今年、14歳の子どもから、18歳で成人に
先日、閣議決定した成人年齢を引き下げる民法の改正案が、衆院本会議で審議入りしました。これまで20歳だった成人が18歳になり、女性の結婚年齢も現在の16歳から18歳へと上がり、男女ともに同年齢で揃うことになります。
ただし、飲酒や喫煙ができる年齢は20歳以上のまま。競馬や競輪などの公営ギャンブルも20歳未満ではできないことになります。
周知期間を経て、実際の施行は2022年4月1日からの予定です。あと4年ですから、今年14歳の中学生を持つ親にとっては、あれよという間に子どもが成人してしまうことになりますね。成人ということは、社会から一人前の大人として扱われるわけですから、親は社会人としての責任についても教える必要があります。
特に心配されているのは契約関係のトラブル。たとえば親の同意なくクレジットカードを作ったり、ローンを組んで高額な商品を購入する契約を結べるようになるからです。社会経験が乏しい新成人が悪徳商法の標的になるのではと懸念する声も多いよう。
また、その月に現金がなくても支払いができるクレジットカードは、正しい使い方をしないと高い金利を払うことになってしまいます。親も一緒に、その知識と心得をおさらいしましょう。
クレジットカードの使い方心得
①カード払いの分割は2回までにする
1回払いがベストですが、分割払いができるカードの場合3回目から手数料が発生します。12%もの高い利率がかかるので、むやみに分割払いを選ばないように注意。どうしても分割するなら2回までに。
②リボ払いは厳禁
買った物の総額に関係なく、毎月一定金額の支払いですむ「リボ払い」を選ぶと、自分が今いくら使っているか総額がわからなくなります。しかも手数料は年率15%と、住宅ローン金利と比べても相当の高利。また、最初からリボ払い専用設定になっているカードもあるので、親はしっかり注意喚起をしたいところです。
③利用明細は必ず確認を
今の社会では、どんなに本人が注意していてもカード情報を盗まれることがあり得ます。不正使用されていないか必ず利用明細を確認する習慣をつけましょう。今は明細が紙で届かないことが多いのですが、アプリをダウンロードしておくとスマホで簡単に確認できたり、カード利用ごとに通知が届くというものもあるので、そういうツールを利用するのもいいでしょう。
④不注意な延滞は将来のローンにも影響
カードの使用に慣れないうちは、引き落とし予定日に残高が足りず、うっかり延滞してしまうこともあるかも知れません。カードの利用情報は、クレジットの指定信用情報機関であるCICに登録されることになっています。支払いが3か月以上延滞した情報(異動情報)は5年間残るため、その期間に別にローンを組もうとした場合には断られてしまう可能性があります。必ず引き落とし予定日前までに入金しておきましょう。
⑤長期間にわたるクレジット契約はしない
エステの契約、英会話学校の契約などに、クレジット支払いを勧められるケースがあります。しかし、思っていたサービスと違うと感じても、解約を言い出しにくくて延々支払いを続けることにも。また、契約期間中に事業者が倒産した場合、返金は難しいのが実情です。長期間、毎月支払いが発生するような契約はしないのが無難でしょう。
わが子が大人としての門出で躓かないよう、気を引き締めて送り出したいものですね。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。