教えて! OURHOME Emiさん、一田憲子さん「“収納”に”心地よさ”を感じるコツは?」
2019.10.08
日々を忙しく過ごすLEE世代にとっては、つい「苦痛」になりがちな収納問題。達人たちはどんな方法で、楽しみに変えているのでしょう?
整理収納アドバイザー Emiさん
●OURHOME主宰。夫と10歳の男女の双子の4人暮らし。LEEで連載中の暮らしについてのコラムが大人気。『親に寄り添う、実家のちょうどいい片づけ』(白夜書房)が好評発売中。HPはourhome305.com
編集者・ライター 一田憲子さん
●企画・編集を手がける『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)が好評。新刊に『おしゃれの制服化』(SBクリエイティブ)。サイト「外の音、内の香」(ichidanoriko.com)を主宰。
わが家の収納の正解は、自分で決めていい!
一田さん まず最初にお断りしておかなきゃいけないのは、私は全然、収納達人でも何でもないってこと! できない人代表みたいなポジションで臨んでます(笑)。ただ皆さんから寄せられた悩みを拝見していると、もしかして問題は、「収納以前」にあるのかな……と思えました。
Emiさん 私も同じように感じました。今はSNSなどで、美しく片付けられた部屋や引き出しの中などを見る機会が多くなったから、そういう「収納の正解」「片付けの正解」みたいなものがあるように思えて、自分がそれに当てはまらないからストレスを感じる……という方が、とても多いのではないかと思いました。
一田さん わかります。私は仕事柄、インテリアの達人のような方のお住まいにもよくお邪魔するので、「わ~素敵! 私もマネしたい!」とすぐ感化されて、帰り道に収納品を買いに走ったりしたんですけれど、結局長続きしないんですよね(苦笑)。何のために片付けるのか、どういう空間にしたいのか、自分が納得する目的が見えていないから。自分自身の気持ちを明確にしないで、遠い美しい人の部屋の様子を目標にしちゃうから、そのギャップにイライラしちゃうんだと思います。
Emiさん そうそう。あと私がお客さまからの悩みを聞いていてよく感じるのは、自分ひとりで背負いすぎてしまっているということ。家族との協力なしに、収納や片付けの悩みは解決することはできないんです。
「まず家族とコミュニケーション。その先に、心地いい収納がある」
一田さん Emiさんのお片付けの考えはそこが特徴ですよね! 以前伺った、「収納をつくることは、家族をつくること」という言葉が印象的でした。
Emiさん 「雑誌や書籍に載っているのをお手本に、収納ケースもいろいろそろえたのに、子どもたちが全然片付けてくれないんですー!」と悩みを訴えられて、「じゃあその収納は誰が考えましたか?」と尋ねると「私(母親)です」ということが多くて。例えばおもちゃのジャンル分けでも、うちの息子は「おままごと」の箱に、積み木を入れていたんです。大人からすると謎ですが、彼にとっては、積み木はお寿司なんですって(笑)。ごみ袋も入れているから「何で?」と聞いたら、「買い物をするときのレジ袋」って。すごいな~と。そうやって収納分けの「考える過程」を共有することが、実はとても大切なんですね。
一田さん そうなると、この「収納モヤモヤ1」の質問の答えは……。
Emiさん 引き出しを分類しすぎているのではないかしら? 子どもにとっては「上の服」「下の服」で十分だと思いますよ。親はつい細かな分類をしたくなりますが、使う人である子どもの考えを一度聞いてみるのがおすすめです。
一田さん なるほどー! では「収納モヤモヤ2」の質問はいかがでしょう?
Emiさん 方法はふたつあると思います。ひとつは家族全員で、ロフトを物置きではなく、何か別のワクワクする空間にできないかと相談してみること。「片付けなきゃ~」と義務のように感じるとつらいけど、例えば「子どもの秘密基地にしよう」とか、「家族がくつろげる読書空間に」とか、何かお楽しみの目標を持つと、整理もはかどるかと思います。そしてもうひとつは、物理的にかさを減らすこと。ツリーやひな人形などは外箱がかさばることが多く、箱を処分して中身だけをしまう方法を考えると、ぐんと省スペースになるんです。
一田さん 家族を巻き込む秘訣は、どうすればいいんでしょうかね?
Emiさん 急に「やってよ!」と言っても、夫も子どもも反発すると思うので、例えば「お母さん、あなたがやる機会を奪っていて、ごめんね。自分で考えたいよね」とか、夫には「やりやすいように、一緒に考えてくれない?」と声をかけてみるとか。
一田さん 自分自身のマインドが変わらないとダメなんですね。なるほど。
「困りごとを細分化し、自覚すれば 解決はものすごく早い」(Emiさん)
Emiさん 相手が変わるのを待つより、自分が変わるほうが、早いですね。また紙を用意して、「部屋で困っていること/その解決方法」を、みんなで書き出してみたり、「どこが使いにくい?」とインタビューするのも手です。
一田さん 困りごとを「見える化」するんですね。問題を自覚する。
Emiさん お片付けレッスンでも、ただ「すっきりしたいんです~」と話される方は、残念ですが、ずっと変われないんですよ。でも、キッチンの調味料が取り出しにくいのが嫌なのか、容器がそろわず見た目がゴチャゴチャするのが嫌なのか、困りごとを細分化して、自覚すれば、具体的な解決方法に落とし込めばいいだけだから、その後、劇的に変われるんです。
一田さん へええー!
Emiさん 「モヤモヤ3」「モヤモヤ4」のお悩みも、大切なのは、「何のための分類なのか?」「何のための片付け?」という部分です。自分がどうしたいか。
Emiさん 分類のための分類はしなくていいし、とにかくきれいに見せたいなら、形がそろうような収納グッズを導入するのも手ですし、ただゴチャゴチャが目に入るのが嫌なだけなら、ざっくり隠す、大まかな入れ物を使ってもいい。
一田さん まさに私がそのタイプ! 引き出しの中など、こまごました整理整頓は無理なタイプなので、ファイルボックスにポンポン放り込めば、とりあえず「部屋が片付いた風」になるシステムを作りました。この「モヤモヤ5」のお悩みはどうでしょう?
Emiさん 先に収納グッズを買う必要は、全然ないと思いますよ。まずは本当に必要なものだけを残す整理、それから収納という順番。その段階になって初めて、収納グッズの検討ですが、私の経験だと、お客さまの家に行っても、収納グッズを買い足すことはほとんどないんです。すでに皆さん十分お持ちで、それを活用すればいい。
「暮らしのイメージを持つことが自分らしい収納に行き着く」(一田さん)
一田さん 最後に「モヤモヤ6」の質問はいかがでしょう。
一田さん うちの母は「片付けたら、片付いた風に見えないと意味はないのよ」というのが口グセだったんですが、一生懸命掃除しても、ソファのクッションが曲がっていたり、机に置いた本が斜めになっていたら、意味がない。きれいに並べたり、縦横をそろえたり。最後のちょっとした仕上げが、印象を変えると教わり、実践してます。
Emiさん ちょっとしたことが大事ですね。私の最低限ポイントは、座る場所からの景色。自分がくつろぐ定位置から見える範囲だけを大きく片付けておくと、イライラもたまりにくいです。
一田さん わが家も同じです! 私も「リビングでごはんを食べるときに、ゴチャゴチャしたものがとにかく目に入らないようにしたい」という目標設定にして、収納を考えたんです。やっぱり「どう暮らしたいか」という明確なイメージを持つこと。その先のイメージをいかに持つかが、心地いい収納やお片付けにつながるようですね。
撮影/フルフォード 海 ヘア&メイク/杉山えみ 取材・文/田中のり子
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