今30歳前後の若い世代のバンドが元気だ。
その中でも頭一つ抜けた存在のYogee New Wavesが3月にメジャーデビューを果たした。
どこか懐かしさを感じさせるメロディと誰もが感情移入できる歌詞で、大人のファンも急増中。
ボーカル&ギターですべての曲を作る角舘健悟さんは「以前はもう少し内省的でしたが、いい感じに気持ちが外に向かってきた延長にメジャーデビューという機会が巡ってきた」と話す。
確かに、今回のe.p.のリード曲『Bluemi n’ Days』はこれまで以上に、いい意味で聴く人を選ばないキャッチーな仕上がり。
サビでリフレインされる「花束をあげよう」という言葉が、聴く人自身の大事な誰かへの想いを引き出し、グッとくる。
「メジャーになっても自分たちの音楽を変えはしないけど、感情のグラデーションをもっと表現できたらと思います。アッパーだったり、暗かったり、どちらかに寄るんじゃなくて、その両方が自然に含まれた音楽をやりたい。たとえば忌野清志郎さんが湿った感情を明るく歌ったように」(上野)
「音楽に飛び級はないから、一歩一歩成長したいと思う」(角舘)
「そういう僕たちのペースを理解してくれるチームで今、やれているのがうれしいね」(竹村)
“チーム”の絆は彼らの重要なポイント。昨年、メンバーチェンジを経て現メンバーになったが、とにかく仲よし。本好きの竹村さんが大好きな松家仁之さんや江國香織さんの本をすすめるなど、雑談が始まるとわいわいにぎやかで、まるで男子校の休み時間のよう!
「音楽より人間性のほうが大事って言い切るとミュージシャンとして語弊がありますが(笑)、スタッフも含めて、相性が合わないとやれない。だって、ずっと一緒にいるんですよ? 人としても気が合って好きじゃないとつらいじゃないですか!」(粕谷)
「そういえば、花束をあげよう、という歌詞は、旧メンバーがやめるときに、初めて自発的に花束を買って渡したのを思い出して書いたんです。竹村が花束を買うのに付き合ったこともあって、それを見て美しいなあと思ったり」(角舘)
「あったね(笑)。僕らはプライベートでも一緒のときも多い。さっきも皆で神保町のボンディ(カレーの名店)に行ってきました」(竹村)
「車の中で松田聖子を流して皆で歌って、『赤いスイートピー』の歌詞、あらためて聴くとすげえな、とか話して。『あなたが時計をチラッとみるたび泣きそうな気分に』って、俺は時計見ないから大丈夫って言ってあげたい(笑)」(角舘)
昨年は「ヘリーハンセン」とコラボした服を発売するなど、ファッション好きでもある。
「僕は数年前からサーフィンを始めて変わったかも。ナチュラルな落ち着いた色を着るようになって、早くいい感じに枯れたおじさんになりたくなった(笑)」(粕谷)
「僕は本当に無趣味で音楽しかない人間。だから服も音楽雑誌で見つけた好きなミュージシャンの格好を参考にしています」(上野)
「僕らはステージも私服。見た目はその人を表すと思う。特に僕がどういう服装で、面構えで歌うかで、曲の説得力も変わってくると思うんですよね」(角舘)
若手のフレッシュさを感じさせる一方でチラリと垣間見せるプロの顔。そのギャップもまた魅力的な4人組の生み出す音楽は必聴だ。
リード曲『Bluemin’ Days』はフジテレビ系『セブンルール』のテーマソングで「前に向かって頑張っている女性へ普段言えないエールを送った」一曲。
気鋭のトラックメーカー、Sweet Williamがリミックスした人気曲『Ride On Wave』も収録。(Colourful Records / BAYON PRODUCTION)
撮影/名和真紀子 取材・文/中沢明子
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