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【書評】恩田陸さん最新作『ドミノin上海』は、ギャグセンスとエンタメ性を味わえる長編!

2020.04.25

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カルチャーナビ「BOOKS」

25人+3匹が織りなす珍展開!
にぎやかな群像小説を楽しんで

『ドミノ in 上海』恩田 陸 ¥1700/KADOKAWA

直木賞を受賞し大きな話題となった『蜜蜂と遠雷』、青春小説の名作として今も読み継がれる『夜のピクニック』など、数々のヒット作を持つ恩田さん。LEE世代ならば彼女の初期作品で、ミステリー色の濃い『六番目の小夜子』を、思春期に親しんだ人もいるのでは?

最新作『ドミノin上海』は、多作・多ジャンルを書き分けることで知られる恩田さんの、ギャグセンスとエンタメ性を味わえる長編!

物語の主な舞台となるのは、上海の人気ホテル「青龍飯店」。ホテル内にあるメインレストランの料理長、ゾンビ映画を撮影しにやってきたスタッフたち、ホテル内で催されるアートフェアに呼ばれた高名な彫刻家など。まったく無関係な人たちが、この建物の中で奇遇な出会いを繰り広げていく。一方で、香港から幻のお宝「蝙こうもり蝠」が密輸され、売り抜けを目指す骨董商と、阻止しようとする警察とのひそかなる攻防戦が……。そのほか、地元の動物園でくすぶるパンダなど、総勢25人の人間と、3匹の動物が絡み合い、出会うはずのなかった人たちの偶然が連鎖して、物語は思わぬ展開へと転がっていく――!

何しろ登場するキャラクターの数が尋常じゃないのが、本著の大きな特徴でもあり、読みどころ。「誰が誰だっけ?」となってしまいがちな人は、冒頭にあるキャラクター図を確認しながら読み進めていくと楽しさが倍増する。それぞれのキャラクターたちのアクの強さや、会話劇のおもしろさにクスクス笑いながらも、物語を動かす大きなカギとなる、パンダの厳ガンガン厳の暴走ぶりにも注目!

元は野生だった厳厳が「動物園の人口密度に耐えられない」と、飼育員の目をかいくぐって脱走していくその姿は、まさに小説でしか味わえないファンタジー要素がたっぷり。パンダ好きでもそうでなくてもキュンとしてしまうこと間違いなし。そしてラスト。登場人物とお宝捜索の攻防戦が回収される場面では強い爽快感が味わえる! それと同時に、ここまで緻密な世界を作り出せる、小説家・恩田陸さんの手腕にあらためて驚くかも。

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取材・原文/石井絵里


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