観たきりなので、大人になった今、『ボディガード』の物語を噛みしめてみたいと思います。10代の頃に観たときの印象とはきっと違う何かを思う予感がします。
大谷 「そういうものですよね。何がどうして、こうなりました…って説明して終わるエンディングではないから。それぞれの胸の中で味わっていただけたらいいなと思います」
ウィルキンソン、ラブ!
――プライベートのお話を伺っても?
大谷 「それね、聞かれるんじゃないかと思って(笑)、どうしようかと思ってたんですよ。ハマってるものとかでしょ?」
――でもいいですし、休日の過ごし方でも!
大谷 「考えたんですけど……ウィルキンソンのジンジャエールは大好きですね。CMやらせていただきましたが、実はCMが決まる前から大好きでよく飲んでいたんですよ。お茶とか水よりもウィルキンソン(笑)」
――今、いろんな味、辛さがありますけど、お好みは?
大谷 「レッドラベルのプレーンですね」
――好きになったらひと筋?
大谷 「言われてみれば、そうですね。好きになったら同じものを食べ続けたり、飲み続けたりします。服なんかも、あれこれ着るのではなく気に入ったものがあればそればかり(笑)。そのハマリ具合は、結構ひどいです。いろんなものを持ちたくない、っていうのがありますね」
――ハマるときは直感的に、ビビッと?
大谷 「ほとんどそうですね。結局、悩んで買ったものは履かない、着ない(笑)。何かの記念にいただいたものに関しては、自分のセンス、好みを通り越して身に付けておきたいな、っていうのはあります。モノであっても、ひとつひとつに思い出、ストーリーがあるようなものは大事にしますね」
恋愛をしてなさすぎて……!?
――本当に自分が好きなものだけあれば、あれこれ量はいらない。
大谷 「いらないなぁ~。まわりの人には、“またこれ着てるのかよ~”って思われてるでしょうね(笑)。Tシャツなんて、気に入っている同じものを10枚以上ストックしてるし。たまに人目を気にして、今日は違うのを着るかぁって日もありますけどね(笑)」
――でも、Tシャツとかわかります。シンプルなアイテムほど、サイズ感、襟ぐり、素材の好み、ありますよね。
大谷 「そう。シンプルなものが好きなんですよね~。だから、困るときもありますけどね。シチュエーションによって、こういう服を着ないと、っていうときに、それがなかったりする(笑)」
――恋愛もひと目惚れ、ひと筋タイプですか?
大谷 「うーん……恋愛をしていなさすぎて、わからないなぁ(笑)。アハハハハハ(笑)」
――ファンの方が喜ばれると思うので、ここで質問攻めはやめますね(笑)。
大谷 「したいっていう気持ちはあるんですけどね~。アハハハハハ(笑)」
――いや、それ以上は!!
撮影時に、もうひとつ最もハマってるものとして、「姪ですね。ハマってるっていうのともちょっと違うんですけど」と言いつつ、笑顔で姪っ子さんを語る大谷さん。「実家に帰るとき、親に会いに帰ったのか、姪に会いたかったのか。目的がブレてしまいました」 こんなステキなおじ様がいたら、姪っ子さん、理想が高くなってしまいそう(笑)。大谷さんは、話す声がとてもいい声で、深く低く響く声。こんな声で愛を語られたら……大変なことになってしまうことでしょう。疑似体験は『ボディガード』で! レイチェルになった気分で、大谷さんのイケボを存分に味わってください。
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堀江純子 Junko Horie
ライター
東京生まれ、東京育ち。6歳で宝塚歌劇を、7歳でバレエ初観劇。エンタメを愛し味わう礎は『コーラスライン』のザックの言葉と大浦みずきさん。『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『エリザベート』『モーツァルト!』観劇は日本初演からのライフワーク。執筆はエンターテイメント全般。音楽、ドラマ、映画、演劇、ミュージカル、歌舞伎などのスタアインタビューは年間100本を優に超える。