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CULTURE NAVI「今月の人」

大谷亮平さんに聞く、映画『焼肉ドラゴン』の魅力は?

2018.06.21

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ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で注目されるや、瞬く間にブレイクし、今やドラマや映画を同時期に何本も抱える大谷亮平さん。この日もドラマ収録の大阪からとんぼ返りで取材に応じてくれた。

出演作『焼肉ドラゴン』は、’70年の大阪を舞台にした、ある在日韓国人一家の物語だ。

おおたに・りょうへい●1980年10月1日生まれ、大阪府出身。’03年韓国のCM出演を機に韓国で活動を始め、’06年に俳優デビュー。日本でも『ラヴソング』(’16年)より活動開始。公開待機作に主演作『ゼニガタ』『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』など。

おおたに・りょうへい●1980年10月1日生まれ、大阪府出身。’03年韓国のCM出演を機に韓国で活動を始め、’06年に俳優デビュー。日本でも『ラヴソング』(’16年)より活動開始。公開待機作に主演作『ゼニガタ』『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』など。

「僕は育ちが大阪だし、韓国に長く住んでいたので、このテーマの作品に出たい思いが強かったんです。韓国語が話せるゆえのキャスティングがついに来たかと思ったら、まったく使わない役で……(笑)」

残念そうに苦笑いする大谷さんが演じた長谷川は、一家の三女・美花(桜庭ななみ)の恋人であり、焼肉屋の常連客。主な登場人物の中で、唯一の日本人役でもある。

「差別が激しかったこの時代、一人の女性を愛し、在日韓国人の家族に入っていくのは容易ではなかったと思うんです。長谷川の一本筋が通った強さをしっかり意識し、揺るがないように演じました」

戦争で故郷を奪われ貧しいながらも一生懸命働き、感情をぶつけ合いながら生きる一家のたくましさ、そのエネルギーが最大の魅力だ。

「一家のお父さんがよく言う“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる”という言葉にすべてが詰まっていますよね。祖国に帰れず社会の隅に追いやられた逆境の中、差別に負けずに立ち向かう、彼らのパワーこそが映画にみなぎるエネルギーであり、観る人に元気をくれると思うんです」

これまで大人でクールな役が多かった大谷さんの、新たな顔が本作で覗けるのもたまらない。長谷川を巡って女2人が大乱闘を繰り広げる場面で、長谷川がアタフタする姿がとってもコミカルだ。

「実はあのシーンでクランクアップでした(笑)! 女性2人の間に、止めようと入ったり抜けたりする、あのアワアワした演技は確かに初めて。ただ自分ではコミカルな演技をした意識はなく、本気でマズい状況だぞ、と必死にやったら勝手にコミカルになっていて」

では大谷さん自身はイメージどおりクールな人間? それとも?

「今回も最初は大泉洋さんや真木よう子さんから、“モデルみたいな女性としか付き合わなさそう”とか散々言われました(笑)。でも毎度“イメージとは真逆の人間だった”とよく言われるんですよ」

韓国人スタッフ・キャストが参加した今回の現場で、通訳としても活躍したそう。そもそも大谷さんが韓国で活動するようになった、その動機は何だったのだろう。

「仕事があったから行っただけですが、そこに迷いも躊躇もありませんでした。ずっと体育会系(バレーボールで国体にも出場)で育ってきたので、180度違う新しい生活への興味でしたね。言葉もしゃべれず、当時は“もうダメだ”と思いましたが、友人に言われたとおり半年くらいで“アレ?”と思う瞬間があり、そこから急激にしゃべれるようになり、楽しくて楽しくて」

それから約12年。韓国での暮らしは、大谷亮平という人間にどのような影響を与えたのだろう。

「お酒を覚えたのも韓国で、“焼肉ドラゴン”に集うように毎日、濃い付き合いをしていました。ただ最初は日本と比べてルーズなことが腹立たしくて。でも世界的にみると日本のほうがむしろまれ。いろんなことを“仕方がない”と大らかに受け止められるようになりました」

『焼肉ドラゴン』

1970年、伊丹空港そばの集落。狭い路地の一角にある小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む一家と、そこに集う人々の悲喜こもごもの日々、彼らがたくましく生きんとする姿を活写する。演劇賞を総なめにした伝説の舞台を、作・演出の鄭義信が自身の手で映画化した初監督作。
(6月22日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開)
©2018「焼肉ドラゴン」製作委員会

撮影/峠 雄三 ヘア&メイク/堤 紗也香 スタイリスト/伊藤省吾(sitor) 取材・文/折田千鶴子
スーツ¥290000・ニット¥96000/エトロ ジャパン その他/スタイリスト私物

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