紅ゆずるさん「ファンの気持ちを絶対に裏切りたくない」…元・宝塚星組トップスターが1stコンサート「紅-ing!!」にかける思いとは?
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高見澤恵美
2020.01.14
元・宝塚星組トップスター、紅ゆずるさんが本格始動!2020年2月、1stコンサート「紅-ing!!」が上演決定
2019年10月に宝塚歌劇団を卒業した、元宝塚歌劇団星組トップスターの紅ゆずるさん。2020年2月には、自身初となるライブコンサート「紅-ing!!」に臨みます。その見どころや、「紅5」など多彩なキャストとのエピソード、現在のファンへの思い、プライベートでの様子などをうかがいました。
宝塚の男役時代に歌っていた曲も、現役中と今ではまったく違うものに
――タイトル「紅-ing!!」(クレナイ-イング)にこめた思いとは?
紅:本当は、新しいものだから「紅NEW」とか、英語で「KURENAI」とか、色々考えたんですけど、やっぱり紅進行形が一番いいと思って決めました。
宝塚をやめちゃうと、ファンの方は「寂しい」って思われるじゃないですか。だけど、今までの紅ゆずるというものがあってこそのこれからなんだよ、ということから、「紅-ing!!」(クレナイイング)で“続行”を表現しました。男役ではないけれども、これからも続きますよ、新たな紅ゆずるというものを目指してこれからもやっていきますよ、ということを伝えたくて。
――特に注目してもらいたい見どころは?
紅:前提として、自分の中では宝塚にすっごく満足して退団したんですね。ファンの方の意見を聞いたら、もちろん「やめないで」とおっしゃると思うんですけど、やっている本人はやり遂げたという気持ちで。自分自身で(トップスターとして演じる作品は)大劇場5作と決めました。この5作というのは、完全にやりきるために決めたものであり、実際、完全に出し切ったという思いが自分の中にあるので、(退団後の今)次にいけるんですよ。
ただ、その“次”のときに、宝塚の男役時代に歌っていた曲を歌ってもらえたら、私がファンだったらすごくうれしいんですよ。現役中に聴くものと、退団してから聴くものとでは全然違うと思う。お客さまにとっても初めてのことだし、私にとっても初めてのこと。それを共有していただきたいんですね。プラスで、新しい曲も色々出てくると思いますし、「紅5」(※1)も、今までとは違って、集まる4人全員が宝塚歌劇団を退団しているんですね。(※1【クレナイファイブ】在団中に、紅さん、美弥るりかさん、壱城あずささん、如月蓮さん、天寿光希さんで結成された男役5人組ユニット。今回のコンサートでは退団した4人<在団中の天寿さん以外>の出演が決定している)
今回は、演者やアーティスト、女優……みんな方向は同じですけれども、ジャンルが異なる人が集まった「紅5」。今までは宝塚の“男役くくり”で「紅5」がありましたけど、男役を卒業してからこうやって結成することが新しいと思ってます。
私が在団中に、美弥、壱城は先に退団していて。退団してから各々が新たな場所でいろいろと感じることもあったでしょうし……そういうことを全部経て、これからもみんなの人生は続いていくわけですから、その現段階での「紅5」もお見せできるんです。
私自身はもちろん性別は女性ですけど、ファンの方は、私の女役というものを見たことがないわけで。まぁ(宝塚在団中に女役の経験も)ありますけど、それは男役をやっている前提での話ですから。今回はその前提がなくなるんです。
今までの宝塚と別に変わらないことをやっているように見えるかもしれないけれど、そこが大きく変わっていて。私の中でも(男役時代とは)心が違うから、また全然違う(表現の)出し方になるだろうし、(ファンの方々の)受け取り方も変わると思うんです。その中に新しさを感じていただきながら、懐かしさも感じていただけるコンサートにしたいと思っています。
今回って現役が出るのであれば話はまた違ってくるんですけど、まったく出ないんですよね。プラス、男性の方が入ってらっしゃいますし、そういう意味でも今までの宝塚とはまた違う。
まったく違うものをやりたいという気持ちはあまりなくて。今段階での私というものをお見せできたらいいと思うし、各々のキャストが、そのときそのときの自分というものを魅力的に見せられたらと思っています。
――「紅5」のみなさんとの関係性で、在団中と変わった部分はありますか?
紅:全然変わらないですね。変わらず、本当に仲良しで。この間も、現役の天寿も一緒に、全員で箱根に旅行へ行ってきたんですよ。仕事が忙しい人もいるので集まりがバラバラで、全員集まったのが夜だったっていう状況でしたけれど、それでもやっぱりすごく楽しかった。いつまでたっても変わらないし、彼女たちからも、私は「ずっと変わらない」と言われていますし……。そこをお互いが確かめる仲というか。苦楽を共にして、なおかつ変化にも気付ける人たちと共に作るものって、やっぱりどこか違うと思うんですよ。
「紅-ing!!」は私中心ではあるものの、みんながそれぞれアピールできる場であったらいいなと思いますし、これからの活動に向けての大きなコンサートでもあるので、各々が充実したものにしてほしいなと思っています。
――紅さんのファンとしても知られる、ゴールデンボンバー歌広場 淳さんがコンサートに参加されます。どのようなことを期待してのオファーでしたか?
紅:歌広場さんという方は大変常識のある方で、自分よりも人のことを先に考える方。すごく頭がいい方ですし、「ファンの方はきっとこういうことが知りたいはず」とか、「きっと紅さんはこういうことが言いたいはず」ということが分かってくださる方だと思うんですよ。私のファンだからとか、宝塚好きだからっていうのではなくて、そのお力をお借りしたかったんですね。
今って、私もファンの方も接する機会が一気になくなってしまったんですよ。直接的な交流が全然ない状況なので、それを歌広場さんに埋めていただきたいなと。ファンの方も(会場では)本当は質問したいけど、なかなか直接ポンポン聞けなかったりするじゃないですか。歌広場さんならば、“歌広場 淳が聞きたいこと”ではなくて、きっとファンの方の気持ちも汲んで聞いてくださったり、私自身の話を引き出してくれるのではないかと思い、ぜひご出演いただきたいと思いました。
退団後も思いは変わらず。ファンの気持ちは絶対に裏切りたくない
――ファンへの思いとは?
紅:「みんな、私のこと応援してやって」とかではなくて……。ファンの方って、手紙を渡してくださるだけでも2時間も3時間もずっと待ってくださるんですよ。そんなことって、普通ある? って思いますし、本当に寒い中で、すごく雨が降っていても、傘も差さずにカッパだけで待ってくださる……。ファンの方が密集していると、傘がさせないんですよ。待ってくださるときに飲食もできなかったりとか……。そういうことに耐えてでも手紙を渡してくださったり応援してくださるということは、並大抵の“好き”じゃ、たぶん無理だと思うんです!
私だって、できるかな? って思ったらできないと思います……。それだけの愛情を向けてくださることは、本当にありがたいことだなと心から思いますし、やっぱりそういうファンの方の気持ちは絶対に裏切りたくないという思いがすごくあるので、これからも大切にしていきたいなと思うんです。
自分は紅ゆずるって名前も(宝塚歌)劇団にお借りしているわけですし、今後、芸能活動をすると決めたからには、宝塚という原点があっての紅ゆずるであるってことを大切にしたい。ここまで育てていただいたのも劇団はじめファンの方々のおかげなので、これからも、一緒にいろんなことを共有していきたいですし、一緒にいろんなことを感じていただけたらなと思います。
その思いから、今回もコンサートを選んだので。映像だったら(ファンの方の気持ちが)分からないじゃないですか? やはり一番大切にしたいことなので、私自身もファンの方の要望やいろんなことに挑戦していきたいなと思います。今までと表現は違うのですが、私を応援してくださっているファンの方は絶対に大切にしていきたいです。
プライベートではカジュアル服が好き。自分が着たいと思った服しか着たくない
――ここで、LEE読者の紅さんファンからの質問をご紹介します。
<ファンからの質問1>「星小路紅子(ほしのこうじ・べにこ)」(※2)にまた会えますか?(※2:「紅ゆずるファンの大劇場客席案内係」という設定のキャラクター)
紅:そうですね(笑)。会いたいと思ったら会えますよ。秘密ですけど。願えば叶う! という感じです。
――<ファンからの質問2>いつもおしゃれな紅さん。在団中、公演日の“入り待ち”や“出待ち”等でファンに見せていた私服は、B-BOY系やフォーマル系など、さまざまなテイストでしたが、プライベートで好きな服装は?
紅:私、プライベートではカジュアルな服装が好きなんですよ。
“入り出”(“入り待ち”、“出待ち”の通称)のときから夢は“始まっている”んですね。舞台だけがONではなくて、“入り出”のときからファンの方はすべてが“始まっている”と思います。もちろん私自身も“始まっていた”んですね。
男役でいるということは本当に“夢の世界”なので、「舞台だけちゃんとしていればいいや」ではないんです。“入り出”でお手紙をいただくときはもちろん、他のファンクラブの方やギャラリーの方、宝塚のファンの方々に対しても(その姿勢でした)。そこはすごく大切にしていきたいと自分自身も思っていたので、いろんな服を着ていましたね。すごくメンズっぽくしてみたり、ちょっと中性的にしてみたり……。好みというよりは、「今日はこういう感じ」の紅を見ていただきたいというスイッチでした。
私、サングラスだけでもどれだけ持っているのか! というくらい持っているんです。朝、“入り”ではサングラスをかけるので。やっぱり顔って一番見るじゃないですか。そういうところから大切にしたいなと思っていたので。
――プライベートでは全然違う服装をしていたんですか?
紅:宝塚在団中はもちろん、どこでファンの方に見られても夢を壊さない格好でした。
――退団後、スカートは履きましたか?
紅:お仕事では履きましたが、オフではないですね。
――スカートの購入は?
紅:1着買ったんですけど、それは、例えばパーティなどがあったときに、パンツ以外でと言われたら困るなと思ったので買ったんですけど、履くかどうかはちょっと分からないですね(笑)。
――どんなスカートですか? 丈は?
紅:そこはあんまり、いいです(苦笑)。(丈は)長めです、もちろん。買ったとしても、お目見えするかどうかはちょっと分からない感じですかね。
――なぜまだ履かないのですか?
紅:やっぱり慣れていないんですよね。慣れてないですし、自分が今履きたいとは思わないのに、無理に履く必要はあるのか? って。服って、自分が着たいものを着るじゃないですか。なんで別に着たくないものを着なきゃいけないんだ? と。そのうち着たいなと思うときがきっと来るはずだから、そのときまで別によくない? と。
――スカート便利そう、とは思わない?
紅:便利そうとはまったく思わない。むしろ不便、不便利! (LEE1月号を開いて、ざっくりフーディ×パンツのコーディネートを指差して)でも、こういう服は結構着てますね。ざっくり、ざーっくり。
――フーディがお好きなんですか?
紅:そうですね。それにキャップだよ~みたいな。どこから見ても男役のときと変わらないですが……(笑)。
ファンに声をかけられるのはめっちゃうれしい!
――<ファンからの質問3>次の質問にいきます。好きな褒め言葉=「端正」と発言されている紅さん。退団後の今、紅さんにとっての「端正」とは?
紅:(笑)。いや、なんか……自分のことを「オレかっこいい」とかいう人は今までいたんですけど、「オレ端正」っていう人はいないんですよ!
――確かに……。
紅:(発端は)基本的におふざけから始まっているんです。公演とかまったく一切関係なく、稽古場で、下級生の前とかで自分で「めっちゃイケてるわ~」「なんでこんなイケてるの」とか積極的に言ってて。それを見た下級生がブッて(吹き出す)感じだったんですよ。で、誰も言ってくれないので、気分を上げるために自分でどんどんポジティブに言っていました(笑)。
――(笑)。その後、「端正」が周囲に広まっていったのですか……?
紅:ある朝、みんなに「おはよう。どう?」って振って、「元気です!」って返されたら、「違う違う! 私のこと! どう? 私、めっちゃ端正じゃない?」って聞いたんですよ(笑)。そしたら、みんな「た、た、端正です……」って返してきて(笑)。そこから合言葉のように「おはようございます! 今日も端正ですね!」と言われるようになったんです。もはや挨拶だったんですよね(笑)。
舞台でも開演前に袖に行くと、「すごく端正ですね、端正です!」と、(組子の)みんなに言われながら、自分でも「端正だ……」とか言っていたんですね(笑)。
――すごい挨拶ですね(笑)。ちなみに現在の一番好きな褒め言葉は?
紅:「端正」です(笑)。英語でいうと、「decency」(ディーセンシー)なんですけど。一回、現役中に「decency」というショーをやってほしいって言ったことも(笑)。
ただ、退団してから、外で下級生に「さゆみさん(紅さんの愛称)、端正ですね!」って大きい声で言われるととても恥ずかしくて、ちょっと待って、待って~って(笑)。この瞬間、なんか宝塚を卒業したって感じ! って実感するんですよ。
そんな感じですけど、舞台に上がるとおそらくまた同じ端正スイッチが入ると思うので。今度のコンサートではまたスイッチが。なので、「屋号は端正です」と書いてください(笑)。
――外でファンに声をかけられるのはどうでしょう?
紅:それは大丈夫。ファンの方に声をかけられるのは素直にうれしいです。「端正ですね」も言ってほしいし、「紅さんですよね」って声かけてほしいなぁって思う。たぶん、私ってきっと見かけは声かけにくいんですよね。自分でも分かってるんですよ。
――では、ファンからの「端正ですね」もOKですね?
紅:もちろん全然いいんですよ。だけど、言ってくださるなら本当に思ったときだけで結構です! だから心の底から言ってくださいねって(笑)。
――最後に、無茶ぶりですが、LEEやLEE読者への一言もお願いします!
紅:(LEE1月号表紙に書かれた特集タイトルを見ながら)「ALL1万円台まで!家族にうれしい『最高のコスパ服』」っていうね。高額なものならばいいものって手に入ると思うのですが、こういう値段設定で楽しめるっていいよね。(鍋特集のページを見ながら)私もそうですが、お鍋作るのラクだからいいですよね。
――家ではお料理も?
紅:ときどき自炊してます。30代、40代って、今の私と同じ(年代)。活躍されている方も多くいらっしゃると思いますし……人生でも大変なことが多い時期。そんな中でも、こういう雑誌を買い求めて、服をマネしたりする。その心を忘れないでほしいなと思います。……私がこれをみてマネしますね(笑)。
――では、スカートを履く際はぜひLEEを参考に!
紅:そうですね、勉強しますね(笑)。じゃ、これ(LEE)、いただいてかーえろ!
コンサートやファンへの熱い思いを真剣に語ってくれた紅さん。絶えず気づかいの言葉をかけてくれたり、関西弁での軽快トークで笑わせてくれたり……と、あたたかい人柄を感じる取材でした。現在進行形の紅さん、これからの活動から目が離せません!
■キャスト:紅ゆずる、壱城あずさ、如月 蓮、宇月 颯
梅咲 衣舞、十碧 れいや、華鳥 礼良、小南 竜平、田極 翼
<Special Guest>
・歌広場 淳(ゴールデンボンバー):大阪公演:2月7日12:00公演 東京公演:2月13日18:00公演
・美弥るりか:東京公演
■構成・演出:藤井大介(宝塚歌劇団)
■スケジュール:
<大阪公演> 梅田芸術劇場メインホール
2020年2月6日(木) ~ 2020年2月9日(日)
<東京公演> 東京国際フォーラム ホールC
2020年2月13日(木) ~ 2020年2月15日(土)
■公式サイト
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高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。