20代の頃は全然興味がなかったのに、30代後半になった今、俄然気になっているのがお花と日本文化です。お花×日本文化といえば、いけばな。そしていけばなを文化として確立させた華道家元池坊が、東京五輪800日前を機に新たな活動を始めるとのことで取材に行ってきました。
東京五輪に向けて華道でのおもてなしを広めたい
今回の記者発表は東京オリンピックに向け、いけばなで東京のおもてなし文化を盛り上げる2つのプログラムを開始したことをお知らせするのが目的。一つは公共スペースやオフィス、店舗などに本格的な華道作品を制作展示する『華道家にお任せプログラム』、もう一つは『心と技を伝授プログラム』として華道家が出張し、本格的に華道の心と技を伝授するというもの。
そしてそれらの活動を象徴するのが、池坊がプロデュースする『IKENOBOYS(イケノボーイズ)』です。555年もの歴史がある華道家元なのにトリッキーなことをするな、と思っていたところ、いけばなを愛する『IKENOBOYS』が登場。
私、少女漫画誌の『りぼん』で情操を育てられておりまして、『りぼん』といえば『有閑倶楽部』。『有閑倶楽部』では菊正宗清四郎推しでした。そうです、和装の男性が好きです。同じく集英社のマンガの実写で、今をときめく『花のち晴れ』の成宮一茶も、華道家元、和装男子ですよね。和装といけばなって、最高やん。
池坊のいけばなスタイルってどんなもの?
池坊のいけばなには3つのスタイルがあります。一瓶の中に調和した自然の景観美を表す『立花(りっか)』、草木の個性を活かし、使う植物は3つまでと決まっている『生花(しょうか)』、空間に縛られないスタイルの『自由花(じゆうか)』。スタイルを知ったうえで、それぞれの作品を見ると、ただきれいと思うだけでなく、説得力も感じます。
会場内に飾られていたいけばなの数々は『IKENOBOYS』がいけたもの。それではメンバーのキャラクターとお花の紹介です。
柿沢さんの『立花』
アンソニーという愛称の柿沢さんは『IKENOBOYS』リーダー。海外でもいけばなの講師を務めるほどの実力派です。ピンクとパープルの色合わせがお好きだそうで、いけばなの中にもカキツバタの紫が使われていますね。着物もピンクが入っていて素敵です。
江木さんの『自由花』
堂々とした佇まいのお花は江木さんの作品。まっすぐに伸びた花しょうぶが凛とした印象を与えます。1つだけでも迫力がありますが、3つあることで見る角度によって印象が変わります。訪れたお宅にこういういけばながあったら、いずまいを正したくなる感じ。
真壁さんの『自由花』
普段は大学の実験室で研究している真壁さんは、6歳からいけばなを始め、最年少の23歳ながらキャリアは17年! 白樺を土台にかすみ草などを組み合わせた作品は、力強さと繊細さが共存しています。洋風のインテリアにも合いそう。「いけばなは着物&正座でないとできない、というみなさんの思い込みを払拭したい」という願いが反映された作品と言えそうです。
谷田貝さんの『自由花』
片思いしていた女性の勧めでいけばなを始め、どっぷりハマったという谷田貝さん。紫のテッセンと白いかすみ草の色合わせは日本らしくて落ち着くのに、形状の違う花を組みわせているので緩急を感じます。ゲームやアニメがお好きで『ガンダム』をテーマにしたいけばなをしたことがあるそう。将来はいけばなとポップカルチャーの融合を目指しているとか。
藤井さんの『生花』
大学講師に僧侶と、肩書がかっこよすぎる(すみません、ミーハーで…)藤井さん。後ろにいくほど生命力を感じる3種類の植物を一列に並べ、成長や命を感じる作品です。ふ、深い……。「いけばなは情操教育にもいいので、お子さんにもおすすめです」とのこと。
作品のすばらしさもさることながら、みなさんの物腰が大変柔らか。華道はリフレッシュにもなるとのことで、その効果で内面も落ち着いていらっしゃるのでしょうか。見習わねば……。
ちなみに東京オリンピック700日前までにおけいこを開始すれば、オリンピック時くらいには皆伝くらいまでは習得できるかもしれないとのこと。私も花に囲まれた生活を送り、しっとりした大人になるため、近所の教室に通おうかな。
『IKENOBOYS』の公式サイトはこちら!
http://www.ikenobo.jp/ikenoboys/
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。