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映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

事故物件で幽霊と同居!?  池田エライザさんが映画『ルームロンダリング』で個性派女子を好演!

2018.07.03 更新日:2018.07.04

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こういう生き方もアリだな、って思えました

女子に人気の高い、池田エライザさんにお会いして来ましたヨ! エライザさん自身、可愛い女子に目がないようですが(笑)、可愛い女子好きの女性にとって、エライザさん、たまらないですね! 女性カメラマンと一緒に、ついデレデレしてしまいました。

1996年4月16日、福岡県生まれ。09年ファッション誌「ニコラ」のモデルオーディションでグランプリを受賞し、モデルデビュー。11年、『高校デビュー』で映画デビュー。15年に『みんな!エスパーだよ!』でヒロインに抜擢され、女優として注目を集める。ドラマ「ぼくは麻里のなか」(17)、及び映画『一礼して、キス』(17)でそれぞれ初主演を飾る。今年だけで出演映画が『伊藤くんA to E』『チェリーボーイズ』『となりの怪物くん』(全18)の他、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『億男』(共に18)の公開も控える。リリー・フランキーと共に音楽番組にてMCとして活躍中。   撮影:齊藤 晴香

 

しかも可愛いだけじゃなく、感じがいいっ。その場にいる人みんなの気分をよく、楽しくさせられるって、無敵! そんなイオンパワーに満ちたエライザさんが主演している映画『ルームロンダリング』も、女性は絶対に好きにならずにいられない可愛い作品です。

皆さんも“マネーロンダリング”という言葉を聞いたことがあるでしょうが、“ルームロンダリング”なんて聞いたことありますか!? 私はこの映画で初めて知りました。……というか、この物語を作った監督さんたちの創作……!? なんと、その名の通り“(ワケありな)お部屋を浄化する”こと。そんなタイトルの映画に、興味津々です!

「ね、面白いですよね。肯定したらいけないとは思うけれど(笑)。もし御子ちゃんが、世界のどこかで本当にこのお仕事をして生きていたら、すごく愛おしいな。(撮影は)こういう生き方もありだな、って思える瞬間でした」

御子ちゃんというのは、エライザさんが演じられた役名です。ちょっと不思議なパワーを持つ、ちょっと変わった愛すべき女の子。さて、その御子ちゃんをめぐる物語、一体、どんなものでしょう?

 

家族についてすごく考える機会になりました

祖母に育てられた御子ちゃん(池田エライザ)は、18歳の時にその祖母も亡くし、天涯孤独になってしまいます。そんな御子を、いきなり現れた叔父の悟郎(オダギリジョー)が引き取り、住む場所とお仕事を用意してくれます。そのお仕事というのが、“ルームロンダリング”だったのです。いわく付きの事故物件に一定期間、御子ちゃんが住むことで、事故の履歴を帳消しにする、という仕組みなのですが……。御子ちゃんには、その仕事に天職とも言うべき特殊な能力があったのです。それは――“幽霊”が見えてしまうこと!

『ルームロンダリング』
監督・脚本:片桐健滋
出演:池田エライザ、渋川清彦、伊藤健太郎、光宗薫/オダギリジョー
2018年7月7日(土)より新宿武蔵野、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋他全国ロードショー
(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会
http://roomlaundering.com/

 

――御子ちゃん役のオファーを受けたときの、エライザさんの反応は?

「ちょうど母の実家に帰っているとき、お話をいただいたんですよ。だから余計に、当たり前のように感じていた“家族が生きて、一緒にそこに居る”ことが、すごく有難いことなんだな、と思いました。家族についてすごく考えさせられる、いい機会になりました」

――御子ちゃんには、それがないのですものね。

「だから友達が親に対して「もう、うるさいなぁ、分かった分かった」なんて言ってるのを聞くと、「ダメだよ!!」なんて思ったりして。自分も、お母さんにそんな態度をしていたのに(笑)。だから、そんな御子ちゃんに寄り添うには、どうすることが自分には必要なんだろう、とまず考えました」

 

オリジナル作品だからこその幸せな現場でした

 

――御子ちゃんが事故物件で出会う、“幽霊”たちとのやり取りが、妙に面白いですね。

「そうなんです。この物語もですが、そういうものを、片桐(健滋)監督を含め、年が満ちて来たお兄様たちが居酒屋で脚本を作り上げた、ということが、すごく愛おしくて(笑)。もしかしたら御子ちゃんは、今もどこかで生きていて、部屋を浄化して回っているのかもしれないな、と思えるくらい、すごく魅力を感じられた作品でした」

実はこのポスター/チラシの「ルームロンダリング」という題字、エライザさんがクレヨンで書いたものなのですって!! なんか映画の世界にぴったりですよね!

 

――では、すぐにその作品世界に入り込むことが出来たのですね。

「はい、監督自身が日々抱えて来たこと、思ってきたことが、登場人物に当てて書かれているんですよ。監督曰く、御子ちゃんも、健太郎くんが演じている亜樹人(御子が引っ越した先の隣人)も、監督の分身らしくて。だから現場では私自身も、できるだけ監督とセッションしながら御子ちゃんを作っていきました。監督のオリジナル脚本なので、撮っていく過程で、私が“このセリフを御子ちゃんとして、まだ言えないかも”なんてことがあると、“このセリフはこうしよう”というようなことが日々起こり、現場で作品がどんどんブラッシュアップされていくんです。オリジナル作品の醍醐味というか、すごく幸せな現場でした」

――まさにモノづくりを実感できる瞬間ですね。

「そうですね、みんな正解が分からない中で、みんなで探していくという、答えをみんなで出していくような動きができるので、難しいけれど、作品に対する愛着がやっぱり違います」

 

女性はみんな“御子”を心に飼っている

――御子はちょっと不思議ちゃんだけど、女性は思わず共感できるキャラクターですよね。

「御子って、ちょっと内弁慶ですが……。いちいち向き合うと辛いことがたくさんあって、神様って不公平だなぁ、と何となくのらりくらり思っているような子。変な子というよりも、だからこそ閉鎖的な環境で生きているんですよね」

「どんなにコミュ力のある女性でも、誰しも心の中に、御子ちゃんみたいな子というか、御子みたいな部分を飼っていると思うんですよ。だからこそ表では、自分というものを作って人とコミュニケーションを取る、というか。御子とは逆に、人とコミュニケーションをとることで、自分の壁がどんどん分厚くなってしまうことや、人間不信になってしまうことも、すごくあると思うんですよね」

こじらせオカルト女子の御子ちゃんは、それまで「ちゃんと知りたくないこと、見たくないこと」を見ずに生きてきましたが……ついにそれを知る時期がくるのです。

――御子ちゃんが幽霊たちの望みを叶えるべく奔走する、コメディでもあり、サスペンスの要素もあります。コメディということは、どの程度、意識して演じましたか。

「基本は、私以外のキャストの方々が、御子をすごく振り回して下さって生まれるコメディだったと思います。また監督がお茶目で、“どんなにお化けが話しかけて来ても、御子ちゃんはシカトし続けて”というような演出があったり(笑)。だから御子ちゃんとしては、本気で“迷惑だな”と思いつつ、私自身は面白いな、と思っていたという。自分から笑かそう、という動きはありませんでした」

 



小さな幸せが連想できて、すごく愛しい!

――赤や緑を基調にした衣装も可愛いですが、御子ちゃんが住むお部屋がまた可愛いですね。事故物件なのに(笑)。

「そうなんですよ~!! 御子ちゃん、ほかにやることがないから(笑)、カーテンにバチンバチン穴を開けてみたり、色んな事をしているんですよ。いつも持ち歩くアヒルもですが、部屋に置いてある小物も、“きっと御子ちゃんがフフッと手に取ったものだろうな”と小さな幸せを感じさせる。そんなことを連想させる瞬間がたくさんあって、すごく愛おしいんです」

「御子ちゃんが作る可愛いカーテンの穴も、男性が見たら“あれじゃ光が入っちゃうじゃないか”とか言うかもしれないけれど、そこじゃないから、って(笑)!! 全体的に絵本チックな空気が流れています」

「私自身は、この間、初めて雑貨屋さんに入ったのですが、あまりのオシャレさ具合に、動悸が速くなって具合が悪くなっちゃって(笑)。ずっと意識高い系の人しか入ってはいけないものだと思っていたので、勇気を出してみましたが、本当にドキドキでした」

 

渋川清彦さん演じる、現在幽霊の元住人に、御子はあることをお願いされてしまうのですが‥‥。

 

アクメの椅子を狙ってます!

――いきなりですが、エライザさん自身も、お部屋づくりに興味がありますか?

「はい、すごくこだわっているんですよ! 実家暮らしのとき、お母さんに部屋をピンクで統一された、その反動かな(笑)。小鳥を5羽飼っているので、小鳥が止まりやすくカジっても身体に悪くない、ナチュラルな木材で統一しています。小鳥部屋は別にちゃんとあり、ドラムも置いてあるのですが(笑)」

「リビングの壁は、トルコ皿を発注して嵌め込んだり、ルームコーディネーターの方に手伝ってもらいつつ、お金も時間もすごく掛けていますよ」

――居心地よく過ごす工夫も色々されている?

「ベランダにはハンモック、リビングには胎内に居るようなツルで編んであって上から吊るすソファ。その中でクルクルしながら本を読んでいます。アンプを繋げばいつでもギターが弾けるようになっていて。今、狙っているのはアクメの、低く木で編んである台座の上に、どデカいクッションをドンと乗せた椅子というか、ソファというか。あれ、人間をダメにしちゃうほど、居心地がいいんですよ~」

――最後に、LEEの読者に向けたメッセージを。

「LEEの読者の方々が大好きな世界観じゃないかな、と勝手に思うのですが。人って、“面倒くさいから考えないでおこう”ということが結構あって、本当にそうして生きてしまえることって多いと思うのですが、御子ちゃんは初めて向き合わなければならなくなる。それは本当に面倒くさいけれど、その先には不幸ばかりではなく、新しい自分が待っているかもしれない、と思わせてくれる映画です」

「今の時代、女性はみな逞しく生きていると思われていますが、実はそんなことないよ、本当に色々考えて生きているんだよね~、と共感しながら見て欲しいです! そしてオダギリジョーさん、渋川清彦さん、健太郎くんと、タイプの違うたまらない魅力の3人に、キュンとして欲しいです!」

どこかほっこり、オフビートな空気が流れる映画は、きっと皆さんのお気に入りの1作になると思います。ぜひ、劇場に足を運んでください!

 

 

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