一時期、トレンド市場から姿を消していたレギンスが、昨年冬頃から徐々にその勢いを取り戻し、現在は「これさえ履けば今っぽくまとまる」というトレンドの筆頭アイテムに返り咲いています。
(以前、断捨離すべきか悩むアイテムとしてレギンスの名が挙がっていたことを取り上げたので、“アンサーソング”的に現在の人気ぶりに言及したいと思います)
編集部のファッション担当たちに、現場で感じるトレンドの傾向について取材を敢行、レギンスをめぐる流行の変遷を振り返ります。
悲喜交交、“スパッツがいつの間にかレギンスに改名”時代
まずは、ここ数年レギンスが置かれてきた状況について振り返ります。
スパッツという名で長く親しまれてきたその肌着は、2005年頃、レギンスという目新しい名を与えられ、一気にスターダムへと駆け上がります。
女性らしさを感じさせるスカートスタイルに合わせられるのに、パンツスタイルの安心感をも併せ持つ万能アイテム、レギンス。
「脚を覆うこの布があるからこそ、安心してスカートが履ける!」といった人も少なくなく、下着が見えそうで躊躇しかねない前衛的なミニスカやショーパンも、レギンスのおかげでワードローブ入りを果たせたものでした。
現在アラサー、アラフォー以上の女性に話を聞くと、「学生時代、制服の下にジャージのズボンを履いて早弁をかっ込んだ記憶を思い出させてくれるんだよね」といった具合に、思い出がよみがえるという人も多く、どこかノスタルジックな印象を持つお守り的な存在であったことがうかがえます。
しかし、レギンスの派生型であるトレンカが人気を博すようになったあたりから、徐々にそのイメージに変化がおとずれます。
レギンスやトレンカは「野球部か!」「スカートの下にあえてモモヒキみたいな下着を履く意味が分からない」など“非モテ”認定を受け、モテブーム(2005~2010年頃)の真っ只中では、NGアイテムとしてその名が挙がるように。
そんな逆境の中でも、「別にモテのために服を着ているわけではない」という女性たちに支持され続けますが、ファッション界の大きなムーブメントがおとずれます。
スカートやパンツなどのボトムスがボリュームを増し(ロングスカートやワイドパンツなどの流行)、ミニ丈ボトムで無理に脚を出す必要がなくなったおかげで、レギンスの“脚を隠すことができる”という機能が以前ほど求められなくなってきたのです……!
おしゃれなアパレルショップでも、五分丈、七分丈などの中途半端な丈のレギンスは存在感を失っていき、また、一時期大流行したはずのトレンカも、姿を見かけないレアな存在へと変わっていきました。
その後も、ご近所コーデでは便利なアイテムとして君臨、お腹を冷やしたくない妊婦さんの間でも定番アイテムとして愛され続けていたレギンスですが、トレンド界では過去の存在に……。
LEEのおしゃれスナップにも再登場! “レギンス新”時代の到来
ここ数年は、流行りのワイドパンツなどのボリューミーなボトムスとの相性が悪く、その姿をトレンド市場で見かけなくなったレギンスでしたが、2017年の秋冬頃には、素敵ブランドたちが再注目。
リブやニットっぽい素材感、スリット入り、色もアイボリーや薄いグレーなど、よりファッション感の強いアイテムに進化し、再登板を果たします。
そして2018年の秋冬は、大手コスパブランドもトレンド最前線アイテムとしてレギンスを売り出し、完全復活を遂げました。
「スパッツ的レギンス」時代とここが違う! 着こなしのコツ
<“スパッツ改名”時代のレギンス→黒の短めレギンス+短めボトムス>
以前のレギンスは、10分丈よりも5分丈、7分丈などの半端丈が特に人気。ぴったりとした黒をキュロットなどの短めボトムの下などに履く、王子様やアスリートを彷彿とさせるスタイルが人気でした。
<“トレンド再来”時代のレギンス→淡い色の長めレギンス+長めボトムス>
一方、現在流行中のレギンスは長めが主流。
長め丈を選ぶことが、旬っぽさをまとう第一歩のようです。
編集部でも、スタイリストなどのおしゃれプロたちが、長めレギンスをスニーカーやショートブーツに“ちょいかぶせ”たり、くるぶしあたりで“くしゅっ”とさせて履く姿を見かけます(こうすることで、ヒールのないフラットシューズの着こなしでも、脚長に見える効果があるとの説あり)。
学生時代、くしゅくしゅソックスなどボリューミーな足元に慣れ親しんだアラフォー世代にとっては、とっつきやすい履き方かもしれませんね。
「脚が長くて10分丈のレギンスも7分丈になってしまう!」という人は、14分丈など、さらに長さのあるタイプを選び、くるぶしまでしっかりカバーすることをおすすめします。
また、色についても、今回のトレンドでは、黒よりもグレーやベージュといった明るい色が人気。
ボリュームのある、あるいは暗い色のワンピースを着ていても、足元にレギンスで明るい色をプラスして抜け感を出すことで、着こなしが垢抜けるそうです。
「ベージュのスパッツなんて、モモヒキっぽく見えそう……」と前時代的な観点で怖気づいている……という人も、ここは思い切って薄めカラーに挑戦し、抜け感を手に入れてはいかがでしょうか。
以上、スパッツ系レギンスを愛するアラフォー世代より、トレンド最前線に返り咲いたレギンスについての雑感でした。
高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。