前回に続き、老後資金用にいくら必要かについての話を続けましょう。
2000万円用意しても足りない!
前回はなぜ2000万円という数字が出てきたか、そしてそれが唯一無二のものではないことも説明しました。とはいえ、この2000万円をベースに考えたとしても、これでは足りません。なぜかといえば、ここには毎月の生活費しか計上されておらず、突発的にかかる支出(家の修繕費、車や家電の買い替えなど)、そして介護の費用も含まれていないからです。お子さんへの結婚費用の援助なども入っていません。
それこそ平均値をベースにそれらを上乗せすると、合計3200~3700万円にもなるのです。もっと手前の話をすれば、60歳でリタイアし、もしその先働かなければ65歳からの公的年金支給開始(年齢によってはもっと早く一部支給があります)までをつなぐ生活資金も必要です。こうした数字を見ると、私たちはたいてい思考停止したくなります。でも、それが一番いけないこと。貯める・増やすために最も大事なのは、時間をかけることに尽きるからです。
大きな金額を見て思考停止してはいけません
例えば、現役時代の37年間(23歳~60歳)で2000万円を貯めるとすると、年間54万円となります。3700万円だとその約倍で100万円。なかなか厳しい数字ですが、いきなり2000万円といわれるよりはイメージがわくのではないでしょうか。「でも、老後資金の前に教育費やマイホームのお金が必要」という声もあるでしょう。本当にそうですよね。
私自身は、最も大事なのは定期的に貯蓄する習慣をつけることだと考えています。
2000万円はとても無理と思考停止するのではなく、毎月きちんと定期的に積み立てをする。そのためには、夫婦なら2人で協力して共稼ぎをし、貯蓄額を少しでも積み上げる。そして教育費の支払いや住宅ローンを老後に残さないようですむように貯蓄を適正に使い、負債を減らして定年を迎えることが大事だと思います。さらには将来受け取れる年金がもっと増えるように、厚生年金に加入できる働き方を選ぶ。年金が増えれば、不足額ももっと減ります。また、夫婦でなるべく長く働き続ければその収入で、たとえ5万円の不足が出ても埋められるでしょうし、退職金の取り崩しも先送りできます。
若いころから収入が増えたなら支出ではなく積み立て額を増やし、それを先取り貯蓄にして毎月の生活費をむやみに膨らませないこと。
50歳を越えたら自分たちが受け取れる年金の金額を把握すること。
その時にはリタイア時の貯蓄残高も退職金のイメージもつかめるでしょうから、老後の生活がはっきり見えてくるはず。その時点で、本当にいくら不足するのかしないのかを算出するほうが現実的でしょう。もちろん、若いころからiDeCoなどで老後の準備するのも選択肢です。でも、まずは老後の生活が不安な人ほど生活費を不用意に膨らませないこと、そのためには貯蓄分を先に取り分け、その残りでやりくりするという習慣を身につけること。このあたりまえの基本が一番大切なことではないでしょうか。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。