FOOD

峰典子

テーマはパリの恋人たち。「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のバレンタインコレクション

  • 峰典子

2020.01.11

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恋人たちに贈る、バレンタインコレクション。

今年もいよいよバレンタインシーズンがやってきましたね。数多くのブランドからバレンタイン限定のチョコレートが登場していますが、わたしが注目するのは、老舗ショコラトリーであるラ・メゾン・デュ・ショコラのバレンタインコレクション。テーマは「パリ ジュテーム」。パリの街で過ごす恋人たちのひとときを、限定ショコラで表現。そしてそれを作り上げた、ニコラ・クロワゾーさん。そのクリエイションに迫るインタビューとともにお届けします。

パリの街並みをめぐる、4つのレシピ

パリの街並みがシルエットで描かれたパッケージを見るだけで心ときめく、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のバレンタインコレクション。パリの4つの風景を4つのレシピにまとめ上げています。それぞれがカリカリしていたり、サクサクしていたり、柔らかだったり…。ひとつ口にしたら幸せが押し寄せます。これは心を込めた冬の贈り物になりそう。それぞれに、ニコラ氏からのレコメンドを紹介します。

 LUXEMBOURG
リュクサンブール エクスキ
〜パリの雑踏から離れて、リュクサンブール公園の静かな並木道をひっそりと二人だけで散策するこの上なく甘美なひととき〜

「リュクサンブール公園には、爽やかな恋人たちが集まります。語り合うふたりをイメージし、ダークチョコレートとミルクチョコレートのデュオに、ベルガモット風味のアイスティーと、ニワトコ(エルダーフラワー)の爽やかさをプラス。フローラルの香りが楽しめますよ」

PETILLLANT
ペティヨン モンマルトル
〜活気に満ちたパリの余韻を味わいながらモンマルトルの丘の上の静かなテラスで過ごす1日の終わりは格別なひととき〜

「モンマルトルはかつて多くの芸術家が暮らした場所なんです。夜な夜なパーティを開いてお酒を飲んでいたアーティストをイメージして、桃をとじこめました。実際にはお酒は入っていませんが、ベリーニを飲んでいるかのような味わいです」

DESINVOLTE
デザンヴォルト サンジェルマン
〜誰でも自由気ままにカフェのテラスに座って流行を肌で感じ取ることができるのも、パリの醍醐味のひとつ。サン・ジェルマン・デ・プレ界隈のカフェは夜も眠ることを知りません〜

「ナッティな香りのハワイのコナコーヒーが、チョコレートとベストマッチ。サクサクのアーモンドとヘーゼルナッツのプラリネがアクセントになり、止まらない美味しさですよ」

OPERA
オペラ シック
〜まさにシックそのもの。リトルブラックをまとったチョコレートが姿を現したのは、舞台を見ようとパリの街に繰り出した人々が集う一画。幕がはねた後の興奮と賑わいがグラン・ブルヴァール沿いのそちこちのテラスに伝わります〜

「舞台帰りのお客が、ブラックドレスを着たままお茶をするカフェ。パリに昔から住む人が愛してやまない、クラシックなチョコレートをイメージしました」

類いまれなショコラクリエイター、
ニコラ・クロワゾー氏にインタビュー(後編)

(左)オー クールドゥ パリ 4,200円

クリスマスコレクションと共に紹介した、ニコラ氏のインタビュー前半はこちら

_バレンタインコレクションのコンセプトは?

長くこの街にいますが、パリはそれぞれの界隈によって、ぜんぜん違う顔を持っているんです。光の都と呼ばれるパリの4つの側面を、チョコレートで描き出してみようと思い立ちました。それぞれの印象を元に素材を組み合わせ、カリカリやサクサク、柔らかだったりと、食感の違いにもこだわっています。真ん中にハートがある「オ クール ドゥ パリ」は、空いている部分に指輪やメッセージを忍ばせてくださいね。

_個性豊かな素材の組み合わせは、どのように考えるのでしょうか

日頃から常に出会いを求めています。今回のバレンタインコレクションでいうと、「モンマルトル」に使用した桃は、フランス・ドローム産のものを使用。甘さのバランスが絶妙だったんです。旅先で、卸やメーカー、生産者と出会うことも多いですよ。日本では、ローストしたそばの実が美味しかったですね。いつか、そばの実チョコレートをお見せできるかもしれません。こういう出会いはストックしておいて、毎日のように実験の繰り返しです。もちろん、うまくいかなくて、そのまま寝かせているアイディアもありますよ。

_チョコレートやカカオには、どのようなこだわりがありますか

世界中を飛び回るカカオのスペシャリストがいるので、「新商品でこんなカカオが欲しいんだけど」と相談すると、プロファイルを見せてくれるんです。気になるものがあれば、現地に足を運びます。例えば去年は「爽やかでスパイシーなカカオ」をリクエストしました。そこでマダガスカルへ行き、美味しいカカオと出会えたんです。柑橘や赤い実を思わせる酸味が理想的だったので、クリスマス限定のガナッシュに使用しました。もっともっと新しい素材と出会いたいですね。フランス人が1年間で消費するチョコレートの量(約6kg)を、わたしは1ヶ月で食べてしまうんですよ。

_ニコラさんの技術を、若手に継承することは考えていらっしゃいますか

シグネチャー(署名)でもある穴あけ技術は、できる限り自分でやっていますが、わずかなスタッフにも継承しています。その中でもアレクシ・ダゲというショコラティエは、右腕として活躍してもらっています。

_味とアートワーク、どちらに重きを置いているのでしょうか

どちらも面白く、どちらも大事ですね。ラ・メゾン・デュ・ショコラが築いてきた遺産を守り、ノウハウを込めているので、そのアルティザン(職人)精神を見て欲しい。その一方で、常に革新的であることも意識しています。しかし、そのバランスの舵取りは非常に難しいです。

「パリ ジュテーム」は、4つの限定レシピを収めた3サイズ展開のギフトボックスと、中心に真紅のハートが表れるように箱に収められた4種のブシェの詰め合わせで構成されたコレクション。限定ショコラでパリジャン気分を味わいましょう。※20201月中旬発売予定。

<ラ・メゾン・デュ・ショコラについて>
1977年創業のショコラ専門店。2012年からシェフ・パティシエ・ショコラティエに創始者ロベール・ランクスの右腕として長年活躍してきたM.O.F.職人ニコラ・クロワゾーが就任し、クリエイティブでアーティスティックなショコラを追求し続けています。ラ・メゾン・デュ・ショコラのチョコレートは、すべて熟練の職人によってパリのアトリエで手作りされています。個々のチョコレートのテーマに合わせて選び抜いた最高品質のカカオを使用。チョコレート自身が持つ個性と特徴が存分に引き出された絶妙のバランスに生み出されます。最初のひと口から口の中で溶ける最後の瞬間まで完璧な味わいと独創的なバランスが楽しめるクリエイション、それがラ・メゾン・デュ・ショコラが誇る伝統と技術の結晶です。

ラ・メゾン・デュ・ショコラ
https://www.lamaisonduchocolat.co.jp

峰典子 Noriko Mine

ライター/コピーライター

1984年、神奈川県生まれ。映画や音楽レビュー、企業のブランディングなどを手がける。子どもとの休日は、書店か映画館のインドアコースが定番。フードユニットrakkoとしての活動も。夫、5歳の息子との3人家族。

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