食の専門家による出張料理サービスを手がけるシェアダインが、学校法人食糧学院とタッグを組んで行う「作り置き専門家養成講座」に参加させていただいた私。【前編】では、「気候が良い梅雨前の時期こそ実は食中毒が多い」という意外な事実とその理由、そして家庭ですぐにできる対策などについてお伝えしてきました。
【後編】では、雑誌やTVなど幅広く活躍中の料理家で、学校法人食糧学院専任教員・専門調理師の沢辺利男先生が2時間半で14品作る、実際の作り置きデモンストレーションをレポート。作り置きにとどまらず、日々のお料理がより楽しくなるちょっとしたコツなどを軸に、楽しかった当日の様子をお送りします!
効率的に作業を進めるコツが満載!
短時間で多くの料理を作るためのポイントのひとつが「なるべく火を遊ばせない」ということ。コンロで火を入れほったらかしにしておいてOKな時間帯を作り、その間にまとめて野菜をカットするなど、調理順を組み立ててから料理を始めることの大切さを改めて実感しました。
この日も、まずは鶏の冷製と雲白肉の茹で豚作りからスタート。形が均一な豚と違い、薄い部分と厚い部分がある鶏は先に四角く成形しておくことがポイントだそうで、余った肉はスープの具として保存(こちらも、あとから行うひと手間で驚きのおいしさに!)。沸騰するかしないかくらいの火でコトコト茹でつつ、野菜類を一気に切っていきます。
野菜によって包丁の使い方を変えられており、その差について思わず質問すると「洋包丁の場合は先に丸みがあるため、普通に切る場合は刃先をまな板から離さないようにすると、無駄がなく素早くできる」と教えてくださいました。
また大雑把な私は、キャベツの芯をくり抜く際にいつも上からグサグサと刺していましたが(私だけ…?)、横向きに置いてぐるっと回すように取れば余計な力が入らず危険が少なく、基本的に刃が下に向くように意識すると安全だといいます。細かいことですが、切り傷なども食中毒の原因になりうるため「怪我をしないための道具の扱い方も大切」という言葉に、今日から気をつけようと思わされました。
手際よく切り物を進めながら同時に肉みそや野菜炒めを作っていく先生。
私はこれまで、温かくなったフライパンに油を入れてから炒めたり焼いたりしていたのですが「テフロンのフライパンの場合、食材は冷たいまま入れてOK」と伺い大変驚きました。冷たい状態で野菜と油を入れたあと火をつけ、音がしてきたら熱くなってきた証拠。
この日作ったものは蓋をして蒸すため、いわゆる“野菜炒め”とは違うけれども、じっくり火を通すことで野菜の甘みを楽しめるレシピ。蓋をして火にかけている間は目を離すことができる点も、“作り置き向き”だといいます。
ちなみに腐りやすい食品とは「水分が多く含まれるもの・味が薄いもの・空気、常温に長時間さらされているもの」。流れの悪い川が澱んでいくように、水はとどまると腐敗してしまいます。味を濃くするには限界があるので、きちんとした保存方法に加え、しっかりと水分を飛ばしていことが安全な作り置きのポイントなのだそうです。
もうひとつの魚メニューは柚庵焼きで、柚子がない場合はレモンを使ってもOK。ポイントは切る前に粗塩で磨くこと。洗浄の目的もありますが格段に香りが増すそうで、当日も遠くまでレモンの良い香りが漂ってきてびっくり!こちらもさっそく自宅で真似しています(笑)
「家庭料理のテーマのひとつは、なるべく手間を減らし、短時間でおいしく安全なものを作ることだと思います。」
作業を進めながら、調理を楽にする様々なコツや時短テクニックを教えてくださった沢辺先生。例えば魚の場合、「甘塩のお魚ならば、塩はせずそのまま漬けてしまっても大丈夫」「手や器具を汚さないよう、肉や魚に粉をまぶす際はビニール袋やスーパーでパックされているトレイを活用」「あらかじめ合わせ調味料を作っておくのが手間に感じる場合は、先にお酒を入れると良い。お酒の主な役割は旨味をつけること。醤油やみりんと違い、酒に関しては多少多くなってしまっても大丈夫なので、酒を入れて温度を下げた後に他の調味料を加えて混ぜてもOK」など、ちょっとしたことだけど省けるとラク!というポイントを惜しみなく教えてくださいました。
すぐに活かせることはもちろん、料理のプロである先生ですが、慌ただしい中でいかにおいしいものを作るかと日々悩む私たちに寄り添ってくださることを感じとても嬉しく、あっという間に時間が過ぎて行きました。
楽しい試食タイム!短時間で効率よくおいしく仕上げる秘訣とは?
前半で、長めに火を通す必要のある肉料理や肉みそ、野菜炒めなどを調理しながら、食材のカットなど下処理を進めていた沢辺先生。後半はそれらを合わせたり味付けしたりしながら、同時進行であっという間に数品完成。
茹で豚や鶏の冷製の他、家庭で眠らせがちなアンチョビと茹でたジャガイモを和えたもの、かぼちゃをめんつゆ・砂糖・しょうがスライスで煮た時短煮物、風通しの良いところで2、3時間干した大根の皮&焼き目をつけてカリカリにした油揚げを一緒に軽く炒めただけの手軽で香ばしい一品など、教室内には良い香りが…。最後に、参加者みんなで試食もさせていただきました!
上写真の左端にある鶏のゆで汁を使ったスープは、野菜のほか、鶏を成形する際に切った胸肉の切れ端もイン。その際、片栗粉をまぶすだけにつるっとした食感となり、固くパサパサしがちな胸肉がまるで高級食材のような味わいに変身し感動してしまいました。
中でも特にみんなを唸らせていたのが、先ほどの「蒸し野菜炒め」と「浅漬けと肉みその炒めもの」(写真中央)。蒸し野菜炒めは、最後に醤油をちょっと加えただけなのに野菜の旨味で味わい深く「お肉が入っているのかと思った!」と驚く参加者の方も。一緒に唐辛子を入れたり、生クリームを加えたりしてパスタにするのもオススメだそう。
また浅漬けと肉みそに関しては、それぞれも一品として充分おいしい上に、そのふたつを合わせて軽く炒めることで、さわやかでボリュームのある一皿に!こちらもさっそく家で作らせていただきました。
プロから家庭料理を教わったからこそ感じた、料理のコツと楽しさ
今回の講座を通じて先生がよく触れていたのが「五感をしっかり使うことの大切さ」でした。
例えばフライパンの火力の判断は基本的に音で確認。気持ちのいい音がしているならば適温。たとえ火力が同じでも食材の水分量が変われば音が変わっていくので、その変化にきちんと耳を傾けていれば失敗することはないはず。
確かに、フライパンの様子をじっと見ていると、当然ながら音も香りもどんどん変化していきます。普段は時間と戦いながら調理をしていることが多い私に、「料理って楽しいな」と思い出させてくれるような瞬間がたくさんありました。
興味があれば誰でも受講できる講座ですが、シェアダインの料理家さんや、これからデビューする方々が、知識と技術のブラッシュアップを目的に参加することも多いといいます。出産などをきっかけに退職してしまい栄養士や管理栄養士の資格を生かせずにいた女性がシェアダインで出張料理家として社会復帰し再び活躍するケースも増えているそう。そんな皆さんに向け「作り置きは作って終わりではなく、例えばこの料理はこうやって食べるとおいしいなど、ご家庭に合わせて提案してあげることも大切」と様々なアドバイスをされる先生と受講者のやりとりも、印象に残りました。
「作り置き」を通じて、家庭での衛生管理や実際の調理のコツなど様々なことを学んだ1日でしたが、1人で洗い物など片付けもするという「家庭」に近い状況で、プロの方が作り置きの家庭料理を短時間で調理するリアルなデモンストレーションは、やはりとても興味深かったです。
私自身は、母や義理の母からきちんと料理を習う機会がないままで、レシピサイトや本を見たり調べたりしつつ試行錯誤してきました。単純な「作り方」だけではなく、日々の中で疑問に思ったことを直接聞くことができ、普通の主婦である私でも家庭ですぐに実践可能なアドバイスをプロの目線からいただけるところが大変有意義で、家庭のニーズと実情を知るシェアダインと、食のプロが共同で作ったからこその講座だと感じました。
専門家による出張料理サービスだからこそ、それぞれの家庭のニーズに合わせた食事作りが叶い支持を集めているシェアダインのサービス。今度利用する際は、料理家さんの横で作り方を見せていただきながら、気になることを色々と質問してみようと思います!
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佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。