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わが子の「学校へ行きたくない」に親ができること

子供の不登校、親の対応は?【不登校新聞】編集長 石井志昴さんに聞く

  • LEE編集部

2020.02.10

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小学校高学年~中学生で増える、長期間におよぶ不登校。

不登校新聞編集長 石井志昴さんに、不登校の現状や、実際に不登校になるとどうなるのかをうかがいました。

●この記事は2019年10月7日発売LEE11月号の再掲載です。


最も不登校が多いのは思春期。小学生も増えています
もしも子どもが実際に「不登校」になったら・・・?

20年以上取材を続け、不登校の現状に詳しい、不登校新聞編集長 石井志昴さん。昨年、不登校者の人数は過去最多に。

2018年10月の最新データでは、不登校者数は14万人。5年連続増加し続け、過去最多という数字に

 

「20年前に比べると1・5倍に増えていて、中学生で100人に3人、小学生は1000人に3人ほどの割合です。中学生に比べるとまだ小学生は少ないのですが、ここ数年は、小学生の不登校の伸び率が高いといわれています」(石井志昴さん)

● 不登校の人数は過去最高の14万人

文部科学省が公表した「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、不登校の人数は小学校、中学校合わせて14万人。グラフを見ると、ここ5年でどんどん増加中。

そこまで増えているのは、なぜでしょうか?

「今の学校の仕組みが、子どもには合いにくいんだと思います。病気以外の任意では休むことができず、休んでも授業の遅れなどを自分でカバーしないといけない。大人の有給休暇のように自分の希望で疲れたときなどに休めないことで、無理をしてしまうんです」(石井志昴さん)

ただ、不登校の本当の原因を探ることはとても難しいそう。

「中学生の不登校の原因のデータでは、友達との関係が半数。これ以外の疲労感、無力感、朝起きられない、勉強についていけないなどは、不登校の原因なのか、学校に行きたくないからこれらが結果として表れているのかわかりづらいんです。
また、文部科学省の不登校のデータは先生がとっているので、不登校の原因で『親』が多く、『先生』は少ないという結果が……。子どもの真意はつかみづらいのが現状です」(石井志昴さん)

不登校になる子にタイプや傾向はない。親は子どものSOSをつなげて

親としては、もしわが子が学校に行かなくなったら……?と不安になるもの。不登校になりやすいタイプや傾向はありますか?

「いろいろな調査がありますが、実は、不登校になる子にタイプや傾向はまったくないんです。
男女や地方差もないし、勉強が得意でも不得意でも関係ない。正直わからなくて、ただ共通しているのは“学校という場が合わなかった”ということだけなんです。
ぜひ知っておいてもらいたいのは、不登校になっても25%が年度内に学校に復帰すること。そして、小中学校で不登校でも85%の人が高校に進学するという実態調査も」(石井志昴さん)

小学校、中学校で不登校だった子どもの高校進学率は85%
不登校になると、親が心配なのが、高校、大学への進学や就職ができなくなるのではということ。実際は、85%は進学しており、不登校でも将来を棒に振るわけではないことがわかる。

「不登校になってもフリースクールや支援センターを活用、自宅で勉強するなどして、将来につなげる子は多いんです」(石井志昴さん)

不登校になっても親は焦りすぎずに、見守ってほしいとも。

子どもが学校に行きたくないと言ったときは、ぜひ無理しなくていいんだよと伝えて、休ませてあげてください。

 

「よく引きこもりにならないように学校に行かせるという親もいるのですが、無理をさせるほど、後から引きこもる率は高まります
ただ……ほとんどの親は初動を誤るんですね。子どもが不登校になると動揺して無理に行かせようとして、子どもは期待にこたえなきゃと追い詰められる。
最近は、両親ともに働いている家庭も多いので、休んで家にいさせるわけにはいかないから、というケースもありますね。
これは仕方のないことだと思うのですが、明らかに食欲や元気がない、朝ボーッとしている、やりたくないというレベルではなく拒否反応で宿題ができないなど、体に出てきたら本当にギリギリのラインです。首の皮一枚残しまで頑張らせるのではなく、その前に子どものSOSに気づいてほしいですね」(石井志昴さん)

● 実際に多い不登校後の進み方

フリースクール
不登校者を受け入れる民間スクール。自由で行きやすいことも多いが、平均で月3万3000円の費用が。

教育支援センター
地域の不登校者の支援を行う機関。施設長によって千差万別なので、本人に合うか確認がマスト。

家で過ごす
週1~2回登校して、傷を深めつつも家で過ごす人は多い。家にこもっては学校に行く、を繰り返す。

いざというときにサポートを受けるための、相談機関を知っておくことも大切。

「まず、地域の相談機関としては、不登校などの子どもを支援する『教育支援センター』があります。また、小学生の不登校でも、中学生の不登校相談窓口に行くのがおすすめ。ケースが少ないこともあり、小学校の不登校対応は20~30年遅れているといわれます。
民間では、フリースクールで電話相談ができるところや、不登校の子どもを持つ親の会などもあり、情報が得られることも」

学校以外に、複数に相談してもデメリットはないと思います。

 

「子どもが不登校になると、親は自分を責めます。でも、実は子どもの不登校は、自分の子どもであっても人ごとで、親だけで解決できる問題ではない。冷静さを保つためにも、さまざまな機関を利用してサポート体制をつくること。親は“子どものSOSをつなげる”意識を持ってほしいですね」(石井志昴さん)


イラストレーション/漫画家 小林 薫さん 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
イラストを担当してくれた小林薫さんは、娘が中学生のときに不登校に。フリースクールに通ったり、私立へ転入をしながらも、現状への不満や将来への不安も……。著書『娘が不登校になりました。「うちの子は関係ない」と思ってた』(¥1000/ぶんか社)には、親子の思いが赤裸々に描かれています。

この記事は2019年10月7日発売LEE11月号『わが子の「学校へ行きたくない」に親ができること』の再掲載です。

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