演じるバンドの楽曲が先行配信され、2人の歌や演奏はじめ音楽面でも大注目の本作。
気がつけば友達の部屋でくつろいでいるようなリラックスモードの2人に、お互い、この2人でしか考えられなかったという役柄や作品の魅力と、その仲良しぶりを伺いました!
お互いが相手だからこそ
演じきれた信頼と安心
絶好調が続く日本映画界で、層が厚いといわれるU25の若手俳優の中でも、人気・実力ともにトップを走る新田真剣佑さんと北村匠海さん。2人がW主演を務める映画『サヨナラまでの30分』は、その売れっ子ぶりを示すかのように、なんと4度目の共演となります。
北村「確かに“またか……”感はあったよね(笑)」
新田「そうそう。でも心を通じ合わせてひとつの役を2人で演じると考えたとき、匠海くらいしか思い浮かばなかった。“この役はきっと匠海だろうな”と思ったし、また一緒にできてうれしかったよ!」
北村「何度も共演してきた中で、ある種、2人で作り上げる集大成になったよね。作品を2人で背負うのもうれしかったし、相手がまっけんじゃなかったら、演じきるのはやっぱり難しかっただろうな」
“2人でひとつの役”とは、新田さんが演じるアキが、北村さんが演じる颯太の体を“借りる”こと。1年前に死んだボーカリストのアキは、偶然カセットテープを拾った颯太と、テープが回る30分だけ入れ替われるのですが……。
新田「僕はアキだけ、匠海は颯太と(颯太の中の)アキを演じて。だからアキは2人の役という感覚。映ってはいるけれどアキは本来、この世にはもういない人間で」
北村「アキはとてつもないファンタジーでもあるから、演じていてすごく不思議な感覚だったな」
演じた役は正反対でも
素の2人は意外と似てる!?
大学生の颯太は、超のつく人嫌い。ところがグイグイくるアキの影響で、颯太自身も変わっていく――という展開は、新しい扉が開かれていくような、新鮮な喜びを観る私たちにも分けてくれます。
北村「颯太は内向的で、内にしか矢印が向いていない人。自分の世界にほかの人は足を踏み入れてほしくない、と拒絶していて」
新田「対してアキは矢印がすべて外に向いている、明るくエネルギーを放出する太陽みたいな人」
北村「颯太がアキに変わった瞬間、まっけんに近づけて背すじをピンと張り、前を見据えている感じにして。とにかくまっけんが納得するアキにしなければと、目や笑う感じ、ひと言目にポンとスピード感のあるしゃべり方など、まっけんの芝居を見て作っていって。だから映画を観る前はドキドキで怖かった」
新田「観たら自分が作り出したアキと重なるアキを感じたし、見事に颯太からアキにスイッチしていて、もう素晴らしかったよ!」
正反対な2人を演じられた新田さんと北村さんは、どっちのキャラクターに近いのでしょうか。
新田「どっちも颯太に近いよね」
北村「最初、まっけんはアキっぽいと思ったけど、まっけんも意外と颯太だよね。僕は、人付き合いを克服した颯太って感じかな」
新田「アキになるのは、だから実はすごく難しかった!」
北村「うん、すごく難しかったね」
涙があふれる歌声に込めた
それぞれの思いとこだわり
劇中で披露される素晴らしい演奏と歌唱も、大きな見どころです。アキだけでなく、アキが体を借りた颯太自身も実は驚くべき音楽の才能の持ち主で、それが後の切ない展開につながっていくのですが、その歌声だけで思わず涙がこぼれるシーンも続出です!
北村「僕は音楽活動を並行しているのでホーム感もあり、みんなをボーカルとして引っ張っていけたらいいな、とも思っていて」
新田「僕は普段は音楽をやっていないので、まずノリが難しかった。少ない練習の中、どう“慣れ感”を出すかがけっこうチャレンジングで」
北村「しかも撮影前にレコーディングをしたので、その時点で役の人格を完成したうえで颯太としての歌い方、アキの歌い方をしなければならず、それがなかなか大変でした。ただまっけんの一音へのこだわりは、ストイックだったね。音楽やってるこっちと立場が逆だぞ、と(笑)」
新田「確かにこだわりが強いけど、今回は新田真剣佑として本気で歌うのではなく、まだ売れる前のバンドの歌だから、どこかカラオケっぽい感じにしたかった。歌唱は匠海に本領発揮してもらって、それとは差をつけたかったから」
北村「映画ではアキとしての歌だったけど、本当のまっけんは別のよさがあってすごくうまいんですよ!」
音楽への夢、バンドのメンバー同士の葛藤や友情、さらにメンバーのカナを巡りアキと颯太が奇妙な三角関係に陥る展開など、後半ますます切なさが募っていきます。
新田「演じている間はアキとして本当に切なくて、自然と泣けて涙が出てきて……」
北村「まっけん姿のアキはみんなには見えないから、誰とも目が合わない。だんだん颯太がメンバーとなじんでくると、あんなに生き生きしていたアキが言葉を失い、寂しそうな表情をする。映画を観て、それだけでもう泣けて、泣けて」
新田「号泣したんだって?」
北村「するでしょ、そりゃ!」
新田「本当にいい奴だなぁ。いつも匠海には助けられてばかり。今日みたいな取材でもいてくれるだけで楽しいし、話はうまいし」
北村「(苦笑)。本作は“青春音楽映画”と銘打たれているけれど、むしろ僕は“あの頃の青春を取り戻す映画”だと思った。みんなでもがく姿が切なくて、美しいものをすごく感じて、本当にいいな、と」
さて、最近ではプライベートでなかなか会う時間が持てないほど、多忙を極めているそうですが……。
北村「疲れたとき、僕はお酒を飲んだりすることもあるけれど、まっけんはお酒も飲まないし、そんなストイックな生き方、つらくない?」
新田「うん、まったく飲まないね」
北村「僕は挙げたらキリがないけれど、まっけんの弱点、あるのかなぁ。家もすごくきれいだよね」
新田「うん、掃除好きだし、とてもきれい。弱点……あ、あった。朝が弱い!」
「2人でひとつの役を演じるなら匠海しか思い浮かばなかった」
Question for Arata Mackenyu
Q. 新田さんが思わず"男惚れ"しそうになる自分だから知る北村匠海の魅力とは?
A. 面倒見がよく、気がきいて優しい。匠海が女性だったら結婚したいくらい。いつも冷静で絶対に怒らない。まるでお爺ちゃんみたい(笑)。
Q. セリフにあるように「今すごく生きてる!」と日々の中で感じる瞬間は……
A. その日の芝居が終わった瞬間、うわ~、生きてるわ~って。勝負シーンほど終わるとうれしくて、メチャクチャ気持ちいいんです。
あらた・まっけんゆう●1996年11月16日、米・ロサンゼルス生まれ。2014年より日本で活動開始。代表作に『ちはやふる-上の句-/-下の句-』(’16年)、『十二人の死にたい子どもたち』(’19年)など。『カイジ ファイナルゲーム』(’20年)、『ブレイブ-群青戦記-』(’21年)が公開待機中。主演舞台地球ゴージャス二十五周年祝祭公演『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』が3月より上演。
「この作品は、まっけんと2人で作り上げる集大成みたいなもの」
Question for Takumi Kitamura
Q. 北村さんが思わず"男惚れ"しそうになる自分だから知る新田真剣佑の魅力とは?
A. 誰がどう見てもイケメンすぎ。生まれながらのオーラや雰囲気も備わっているのに、それらを武器にしていない感じが、さらにいいんですよ。
Q. セリフにあるように「今すごく生きてる!」と日々の中で感じる瞬間は……
A. 仕事中はいつも気を張っているので、家に帰ってフッと力を抜いて、リラックスした瞬間、「俺、生きてるわ~」って(笑)。
きたむら・たくみ●1997年11月3日、東京都生まれ。子役からキャリアを積み、2011年よりダンスロックバンド「DISH//」でメインボーカルとギターを担当、’13年にメジャーデビュー。代表作に『君の膵臓をたべたい』(’17年)、『影踏み』(’19年)、『ぼくらの7日間戦争』(’19年)など。
映画『サヨナラまでの30分』
メジャーデビューを目前にこの世を去ったアキ(新田真剣佑)。拾ったカセットテープをきっかけに、大学生の颯太(北村匠海)の体を借りてメンバーにバンドの再結成を迫るが……。1月24日より全国ロードショー。
撮影/菅原有希子 ヘア&メイク/カスヤユウスケ(ADDICT_CASE)(新田さん) 佐鳥麻子(北村さん) スタイリスト/櫻井賢之(新田さん) 鴇田晋哉(北村さん) 今田 愛(プロップス) 取材・文/折田千鶴子
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