育児をがんばるすべてのママ・パパへ! 映画「ママをやめてもいいですか!?」を観て思い出したこと
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渡辺有紀子
2020.02.14 更新日:2023.12.20
ママの不安と孤独に寄り添ってくれる、
ママのための映画
少し前のことになりますが、映画「ママをやめてもいいですか!?」のプレス向けの試写イベントに行ってきました。この映画は、9才の女の子のパパでもある映画監督・豪田トモさんが、「日本の子育て環境を本気で変える!」という使命感のもと制作したドキュメンタリー映画です。
この映画が生まれる最初のきっかけは、日本助産師会の山本詩子会長(当時)に、「産後うつのストーリーを作ってほしい」と懇願されたことだったそう。その後、30分程度の動画を作るつもりで、何組かの家族に取材を重ねていくうちに、産後うつだけでなく、現代のママたちが直面する「孤独な育児」「ワンオペ育児」の現状を知ることに。「幸せなことである出産や子育てにおいて、多くのママが実は追い詰められているのだ」ということを知り、「ママの孤独と不安に寄り添い、感謝と元気を届け、笑顔になってもらえる作品が必要なのでは…」と思ったそう。そして、「自分がやらなければ!」という思いが爆発し、3000万円の貯金を少しずつ切り崩しながら制作したのだとか!!

試写イベントで、豪田トモ監督が自ら、映画誕生のきっかけや、「日本の育児環境をもっとよくしたい」という思いを話してくれました
映画のネタバレになってしまうので、詳しくは書けませんが、産後うつを乗り越えて新たな命の誕生を迎えるママ、幼いときに母親が産後うつで自死、その傷に向きあいながら子育てをしているママ、わが子を抱きしめることができないママ…など、子育てに奮闘するファミリーに密着。
子育てに悩み、つまずき、それでも子どもを愛し、前を向くママとその家族の歩みを、涙と笑いを交えながら綴った物語です。劇中にも出てくるママのリアルな本音「子どもはかわいいんです。大事なんです。愛おしいんです。…でも離れたいんです」という言葉には、共感しかありませんでした。子育て中のママたち、そしてパパたちにもぜひ観てほしい映画です!!!
公開は2月29日(土)から。東京「新宿シネマカリテ」から始まり、愛知「伏見ミリオン座」、大阪「テアトル梅田」、京都「京都シネマ」での順次上映予定です。さらに、「この映画を上映したい!」という人やグループ・団体からの「自主上映会」の開催も受付中。ママサークルで上映会をしたい、地域の公民館で子連れOKの上映会を開いてみたいという人は、ぜひ、公式サイトで概要をチェックしてみてください。
★詳しい上映スケジュールや自主上映会の申し込みは、公式サイトから→映画「ママをやめてもいいですか!?」公式サイト
「ママをやめたい」と思うこと、
私もあります
突然ですが、ママの皆さん、「ママをやめてもいいですか?」と思ったことはありますか? 試写&トークイベントで発表されたアンケート結果がこちら。
※インディゴ・フィルム調べ(回答者391人)
私も「ママをやめたい」と思ったこと、あります…。もちろん、口には出さないようにしていますが、心の中で「えーん、もう、やめてもいいですか~?」と泣いてること、結構あります…。
実際に、平日夜のワンオペで、もう疲れすぎて、身も心もボロボロというときは、「お母さん、もう限界! 今日は閉店ガラガラで~す」と宣言したことも(笑)。
そんな私は、お正月のフジテレビの大家族の特番を見て、大家族のママがが朝5時起き、深夜2時就寝で家事育児をしていても、「この状況(大家族)にしているのは、私たちだからがんばらないと」といつでも笑顔を絶やさないでいる姿を見て、自分が恥ずかしくなりました。そのママは12人も育てて仕事もしているのに、私はたった2人で弱音を吐いて…と。それに、私だって、のぞんで2人のママになったはずなのに…と。
正直、育児は思っていた以上に大変で。出産前もずっと育児雑誌の編集をやっていたので、育児の大変さはわかっていたつもりだったんです。でも、赤ちゃんが泣きやまないのがこんなにしんどいなんて! こま切れの睡眠がこんなにつらいなんて! 1人で赤ちゃんの命を預かるプレッシャーがこんなに大きいなんて! 赤ちゃんの泣き声に気づかずにいびきをかいて寝ている夫にこんなに腹が立つなんて! そして、何より、すべてが自分のペースでできないことがこんなにストレスだなんて!
育児は思っていた以上に、ずっとずっと大変でした…。
こんなとき、「ママをやめてもいいですか?」と
心で泣きました
さらに、わが家は2人とも神経質でよく泣き、こだわりが強めのタイプだったので、赤ちゃん時代も、2~3才のイヤイヤ期も、苦労しました。
たとえば、息子のイヤイヤ期がひどく、入浴時に湯船に私が先に入ったことに突然怒り出し、もう一度浴室に入るところから「やり直して!」言われ、冬の寒い日に濡れたままの全裸で浴室のドアを開けるところからやり直しをさせられたとき……
娘の便秘治療の浣腸をするために20時から22時まで精一杯やさしく説得し続け、最後は「ママの意地悪!もう嫌い~~~!!!!」と絶叫されながらなんとか浣腸をし、泣き終わって眠くてぐったりしている娘に「ママへたくそだから、次はもっと上手にやってよね」と言われたとき……「もうやめたいよ~」と心で泣きながら、「子育てって、どんだけ忍耐力を試されるんだ~~!!!」と叫んでいました。
もちろん、かわいくて、愛おしくて、大切だから、日々がんばれるんです。でも、一生懸命がんばっているからこそ、報われないときは落ち込んでしまうし、時には緊張感や責任感から解放されて自由に過ごしたいんです。以前、「ワンオペ育児の息抜き時間の作り方」という記事にも書きましたが、1人目のときは、子どもから離れてリフレッシュする時間を持つことにも罪悪感がありました。
でも、二人目からは、そんな罪悪感は捨て、「ママが心も体も元気なほうが子どもにとってもいいはず!」と思い、リフレッシュのための一時保育などを積極的に利用するように。岩盤浴でボーっとしたり、マッサージを受けたり、うなぎやフレンチランチなど赤ちゃん連れではなかなか行けないお店でちょっといいものを食べたり、「贅沢した~」と思えることをするようにしました。
1人時間が取れないときは、ネットでいつもよりちょっとだけいい服やバッグをポチったり(そのときの特別感を出すためにも、普段はプチプラで我慢!)、仕事帰りに子どもたちに内緒で食べる自分のための贅沢なお菓子を買ってみたり(深夜に大好きな小沢健二さんの音楽を聴きながら食べると幸福感アップ!)、子連れで行けるママバレエに行ってリフレッシュをしたりして、精神バランスを保ってきました。
ママをやめたいと全然思わない人もいるかと思います。それはとても素晴らしいことだと思います!! でも、少しでも「ママをやめたい」と思うことがある人、そのことで自分を責めず、そう感じたときは、少し休んで、できれば家族の協力や一時保育などで自分の時間を作って、それも難しい場合は自分を労わるご褒美を用意して、またわが子のためにがんばりましょう!
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渡辺有紀子 Yukiko Watanabe
編集・ライター
1979年、新潟県出身。妊娠・出産・育児の雑誌編集を16年間経験。家族はレコード会社勤務の夫、2010年生まれの息子、2014年生まれの娘。ほぼワンオペで仕事と育児の両立に奮闘するも、娘の便秘通院をきっかけに退社し、フリーに。趣味はクラシックバレエ。