美貌の少年ティモシー・シャラメ君がドラッグ依存症を熱演! 実話だけに目が離せないリアルな描写に注目を 他1編
2019.04.13
息子を信じ続ける父の、長く壮絶な闘いの果てに差す光
『ビューティフル・ボーイ』
ズバリ、見どころは『君の名前で僕を呼んで』で世界中を魅了した、美貌の少年ティモシー・シャラメ君!
彼の麗しさなくしては、壮絶な実話を手をゆるめずに映画化した、そのリアルさから目を逸らしたくなったはずだ。対して名優スティーヴ・カレルが、深く苦悩しつつも息子の再生を信じ、変わりない愛情を注ぎ続ける父親を演じて物語を根底からガッチリ支える。監督は、ヨーロッパを中心に大ヒットした音楽映画『オーバー・ザ・ブルースカイ』(’12年)のベルギー出身フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン。胸をガクガク揺さぶりにくる。
離婚後、幼い息子ニックを引き取って育て、再婚した画家のカレンとの間に2人の子どもをもうけた音楽ライターのデヴィッド(カレル)の人生は順風満帆だった。強い信頼で結ばれているニック(シャラメ)は6つの大学に合格する秀才、かつスポーツ万能で水泳選手として活躍する自慢の息子に成長。だが家を離れて大学に進学したニックは、軽い気持ちでドラッグに手を出し、気づいたときには治癒率数パーセントという“クリスタル・メス”依存に陥っていた――。
ジョン・レノンの生前最後のロングインタビューを行ったデヴィッド・シェフと、脚本家として活躍中の息子ニック・シェフによる、2つの回顧録を併せて映画化した本作。なんと13回もの依存症再発、7つの治療センターを訪れた、8年の軌跡が綴られる。優しく賢く、弟たちに慕われていたニックが、うつろな目で言い訳や嘘を重ね、醜態をさらすその衝撃! 演じるティモシーの天使のような麗しさが脳裏に残るだけに、その落差が効く。だが果たして自分なら、無間地獄のような日々でも責めず、諦めず、デヴィッドのように寄り添うことができるのか。日本ではここまでドラッグ問題が一般的ではないが、成長過程でどんな落とし穴が待っているかわからないだけに、他人事とはとても思えない。人としての器をも量られる意欲作だ。
(4月12日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開予定)
■ビューティフル・ボーイ 公式サイト
どうしようもなくわかる! 究極の片思いの行く末は――
『愛がなんだ』
(4月19日よりテアトル新宿ほかにて公開)
■愛がなんだ 公式サイト
取材・原文/折田千鶴子
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。