女性ばかりのネイルサロンでもキャリアを重ねるのは難しい?
手に職をつけておけば安心だと、多くの人がネイリストを目指します。実際にネイルサロンの労働環境はどうなのでしょうか?「女性を綺麗にするネイルの仕事が大好き」と語る、フェリス美容学院の校長、大西よしみさんにインタビューしました。
10年ほど前、ネイリストとして働いていた大西さん。目まぐるしく仕事をするなかで、同僚たちが結婚や出産でサロン辞めていく姿を残念な気持ちで見送ったそうです。女性ばかりの職場でも、指名制度もあるサロンでの仕事は子どもの急病で休んだりしにくく、責任のあるポジションに就きづらいという状況を目の当たりに。
大西さんは「時短でもネイリストとして気持ちよく働ける環境は作れるはず」と思っていました。そんなとき、偶然にもフェリスグループの代表、田岡健次さんに「ネイリストの求職者支援訓練校を開きたいから、力を貸してほしい」と依頼があったそうです。既に顧客を持っていた大西さんはサロンワークをすぐに辞めることはできませんでしたが、サロンワークを平行してネイリストの求職者支援訓練校の校長を務めることになりました。大阪でスタートした学校が現在では東京、神奈川にも開校し8校の校長として多くのネイリストの養成、就職支援を行なっています。
求職者支援訓練校とは?
みなさんの周りには、求職者支援訓練校に通ったことがある人はいますか?意外と制度自体を知られておらず、フェリスに通う人たちの多くは、ハローワークで初めて知って来るそうです。中には有料のネイルスクールを探していて、ネット検索で知る人もいますが、申し込み窓口はハローワーク。
求職者支援訓練校とは、その名の通り、求職者を支援するための学校。次に就職するための技術や知識を得るために、無料で通える学校なのです。都道府県から民間企業へ委託されて運営されているところが多く、実にさまざまな職業についての訓練校があります。現在は介護系や情報関係が人気だとか。
受講期間は一般的に3か月から半年程度のコースが主流(フェリス美容学院は4か月)で、一定の条件を満たしていれば月10万円の給付金をもらいながら求職者支援訓練を受けられます。
受講後はきちんと就職できるの?
「技術を習得して、就職してもらうことが目的の学校なので、就職率は限りなく100%に近いです。10年間開講し続けられるということは、言ってみればほとんどの人が雇用保険に加入できるネイルサロンなどに就職できているということです」と大西さん。
在学中から度々個人面談を行い、提携しているネイルサロンを中心にその人にあった職場を一緒に見つけます。卒業生の中には、時短でも店長のような責任のあるポジションで働き続けている人もいるのだとか。
即戦力となれるよう、求職者支援訓練校ではネイルサロンで主流となっているジェルネイルの技術を学びます。フェリス美容学院には訓練校とは別に、有料のネイルスクールもあり、そちらの方では、ネイル検定対策やスキルup授業などがあり、自分が学びたい内容を好きな時間を選んで通うことが可能。
ネイルサロンで仕事をする上で、必ずしもネイル検定が必要というわけではありませんが、キャリアを重ねる上で自信を持つために必要との声があるのだとか。
大西さんは「私がネイリストとして働き始めたときは、学校で習っていなかったジェルネイルができず、雑用ばかりしていました。働きながら新たに技術を学ぶことにすごく苦労したので、みなさんが困らないようにサポートしています。職場は〝みんなが良い笑顔で働ける!〟それがいちばんです」と語ります。
ネイリストを経験している大西さんだからこそできるサポートがあると感じました。ひとりでも多くの人が快適に働ける世の中にしたいと尽力する彼女に、同じ女性としてとても共感しました。ネイル以外にも訓練校はたくさんありますので、求職中の方はぜひ各都道府県のハローワークのホームページなどで検索してみてくださいね。
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上紙夏花 Natsuka Uegami
ライター/ビューティープランナー
1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳