2021年から、ハワイで日焼け止めの販売が禁止になることをご存知ですか?
販売禁止となるのは、紫外線吸収剤の「オキシベンゾン」と「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」が含まれる製品。サンゴ礁の白化現象につながるなど有害性が指摘されていることから、法案で禁止が可決されました。そして、現在日本で発売されているほとんどの日焼け止めには、その2つの成分が入っているそうです。
今回は、日本でいち早くその問題に気づいたひとりの女性によって作られた「サンゴに優しい日焼け止め」について、お伝えしたいと思います。
日焼け止めが原因で、サンゴが死んでしまう
サンゴ独特の美しい色は、共生している「褐虫藻(かっちゅうそう)」が光合成を行うことによって作られています。褐虫藻がいなくなってしまうと、サンゴは栄養を摂ることもできなくなり、色は抜けて白くなり、死滅してしまう…これが「海の砂漠化」とも言われ問題になっているサンゴの白化現象です。
前述のオキシベンゾンとメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、この褐虫藻にダメージを与えるため、海外ではほとんどのビーチで使用が禁止される国もあるなど規制が進んでいるそう。日焼け止めが海に流れ込む量は、なんと年間1万4000トンにのぼると言われており、ハワイでの販売禁止法案の可決も、サンゴ礁をはじめとした海の環境保護を目的に掲げています。
一方日本では、日焼け止めの危険性はあまり知られていません。私も全く知らず、海に入る時は毎回、念入りに塗りたくっていました…。
日本初!サンゴを守ることができる日焼け止めを作ろう
今回ご紹介する「サンゴに優しい日焼け止め」を開発したのは、沖縄に住む、海が大好きな呉屋由希乃さん。
彼女がこの問題について知るきっかけとなったのは、座間味島のビーチで市販の日焼け止めクリームを塗っていたところ、ダイバーの方から「それを塗って海に入るとサンゴが死んでしまう」と指摘されたこと。でも日本では、環境に配慮した日焼け止めはなかなか見つからず、あったとしてもオーガニックでとても高額なものばかりでした。そんな現状を変えるため、クラウドファンディングで資金調達に挑戦しながら自ら、安全で使いやすい手ごろな価格の製品を作ることに決められたそうです。
シンプルな成分、持ち運びやすいパッケージも魅力!
サンゴに有害な成分を含まず、紫外線をブロックする酸化亜鉛を主成分に、ヒマワリ種子油など保湿効果のある自然由来の成分を配合。自然界に負担のかかるナノ成分は使わず、自然分解可能な自然成分のみを使用しているため、土壌や海を汚染しません。
低刺激性なので小さなお子さんにも安心して塗ることができ、石鹸で落とせるためお手入れも楽。SPF30程度のUVカット効果がありウォータプルーフという機能性の良さも兼ね備えています。
旅行等で使い切れる量にすることで価格を抑えたというパッケージの容量は15gで、全身だと約2回分、顔と首などであれば約7回分つかうことができます。2パッケージがポーチに入って、価格は1250円。現実的に使い続けられる、手ごろな価格だと感じました。
問題について知り、自分ができることから始めてほしい
可愛くおしゃれなパッケージも魅力的な「サンゴに優しい日焼け止め」ならば、環境に配慮しつつ、使うこと自体を楽しむことができそうですよね!
サンゴの白化現象には、他にも温暖化など様々な原因があると言われていますが、日焼け止めの問題が一番大きく、かつ、私たち自身がコントロールして防ぐことができる要因だと言われています。また、UVカット効果のある服や帽子を活用することで、日焼け止めを使う量自体を減らすこともできるはず。
「まず、より多くの方に日焼け止めの危険性についてきちんと知ってほしい」
と話す呉屋さん。愛する沖縄の海や環境を守るために自ら立ち上がり、これまで世の中になかった素晴らしい製品を作り出したその想いと行動力に、心を動かされました。売り上げの一部はサンゴの移植活動や海の保全活動のために寄付されるそうで、購入を通してそれらを支援できる点も嬉しいですよね。
海へ行く機会も多くなる今の時期。それぞれが、自分の使う日焼け止めを見直す「小さな一歩」を踏み出すことが、地球の環境保護に大きく貢献することにつながるのではないでしょうか。
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佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。