Romance novel
人生の大イベントをひととおり経験し、慌ただしい中にも充実感がある私たちLEE世代。そんな今、少しだけできたゆとりの時間で、手にとってみたいのが恋愛小説。恋に胸を焦がしていたあの頃とはまた違うときめきや奥深さを、私たちに与えてくれます!
綿矢りささん 小説家
人生にある、一瞬の輝き。
その瞬間を感じるために、恋愛小説を読みたいし書きたいんです。
恋の持つ強烈な熱量が今だからこそしみ渡る
私たち女性が感じる心の揺れや人間関係の機微を、繊細かつ的確な言葉で表し物語を紡ぐ綿矢さん。作品には恋愛を扱ったものもたくさんあります。そしてご自身も「書くだけではなく、恋愛小説は読むのも大好き」なのだとか!
―綿矢さんにとって恋愛小説とは、どんなものなのでしょうか?
「“一瞬の熱さ”を感じさせてくれるものだと思います。“今、これだけのすごいことが起きている!”という、ライブ感と言ってもいいかもしれません。私が恋愛小説を書いているときは、主人公たちには幸せになってほしいと願う一方で、物語が終わったら関係としては穏やかになっていくだろうなとも思っているんです。だからこそ、一番熱くなっている瞬間を書き留めたいし、読み手としても、できるだけ高い熱量を感じさせてくれるものを求めてしまいますね」
―さらに年齢を重ねるほど、読み方の幅も広がってきたそう。
「結婚と出産を経験し、子育てに向き合う身となってからは、過去の出来事の鮮烈さが薄れ、すべてがひとつにつながっているような感覚になりがち。でも恋愛小説の強烈な熱さに触れると、私の人生にもこういう特別な瞬間って確かにあったな、とあらためて胸が高鳴るというか……。その興奮を心の中で捕まえることに、恋愛小説という文学の余地がある気がしています」
―もちろん若い頃から変わらずに惹かれてしまう部分もあるそう。
「現実的なお話よりも、小悪魔系の女性が登場したり、ありえない世界を舞台にした、少し壊れかけの恋愛みたいな話が好きです。読むと心がぐっと傷つく感じも、私は恋愛小説に求めているのかもしれません。そして最初に読んだときの感動を、さらに重ね塗りしながら、何度も読みたいタイプです」
―30代・40代が読む恋愛小説については「大人だからこそ、まぶしく見える世界がある」とも。
「30代前半という自分の年齢を考えると、安定した家庭に飽き、ドロドロの不倫をして……みたいな物語を読んでもいいんでしょうけれども、なぜかそちら方向には興味がいかなくて。むしろ遠い世界になってしまった10代・20代のきらめく青春の恋みたいなものが、昔よりもしみてくるようになりました(笑)。自分が真っ只中にいた頃には、苦しさを感じることのほうが多く、その瞬間の輝きにまで思いを馳せることができなかったんですけれども。振り返るとわかる、きわだつ何かってあるんだと、若い人が出てくる恋愛小説を読むと思ったりしますね。
2歳になる息子を育てながら小説を書いている今は、やがてくるであろう、彼の初恋や青春も気になっています。これから一体、どんなドラマがあるのだろうかって。こっそり想像して、ドキドキしてしまうんです(笑)」
綿矢さんがおすすめ
LEE世代が読むべき3冊
しなやかに生きる女性たちの短編物語
『意識のリボン』綿矢りさ/¥1300 集英社
母親が亡くなったばかりの20代の「私」は、父親と共に生きていこうと思った矢先に、交通事故にあってしまう――。表題作『意識のリボン』をはじめ、娘、妻、母親と、社会の中でさまざまな立場におかれている女性たちを主人公にした短編集。綿矢さんの作品らしい、しなやかで生命力にあふれたキャラクターたちと、温かい世界観が魅力の一冊。
撮影/戸松 愛(綿矢さん) 富田 恵(ブック) ヘア&メイク/木下 優(ロッセット)(綿矢さん分) スタイリスト/今田 愛 取材・文/石井絵里
この記事は2018年9月7日発売LEE10月号『30代・40代の「心に効く」恋愛小説』の再掲載です。
この連載コラムの新着記事
-
【神戸】2泊3日の家族旅行へ行ってきました!ネイチャーライブ六甲、神戸須磨シーワールド…おすすめスポットをご紹介【2024年】
2024.11.17
-
【40代ママライターが試して実感】汗冷え・ムレ・におい…冬の汗悩みは、あったかインナー「ファイヤーアセドロン」で解消!
2024.11.08
-
【無印良品】話題の美容液、化粧水…マニアが選ぶ「使ってよかった!」スキンケアアイテム5選【2024年秋冬】
2024.11.01
-
車の香りどうしてる?話題の「TAMBURINS(タンバリンズ)」カーディフューザーを使ってみた!
2024.10.23
-
【ユニクロ×マリメッコ】2024秋冬を40代ライターが試着!ヒートテックやキッズなど注目アイテムが目白押し
2024.10.22
おしゃれも暮らしも自分らしく!
1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
今読者が求めている情報に寄り添い、LEE、LEEweb、通販のLEEマルシェが一体となって、毎日をポジティブな気分で過ごせる企画をお届けします!