湿度が高くて洗濯物が乾きにくい夏場は、1年で最も洗濯の悩みが多い時期。そこで今回は、「部屋干し臭」「ニオイ戻り」の意外と知らない原因を、お洗濯のプロ3人がわかりやすく解説! そして、ニオイ対策となる菌の増殖を抑える、汚れの落とし方「洗う前」と「洗い方」を詳しくご紹介します。
「部屋干し臭/ニオイ戻り」はなぜ起こる!?
原因はコレ!
ニオイのもとは、衣類についた菌とそのエサになる汚れ
「部屋干し臭が起こるのは、衣類についた雑菌が原因です。ただその菌は普段から普通に衣類についているもので、それ自体がにおうわけではありません。その菌が衣類についた汚れや皮脂をエサにして輩出する代謝物(フンのようなもの)がにおうのです。衣類にエサにとなる汚れが残ったままだとニオイが起こりやすくなるため、洗濯でしっかりその汚れを取り除いてあげることが大切。また、乾燥に時間がかかり、長時間衣類が湿ったままだと、ニオイが起こりやすくなります。特に湿気のある温かい環境で菌は活発に活動するため、梅雨時期は要注意です」(花王 尾崎さん)
「乾くことで一旦、この生乾きのニオイがなくなったように感じるのですが、再度、水分や汗を含むと、その水分が蒸発することでニオイが立ちやすくなります。これがニオイ戻りです」(ライオン 大貫さん)
対策はコレ!
菌とエサになる汚れをしっかり除きできるだけ早く乾かす
教えてくれたのは
ライオン 大貫和泉さん 洗濯用洗剤などの製品開発・調査に携わり約20年。2児の母としての経験と、主婦・女性の目線から洗濯に役立つ情報を発信している。 |
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花王 尾崎貴則さん アタックブランドの商品開発担当。ニオイに対する感度が高い日本人に、より清潔で快適な衣生活をお届けするため研究を重ねている。 |
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P&G 大武秀稔さん P&G研究開発本部でアリエール研究開発担当。ライフスタイルの変化に合わせ、より快適な洗濯ライフを実現するための商品開発に邁進中。 |
菌を抑えるには「洗う前」にもポイントが
洗濯物はなるべくため込まず、早めに洗う
「時間がたてばたつほど、汚れは落ちにくくなります。同じコーヒーのシミも、すぐに洗うときれいに落ちますが、1週間そのままにしてしまうと落としきれません(写真上)。汚れたまま放置せずに、できるだけ早めに洗うことを心がけましょう」(ライオン 大貫さん)
洗濯かごはできるだけ 通気性のいいものに。
洗濯槽にためるのは╳
「どうしてもすぐ洗濯できない場合は、できるだけ湿気を避けておくのが大事。洗濯かごは湿気のこもらない通気性のいいものを選んでください。洗濯槽をかご代わりにしている人も多いかもしれませんが、湿度が高く菌が増殖しやすいので、NGですよ」(ライオン 大貫さん)
ぬれているものは直接かごに入れず、一旦、乾かして
「湿ったタオルなどをそのまま洗濯かごに入れると、そこで菌が増殖し、ニオイの原因に。すぐに洗濯するのが理想ですが、難しい場合には、一度干して乾かしてからかごへ入れるのがおすすめです。洗濯かごに湿気を持ち込まないことを心がけましょう」(花王 尾崎さん)
洗濯槽の汚れもニオイの原因!1~2カ月に1度、洗濯槽の掃除を
「実は洗濯槽は、汚れや菌が付着しやすく、思った以上に汚れやすい場所。それが衣類に移ってニオイの原因になることもあります。それを避けるためにも1~2カ月に1度は、専用のクリーナーを使って洗濯槽の掃除をしてあげてください」(P&G 大武さん)
徹底した菌対策が効果的!「洗い方」のコツ
もっと入るけど! 洗濯物は洗濯機の容量の7~8割に
「皆さん実は洗濯物を詰め込みすぎで、これが汚れを落としきれない大きな原因に。中で洗濯物が回らず、特に上に入れた衣類が洗えていないことが(下図)。目安は洗濯機の容量の7~8割。縦型は洗濯槽が5cm程度見えるくらい、ドラム型は機種によりますが、詰め込み注意」(ライオン 大貫さん)
洗剤は抗菌効果のあるものを。
除菌効果のある漂白剤を併用するとさらに効果アップ!
「ニオイの原因菌を抑えるには、抗菌効果のあるアイテムが必須! 洗剤を基本に、柔軟剤や除菌効果のある漂白剤をプラスすれば、さらに効果が高まります。気になるニオイや汚れの度合いに合わせ、組み合わせて使うのが◎です」(P&G 大武さん)
(左)生乾き菌と洗濯槽のカビをW抗菌する(※生乾き菌増殖を防ぎ、洗濯槽のカビの増殖を防止)。アリエール リビングドライジェルボール3D 18個入り¥448・(右)嫌なニオイを化学変化で中和する柔軟剤。レノア本格消臭 580mL¥436(ともに編集部調べ)/P&G
(左)繊維の奥から消臭する柔軟剤。ソフラン プレミアム消臭プラス 620mL¥380・(中)除菌と抗菌ができる漂白剤。ブライトW 600mL¥250・(右)洗うたびに衣類の抗菌力が上がる。トップハイジア 450g¥380(すべて編集部調べ)/ライオン
(左)洗濯物はもちろん、洗濯槽まで抗菌する洗剤。使い続けることで、下写真のような清潔な洗濯槽をキープ。アタックNeo抗菌EX Wパワー 400g¥320・(右)部屋干しに特化した柔軟剤。ハミングファイン 部屋干しEX 540mL¥350(ともに編集部調べ)/花王
減らすのが「除菌」、増殖を抑えるのが「抗菌」
「意外にきちんとわかっていない『除菌』と『抗菌』の違い。衣類に付着している菌の数を減らすのが『除菌』。対して、菌を増やさないようにするのが『抗菌』です。抗菌効果のみの液体洗剤や柔軟剤には除菌効果のある漂白剤を併用するのがおすすめ」(花王 尾崎さん)
落ちにくい部分汚れは予洗い、
または洗剤、漂白剤を直接塗布で
衿や袖、食べこぼしなどの頑固な部分汚れは、前処理することで格段に落としやすくなります。「汚れの種類によって、処理の仕方が違う(下参照)ので確認を。また、衣類によって洗剤の塗布ができないものもありますので、洗濯表示はきちんと確認してから行ってください」(ライオン 大貫さん)
汚れの種類別 予洗い
【皮脂・汗・化粧品】
汚れがついた部分に直接、液体洗剤を塗布。そのまま時間をおかずに洗濯機に入れて通常どおりに洗濯します。
【泥】
すぐに水洗いはNG。最初に必ず液体洗剤を塗布し、汚れがひどい場合はその後、水洗いして。最初に水につけると繊維の中に泥が入り込んでしまいます。
【血液】
まず40℃以下の水ですすぎ、液体酸素系漂白剤や液体洗剤を塗布。水の温度が高いと血液中のたんぱく質が固まって取れにくくなるため、必ず40℃以下で。
ニオイがしっかりついてしまったものは洗剤+漂白剤でつけおきを
すでについてしまったニオイも、つけおきで徹底的に菌と汚れ対策をすることですっきり。「40℃くらいのぬるま湯に液体洗剤と酸素系漂白剤を入れて、衣類を30分ほど浸します。その後はそのまま洗濯機に入れて、洗濯すればOKです」(花王 尾崎さん)
菌のエサになる汚れをしっかり落とせば、いつもいい香り!
次回は、 生乾きなしの「部屋干し」テクを洗濯プロが伝授します。
撮影/名和真紀子 齊藤晴香(大貫さん、尾崎さん顔写真) イラストレーション/船越谷 香 取材・原文/石橋夏江(verb)
※商品の価格は本体価格(税抜き:2018年6/7発売LEE7月号現在)で表示しています。
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