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DJみそしるとMCごはん「音楽と料理。二つの好きなものを仕事にできて、私は幸せ者です!」

2018.08.10

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音楽×料理がコンセプトのNHK Eテレ『ごちそんぐDJ』で楽しいレシピラップを披露しているラッパー、“おみそはん”こと、DJみそしるとMCごはん。話していると思わずこちらもほほえんでしまう、ほんわかした人柄だが、実は曲作りからジャケット制作まで、自らこなすマルチな才能の持ち主。

新作『エプロンボーイのさしすせそ』も調味料を題材に、心あたたまる魅力的な6曲が収録されている。「おいしいものは奇跡だ!」という彼女のモットーは母の言葉から。小さな頃から、食べることが大好きな子どもだった。

音楽と料理。二つの好きなものを仕事にできて、私は幸せ者です!

DJみそしるとMCごはん●1989年、静岡県生まれ。女子栄養大学の卒業研究として制作した作品が注目され、2013年、メジャーデビュー。「おいしいものは奇跡だ!」をモットーに、作詞作曲、トラック、アートワーク、ミュージックビデオまで自ら制作し、料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、超自家製ラッパー。’14年春から、NHK Eテレ『ごちそんぐDJ』にレギュラー出演し、お茶の間の人気者になる。ジャンルを超えて自由に横断して「おいしい」を表現する唯一無二のエンターテイナー。

「今でこそ料理するのも大好きですが、実家を出るまでは“食べ専”。夕方、母が料理を作っている横で、勉強したり、しゃべったり、つまみ食いしたりしていました(笑)。おいしいにおいに包まれた、とても幸せな時間だったと思います。それが私の原点。大学進学を機に一人暮らしと料理を始めましたが、母の味を全然再現できなかった。実家を出てから母の偉大さに気づき、今、感謝しています」

車で仕事に向かう母についていくと、車内ではピチカート・ファイヴの曲がかかっていたそう。

「母はきっと渋谷系が好きだったんだと思う(笑)。私も子どもの頃から、『ポンキッキーズ』に出ていたスチャダラパーが大好きでした。音楽も料理も、私は母から大きな影響を受けたんでしょうね」

食いしん坊な音楽好きになった彼女は「音楽で食べていくのは難しいから、料理で生きていく!」と決め、女子栄養大学に進学。

「フードコーディネーター、ごはん屋さん、料理研究家、コンビニのメニュー開発……すべて魅力的な仕事で、料理ならたくさんの可能性があると思ったんです」

ところが運命はおもしろい。卒業制作としてレシピをラップにして歌った『ピーマンの肉詰め』という曲をYouTubeに上げたところ、音楽関係者の目にとまったのだ。なぜなら、すでにその作品は、音楽×料理というオリジナリティあふれる彼女の個性が凝縮されていたから。好きなものを掛け合わせた結果、大好きな音楽も料理も「仕事」になったのである。

「なぜラップを選んだかというと、ヒップホップが好きという理由のほかに、言葉をたくさん詰め込めて、多少歌が下手でもなんとかなる、と思ったから(笑)。レシピやうんちくや誰かを思う気持ちをすべて歌詞に盛り込もうとすると、どうしても文字数が増えちゃうので、自分の中では自然な組み合わせでした。ただ、最近、プロとしてもっとうまくなろうと、歌の練習を始めたところです」

その成果は本作に収録の“初めての全編歌もの”となった『涙の塩バニラ』で発揮されている。しっとりせつない“おみそはん”の歌声とメロディも素敵、と大好評。

「歌ものもよかった、と言っていただけると、とてもうれしいです。これから少しずつ、こうした曲も増やしていきたいです」

『甘辛MCバトル~たまご焼き編~』は地域や好みによって味つけが異なるたまご焼きやだし巻きが味を競い合う(!)一曲。聴いたら最後、絶対たまご焼きが食べたくなる。作品を短期間でどんどん生み出すエネルギーと才能に驚かされるばかりだが、「音楽と料理を仕事にできて、毎日楽しくて仕方がないし、アイデアも尽きることがない」と言い切る。デビューから5年間、進化し続けてきた彼女の勢いは加速するばかりだ。

『エプロンボーイのさしすせそ』

料理の"脇役界の主役(スター)"、調味料の「さしすせそ」をクローズアップ!

いつも陰で支えてくれる誰かのおかげで誰しも輝く、というメッセージを独自の世界観で表現した、心あたたまる一作。アニメ『衛宮さんちの今日のごはん』テーマ曲『エプロンボーイ』ほか、酸いも甘いも盛り込んだ"調味料で超魅了"する全6曲の話題作。(キューンミュージック)

撮影/名和真紀子 取材・文/中沢明子

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