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LIFE

藤原千秋

「女性活躍」ってなんだろう?

  • 藤原千秋

2018.09.23

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私、「活躍」してる?

日々テレビで、新聞で、雑誌で、電車内の吊り広告で、SNSに紐付いたニュースフィードで、友達からのシェアで。

『女性活躍』

っていう、漢字四文字を目にするたび。内心に「もやっ」としたものが、けむりのように充満するのを自覚する私です。

女性が、活躍って、なんだろう……。何を指しているんだろう。とにかく仕事をすればいいの? 子どもを産めばいいの? 両方やらないとダメなの? 今現在の自分ってどうなの? 「活躍」しているの?

いいえ、とても「活躍」しているようには思えない。やらなきゃいけないことに追われて、でもやりきれてなくて、あれこれ至らなすぎて。なんだかこう、「社会」から求められているようなレベルの存在ではない。気がしてならない。

面と向かって誰に何を言われたわけじゃあ、ないんだけど。

なんだか、しんどいな……。もやもやもやもや……。

 

もやもやの処理方法としての「場」

さて、そういった種類の「もやっ」とした思いや考えをどう片付けるかって、その方法、けっこう人それぞれ違うもの。

たとえば身近な人に、ばーっと喋ってスッキリ忘れちゃう、とか。
とりあえず、日記につけとく、とか。
匿名のSNSでワーッと吐き出し、語る、とか。

まあ、方法自体はなんでもいいのだとは思うのですが、最近私が「わりといいな」と思っているのが、同じようなテーマに対して問題意識を持っている人たちとの生身のやりとり(トークセッション)だったりします。

数年前、思うところあって学校に通い直したころにしみじみ感じたことでもあるのですが、「共通のテーマ」を真剣に人と語り合うようなことって、大人になると、なかなかできないんですよね。子育て中だとなおさら「本心なんて、おっかなくてぜったいに言えない!」ことも……。

でも、存外探してみると、そういう「場」って、あるものなんですね。

 

『歩みたい人生と「女性活躍」という空気感』

女性活躍って何だろう?

女性活躍って何だろう?

とりあえずこの「もやもや」の解消とまでは言わない。でも、何か道がつけばいいなあと期待して、身近なところで開講されていた『歩みたい人生と「女性活躍」という空気感』という講座を先日受講してきました(さいたま市男女共同参画推進センター:パートナーシップさいたま主催)。超個人的な「もやもやもや」に対して、タイトルがドンピシャだったんです。

講師の古川晶子さん

講師の古川晶子さん


古川 晶子 先生

福岡県出身
2006年にキャリアカウンセラーとして独立
「人と仕事の幸せな関係性」をテーマに講演等を行う
2013年より一般社団法人さいたまキャリア教育センター代表理事

大人のためのライフキャリア学習や、
カウンセラーのブラッシュアップを推進する活動を行う

著書に『キャリアカウンセラーという生き方ー「人生の節目」を乗り越える人を支える仕事』(セルバ出版/2018)

講師は一般社団法人さいたまキャリア教育センター代表理事の古川晶子さん。自身もさいたま市内で子育て中の、働くお母さんである古川さんは、キャリアカウンセラーとして日頃から多くの方の迷い(もやもや)に伴走されています。

その的確なファシリテートに導かれつつ2日にわたる講座内では、初見の、さまざまなバックグラウンドを持つ受講生同士が、1日目は「仕事と私/会社と私」、2日目は「家族と私」というテーマに沿って、それぞれの考えを分かち合いました。



「共感」し合わなくていい自由

このトークセッションには基本ルールが敷かれていて、それは「1・積極的に参加する」「2・話すことは正直に話す(話したくないこと話さない)」「3・受け入れる(批判しない・否定しない)」という3つ。

シンプルで簡単そうに見えますが、これって「場」や「人」によっては、なかなか難しいようです。一見「和気藹々」な場、逆に忖度とかハラスメントが在る場でもありえませんよね。逆に言うとこのルールが確立される「場」というのは、きわめて、貴重。まれなのです。

さて、5人1グループでのトークセッションでは、自分以外の人にある考え、深いところからの言葉を聞くことができ、とにかく新鮮でした。

というのは、友達同士での愚痴の言い合いなどでは必須の「わかる〜!」という返しが全くといっていいほど必要なかったからです。

「わかる〜!」っていちいち言わなくてもいいというのは、かなり……悪くないなと思いました。自分を、ちょびっとでも、まげなくていいということ。共感しなくてもいいって、「自由」の一種なんですね。知りませんでした。びっくりしました。

 

自分の「無知」にびっくり

講義中の古川さん

講義中の古川さんと、考えを述べる受講者さん

また、トークセッションとは別に取られた古川さんによる講義の時間では、1894年から2014年に至るまでの「女子労働」の歴史(ファクト)を学び、正直なにも知らなかったんだな私、と自分の無知加減にもびっくりしました。

もしかするとこのへんって、半分くらいは日本史の近代史あたりでさらう内容なのかもしれないんですが、考えてみたら私は「1990年代以降」の日本史を総括的に学んでいないのです。

私が学生から社会人になったのは1997年でしたが、その年に「改正雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)」が一部改正されて、女性保護のために設けられていた時間外や休日労働、深夜業務などの規制が撤廃されていたことなど、まさにその時期働き始めていながら、ほとんど自覚していませんでした。怖い! ちょっと「まずいでしょ……」と自分に突っ込んでしまいました。

 

誰のための「活躍」?

いま「女性活躍」と同じくらい世間を賑わしている言葉に「働き方改革」があります。私自身はいわゆるお勤めという働き方から離れてそろそろ20年にもなろうかという身なので、「働き方改革」で挙げられている内容を少し遠く感じつつ、改めて私(たち)は誰のため、何のために働いたり、がんばったりしているんだろうかと考え込むのです。

「もっと」「もっと」という空気感に対して、「もっと」がんばって「どう」なりたいのか、そもそも自分は「もっと」やりたいの? 本当は「ほどほど」だったりしない?

気持ちと同じくらい輪郭のもやっとした、「社会」の用意した正解っぽいステージの上で活きたり、躍ったりしなくても別にいいんじゃない?

べつに「活躍」じゃなくて「暗躍」でもいい。なんならただ家の中で「雀躍(じゃくやく。小躍りすること)」するだけだっていい。はず。

そういう個人の思いをおおっぴらに口に出せない何かがあるのだとしたら、おそらく問題はそこにあるのです。

 

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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