富山県高岡市。不勉強な私は藤子・F・不二雄先生の出身地くらいの認識しかなかったのですが、高岡銅器ををはじめとするものづくりが盛んなまちとして、今注目を集めています。調べてみると工場見学や製作体験を実施する工場がたくさん！　工作に興味を持ち始めた息子も喜びそうということで、高岡工場見学ツアーに行ってきました。

工場のイメージを覆す、きれいな場内で職人さんの仕事ぶりを拝見

最近、東京でもよく見かけるようになった柔らかな錫（すず）の食器。純度100％の錫食器を日本で初めて商品化したのが、高岡市に本社を置く「能作」です。1916年に鋳物の製造を開始してしばらくは仏具や茶道具、花器を作っていました。しかしライフスタイルの変化で売上が低迷。そこで現社長のアイデアでオリジナルのテーブルウェアやインテリア雑貨の製造を開始。工場もきれいにリニューアルし、数多くの観光客が訪れる人気スポットになっています。

美術館のような建物の能作本社。提供：高岡市

田園風景が広がるのんびりした場所に本社はあり、そこで毎日5回工場見学が行われています。観光地でもないのに、国内外から年間約12万人もの人が訪れるほどの人気！
なぜそんなに多くの人が惹きつけられるのだろう、と思いながら施設内に足を踏み入れて納得。工場というと薄暗くて、危険な印象がありましたが、こちらは明るくておしゃれ。子どもが一緒でも安心して見学できます。

エントランスには木型を美しくディスプレイ。インスタスポットとしても人気だそう。提供：高岡市

工場に入り、まずは鋳型を作り、金属を流し込む鋳物場へ。タイミングが合えば、炉で1000℃以上に溶けた真鍮を型に流し込む大迫力の鋳込み作業を見ることができます。

提供：高岡市

天井に明りとりの窓があり、薄暗さとは無縁で職人さんの仕事ぶりをじっくり観察できます。
続いてできた鋳物を仕上げる工程へ。作業する職人さんの様子をかなり近くで見ることができました。

提供：高岡市

NC旋盤機も導入していますが、研磨は人の手でしかできないそう。完全にオートメーション化せず、人が仕上げているため、能作の器は温かみがあるのでしょう。
驚いたのは職人さんの構成。現在56人いる職人さんの平均年齢は32歳。職人の世界＝後継者不足のイメージがあったので、かなり若いですね。そのうち4名が女性で、少しずつ女性職人も増えているそう。
工場見学後には、職人と同じ技法でオリジナルの錫製品製作を体験（要予約）。

ぐい呑や小鉢、箸置などが90分ほどで作れますので、旅のいい思い出になるはず。

能作の器で富山の食材を使った料理を堪能！

本社内にはカフェ「イモノ キッチン」があり、食事も楽しめます。

観光客だけでなく地元の方の利用も多いそうで、平日なのにこの人だかり！　人気のあまり、土日は2時間待ちになることもあるとか。こちらでは富山の食材をふんだんに使用した料理を能作の器で味わえます。

大門素麺とおにぎりセット￥1,500。提供：高岡市

富山ならではの料理は、とろろこんぶのおにぎり。こんぶの消費量が日本一の富山で、とろろこんぶのおにぎりはかなりポピュラーだそうですが、私は初挑戦。のりよりも磯の香りが感じられ、あっさりした味わいで食べやすかったー。子ども用のいすやキッズスペースもあるので、子連れにやさしいところも◎。
お腹を満たしたら、カフェに併設されている「ファクトリーショップ」でお土産を物色。

提供：高岡市

おなじみの錫のテーブルウェアはもちろん、花器などのインテリアグッズやアクセサリー、「ファクトリーショップ」限定品も揃っています。

職人が着ているTシャツも人気が高いそう。ドラえもんをモチーフにしたアイテムもあり、息子にねだられました。

日本初！　能作本社で錫婚式を

結婚25周年の銀婚式はよく耳にしますが、結婚10周年はなんと言うかご存知ですか？　ずばり錫婚式。能作を代表する素材ということもあり、本社で日本初の錫婚式を祝うプランをプロデュースしています。

ウェディングドレスなどの洋装、打ち掛けや留め袖の和装から衣装を選ぶことができます。能作本社内で挙式をしたあと、敷地内での記念撮影、能作の錫器での食事、鋳物製作体験と盛りだくさんな内容。

ブライダル事業は2019年4月に始まったばかりですが、毎週末には必ず予約が入っているほどの人気。結婚10年の記念日旅行を兼ねた県外からの家族も多く、能作が宿や観光スポットの提案もしてくれるのがうれしい。
1日すごせるほどの一大エンターテイメント施設。子どもと楽しめること間違いなしです。
後編では高岡市の伝統工芸を今に受け継ぐ職人さんがいる工房見学をご紹介します。

「能作」　
住所：富山県高岡市オフィスパーク8-1
電話：0766-63-0001
営業時間：10:00〜18:00（工場見学は9:30〜17:00、カフェのL.O.は17:30）
定休日：年末年始（工場見学は日曜・祝祭日休業。土曜は月により変更あり）
入場料：無料