剣心役の早霧せいなさん、私生活で「スカートを履くのは2020年」【舞台『るろうに剣心』主演インタビュー後編】
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高見澤恵美
2018.09.19
シリーズ累計発行部数6000万部を超える大人気コミック『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(和月伸宏・作/集英社)。2016年には宝塚歌劇団で上演されて大ヒットした本作品が、この秋、新橋演舞場と大阪松竹座で舞台化! 前編に続き、主演の緋村剣心役を演じる早霧(さぎり)せいなさんにお話をうかがいました。
撮影/富田恵
コンプレックスに対する考え方
――本作品で演じる剣心は、“頰の傷”に象徴される過去を持つ人物。過去やコンプレックス、早霧さんにもあるのでしょうか?
早霧:コンプレックス? あります、あります! コンプレックスがない人なんて、いないんじゃないかな。私自身も、宝塚時代の下級生時代は、男役としては身長が低いことがコンプレックスだったし……。
あとは、何でしょうね。小さなコンプレックスなんていっぱいあるので、挙げだしてもよくわからないですけど。今の自分でいえば、ある意味、宝塚出身というのが強みでもあるし、「あ、宝塚の人なんだ」と、宝塚出身の人をすべて同じ枠にはめて見る人もいらっしゃると思うので、ある意味ではひとつのコンプレックスなのかもしれません。一方で、私はそこにとても誇りも感じているんですけどね。でも、演じる上では、もしかしたら宝塚出身であることが、悪いクセとして出てきちゃうこともあると思うんです。
宝塚の大劇場で育ってきて、二階の一番奥にいらっしゃるお客さまにも伝わるような見せ方、例えば強い照明が当たっても飛ばない、派手なお化粧をするのが当たり前の中で育ってきたわけですが、今後は、小さい劇場で演じることもあるでしょうし、もしかしたら映像で何かを表現することもあるかもしれない。そうなった時に、今までとは同じようには演じてはいけないんだと思うんです。こういうことも、ある意味ではコンプレックスなのかなと思いますが、思い悩むより、うまく使っていきたいですね。
コンプレックスって、その人の弱みでありつつ、強みでもあると思うんです。
でも、人って、得意なことや自分にぴったりのことをやるよりも、自分にはできないこと、どうしてうまくいかないんだろうと悩むようなことを抱えてたほうが、人として魅力的な気がする。困難を抱えていたり、できないこと、難しいことでもどうにかこうにかつとめようとしているところに、その人の生き様があらわれるような気がするから。私はそういう皆さんといっぱい出会ってきたし、そういう自分でありたいなと思うので。
LEE本誌を手渡してトーク。スカート問題にも切り込み!
――最後に、LEE読者へのメッセージをお願いします! 暮らしまわりやおしゃれ、早霧さんはどんなスタイルを楽しんでいますか?
早霧:(LEEのお料理特集ページをめくりながら)うれしいですよね、これ。
暮らしまわりを充実させたいのに、なかなか充実できないタイプなんです。シンプルに削ぎ落としすぎてしまう。
物を増やさないように生きてるんですけど、引っ越して1年も経つと、だんだん物が増えてきて……いつもせめぎ合い。
暮らしまわりを充実させたいと思うと、物は増えていく。
でも削ぎ落としたいと思う自分がいて、いつも「自分はどっちなんだ~!」って悩んでるんです。LEE読者の皆さんはどうですか? って聞いてみたいですね(笑)。豊かにしようと思う。でも物がなくたって豊かなんじゃないか? とも思う。いっつもそのせめぎ合いですよ。
物欲は……急に増え出したり、もういらないって思ったり。自分の波長が変わるのが謎ですね(笑)。でも、基本はシンプルに生きたいと思ってるんです。よく、同じズボンとシャツを10枚ぐらい持っているような人、いらっしゃるじゃないですか。あれ1回やってみたいなって思って。でも仕事柄無理かも? って思ったり……いや、でもやってる人もいるだろうし……と。1回、それもやってみたいですね。2020年あたりにやってるかも(大爆笑)。
――「早霧さん、いつも同じ服着てるなぁ」って思われたりして。
早霧:それ10枚持ってるんです! 昨日とは違うんです! って言いながら歩かないといけないですよね(笑)。
――宝塚の男役時代はほとんど履いていなかったスカート。今はいかがですか?
早霧:スカートにはまったくもって興味がなくて。
でも、ちょっとだまし絵的なものは持ってます! 今日の袴(剣心の衣装)も一見スカートじゃないですか。でも実際は割れてる。こんな感じのスカートは買いました(笑)。
――スカート見えパンツや、ワイドパンツのことでしょうか?
早霧:そう! ワイドパンツは買いました。一見、「早霧さん、スカート!?」と思われるけど、「残念でした~!」みたいなズボンは買いました(爆笑)。ヒダ(プリーツ)があるように見えて、ヒダではなく、ちゃんと割れていてズボンだった! みたいなアイテムも持ってます。
――早霧さんはいつになったら本物のスカートを履くのでしょう……。これも2020年くらいに?
早霧:はい、区切りがよさそうだからね、2020年って(笑)。プライベートでもタイトにミニ、ロングまで履きこなす人になってるかもしれないですね(大爆笑)。
――ずいぶん先ですね。
早霧:誰も求めてないのに、そこには私、まだ抵抗してるんですよ。“プライベートスカートデビュー”をいつしようかっていう。
でも! ある! 弟の結婚式ではスカートを履こうとしている!
実家のある佐世保では、私がスカートを履こうが履くまいが、誰も気にしまいって思ってるから。だから、時と場合によっては履いてますって感じかな。都内ではね、試着ルームでは履きましたけど(笑)。衣装では履いているから、スカートを履く自分に「ワーッ」とかは思わないんですけど、それを日常的に履く理由が見つからないんですよね。パンツのほうが楽じゃない? と。気にしなくていいし、慣れてるし、あえて日頃スカートを履く意味を見出せていないから。
冠婚葬祭のフォーマルな場面でスカートを履くときは、膝小僧は出す、膝はチラ見せでも出すか、と思えるけど、日常はまだパンツでいいか! と。
――なかなかめんどくさいですね(笑)。
早霧:そう! めんどくさいタイプなんですよ。自分でも思うんですけど。なっかなか履かないです(笑)。
――贈られたりはしないんですか?
早霧:プレゼント? されないですねぇ。誰もしてくれない。たぶん、どうせ履かないだろうって思われてるからですね。
自分で納得できないと絶対に履かないから。
――自分で納得したものしか着たくない! というLEE読者のおしゃれさんと共通する部分かもしれません。
早霧:そうですよね! だから仲間です(笑)!
スカートを履くまでの果てしない道のりの話から、LEE読者との共通点を見つけるという意外(!?)な着地点で、取材時間が終了(笑)。
真剣な表情で想いを語ったかと思えば、大笑いしたり、立ち上がって袴は構造的にスカートではなくズボンであると説明してくれたり……と、早霧さんの飾らない人柄が伝わってくる楽しい時間でした。
今年の10~11月、再び早霧剣心に会える日が楽しみでたまりません!
皆さんもぜひ、新生・剣心に会いに劇場へ出かけてくださいね。
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高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。