手足の冷えや寝つきの悪さ。何となくだるい、疲れやすい・・・そんな、夏にありがちな不調にストップをかけるカギは、私たちの体に張り巡らされた血管と、そこを流れる血液。
LEE9月号では、血液がきちんと流れない「ゴースト血管」を復活させて、血流をアップさせるテクニックを、各専門家に伺いました。
本日お届けするのは、血流をきれいにする「食材選び&食習慣」。毎日の食事を見直して、プチ不調を改善しましょう!
「女性の健康は血がたっぷりと流れていることが基本」
そう教えてくれたのは、漢方の視点から女性の心身の健康維持に役立つ情報を発信する、漢方薬剤師の堀江昭佳さん。
「漢方でいう血とは血液のみならず、血液に含まれる栄養やホルモンも含む概念ですが、ほとんどの女性は血が足りておらず、疲れや、冷え、ストレス、婦人科系疾患、太りやすさや肌荒れといったあらゆるトラブルの原因になっているのです。
質のいい十分な量の血がしっかり流れるようになれば、こうしたトラブルはみるみる解決します。
血をたっぷりにする最大のポイントは、胃腸です。なぜなら、血の材料である食べ物から栄養を体に取り込むのは胃腸だから。胃腸がきれいで活発に働いてこそ、十分な栄養が行き渡り、いい血がたくさん作られるのです。
胃腸を整えるには、食事の見直しが不可欠。
食物繊維をはじめ、胃腸の働きをよくしたり体を温める食材を積極的に活用しましょう。そして『おなかが空いたら食べる』ことを徹底してください。四六時中おやつをつまんでいたり、空腹を感じていないのに『ランチの時間だから』と惰性で食事をとっていると、胃腸が汚れて負担がかかり、働きが低下してしまいます」
食物繊維の宝庫である海藻は腸の活性化にもってこい
「現代人の食生活には食物繊維が圧倒的に不足しています。食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、腸の働きを活性化させる重要な栄養素。ワカメや昆布などの海藻類には食物繊維がとても豊富。腸内を掃除してくれる働きもあり、体に必要なミネラルもとれるのでおすすめです」(堀江昭佳さん)
玄米や雑穀米で腸を掃除し血流をどんどん作り出す
「玄米はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富。白米を玄米に替えると胃腸の活性化に効果的です。日本人が昔から伝統的に食べていた食材でもあり、私たちの体に合っているのです。ただし、胃腸の力が弱い人は消化不良を起こすことも。おかゆにしたりよく噛むことを意識して」(堀江昭佳さん)
しょうがは生と乾燥を使い分けると温め力がアップ
「温め食材のしょうが、実は生と乾燥させたものとでは役割が異なります。生は熱を発散させる力があり、風邪の引き始めなどに◎。乾燥させたものは、体を中から温めるのに最適。血流アップには乾燥しょうがを使うのが正解。市販の乾燥しょうがパウダーを活用すれば手軽です」(堀江昭佳さん)
おやつは食後すぐに食べれば血流はきれいなまま!
「甘味は胃腸を元気にするので、デザートは食べてもOK。ただし、食間に食べると血糖値が急上昇し、血管が硬くなったり血が汚れる原因に。食事直後の血糖値がある程度上がっているときがベストです。血を作る食材である小豆を使った和菓子を選ぶとさらにグッド!」(堀江昭佳さん)
お酒を飲むならワインor日本酒が血流に◎
「少量のお酒は胃腸に活力を与えます。おすすめは日本酒、ワイン、蒸留酒のロックやお湯割り。日本酒は非加熱で菌が生きているタイプがより◎。ワインの中では赤には血管を強くする働きも。ビールやチューハイは体に余分な水分をため込み冷えを招くため、避けたほうがベター」(堀江昭佳さん)
七味唐辛子を料理に使えば簡単に血流がアップ
「どの家庭のキッチンにも一本は置いてある七味唐辛子は、唐辛子、粉山椒、黒ごま、陳皮など、胃腸を元気にする成分がギュッと詰まった調味料。メーカーによって配合や原料に違いはありますが、おおむね胃腸にいいものばかりです。そばやうどん以外に、みそ汁にも合いますよ」(堀江昭佳さん)
血流アップに効果的な食材を使ったレシピをご紹介!
「これならできそう」と思えるものからトライして、血流や腸内環境改善を目指してみてください。
朝
血を増やす食材・玄米を、消化によい食べ方で
玄米がゆ 薬味添え
材料・2~3人分
- 玄米… 1 合
- 塩…少々
- 大葉、小ねぎ、しょうが…各適量
作り方
- 玄米は軽くすすぎ洗う。たっぷりの水に最低2 時間以上つけてからザルに上げておく。大葉は千切り、小ねぎは小口切りにする。しょうがはみじん切りにする。
- 玄米を炊飯器に入れ、水4 カップと塩を加えておかゆモードで炊く(鍋で炊く場合は鍋に玄米と水4 カップと塩を入れ、中火で沸騰するまで加熱し、沸騰したら弱火で30〜40分煮る)。大葉、小ねぎ、しょうがの薬味をたっぷりのせていただく。
昼
血流を浄化する食材、ヒジキが主役!
ヒジキと夏野菜のサラダ かぼすドレッシング
材料・2~3人分
- ヒジキ… 5 g
- レタス… 3 ~4 枚
- トマト… 1 個
- みょうが… 2 個
- A
- かぼす果汁…1/2個分
- オリーブ油…大さじ2
- ハチミツ…小さじ1
- 塩、黒こしょう…各少々
作り方
- ヒジキは水で戻し、水気をしっかりときる。レタス、トマト、みょうがは細かく刻む。
- Aをボウルに入れてよく混ぜ、①を加えて和える。
七味唐辛子がけみそ汁
材料・2~3人分
- 豆腐(絹)…1/3丁
- 油揚げ…1/2枚
- 長ねぎ…10㎝
- だし…500㎖(水…2.5カップ かつお節…1/2カップ昆布… 5 ㎝角1 枚)
- みそ…大さじ1 と1/2
- 七味唐辛子…適量
作り方
- だしをとる。昆布は表面を軽くふき、水につけておく。弱火にかけ、20分沸騰させずに加
熱し、昆布を取り出す。かつお節を一気に加え、沈んだら火を止める。 - 豆腐は角切り、油揚げは熱湯をかけて短冊切りに、長ねぎは小口切りにする。
- ①のだしを小鍋に入れて火にかけ、豆腐、油揚げを入れ、具材が温まったら、一度火を止めてみそを溶き入れる。沸騰直前まで温めて長ねぎを加える。器に盛り、七味唐辛子をたっぷりとかけていただく。
夜
血を作る食材である鶏肉は、ごまと食べればダブルの効果!
蒸し鶏のせごまダレそうめん
材料・2~3人分
- そうめん… 3 束
- 鶏むね肉…1/2枚
- 塩、酒、長ねぎの青い部分、しょうが…各少々
- きゅうり… 1本
- 黒すりごま…適量
- <ごまダレ>
- 白すりごま…大さじ3
- しょうゆ…大さじ2
- 酢、砂糖、みりん…各大さじ1
- ごま油…大さじ1/2
- だし…1/2カップ
作り方
- 鶏むね肉はフォークで穴を開けて耐熱皿にのせ、酒、塩、長ねぎ、スライスしたしょうが
をのせラップをふんわりかけ、電子レンジ(600W)で5 〜6 分加熱する。冷めたら食べやすくスライスする。きゅうりは千切りにする。 - そうめんをゆで、ぬめりを洗い冷やし水気をきる。ごまダレの材料を混ぜ合わせる。
- 器にそうめん、蒸し鶏、きゅうりをのせ、ごまダレを添える。ごまダレに黒すりごまをた
っぷりと振りかける。
「冷え性で血流が悪い人でも、外気温が高い夏だとそれが気にならずにスルーしてしまいがち。ですが冬になると、体は体温を保つのに必死なので、冷えを根本から直すには夏がベストなのです。
それにはやはり食事がポイント。むやみに体を冷やさないためにも、血を作る食材や、夏の暑さから体を守り水分を補う食材をしっかりとることを心がけて」(堀江昭佳さん)
暑い今こそ! 夏バテ防止の3つの食材
梅干し
「酸味がのどの渇きを癒し、汗のかきすぎを防ぐので夏バテ予防に効果的。疲労回復にいいクエン酸も豊富」
ウリ科野菜
「きゅうりやすいか等のウリ系は水分が多く、体のほてりを冷まします。汗で失ったミネラルの補給にも◎」
鶏肉
「漢方では、鶏肉は血を増やす最強の食材。夏でも温かいスープにして、エキスも身もすべていただいて」
次回はヨガ編。10分でできるから続けられる、「血流アップの朝ヨガ」をご紹介します。
撮影/中澤真央 レシピ考案・調理/清水加奈子 イラストレーション/多田景子 取材・原文/遊佐信子
※詳しくは2018年8/7発売LEE9月号をご覧下さい。
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