お気に入りほど身につける頻度が高くて、穴があいたり生地がすれたり。もう着られないと手放す前に、小さな手当てをしてみませんか。
おうち時間に恵まれている今だからこそ、ゆったり手を動かして。30分もあれば、気になる穴やすり減りが、かわいく生まれ変わります。
縦糸を張って、横糸を通して……まるで小さな布を織るように。
糸の色合いや素材によって表情の変化を楽しめます。
ダーニングとは?
糸の色や質感を楽しみながら、衣服のダメージを繕う手法です
穴があいてしまった、お気に入りの服。ダーニングを施せば、より大切な一着に生まれ変わります。
「ダーニングはとても気軽なもの。縫い目もちょっとふぞろいなくらいが、味わいがあっていいんです」
と野口さん。仕上がりを左右するのは、テクニックより糸選び。
目立つ色を選べばワンポイントに、同系色で仕上げればシックな雰囲気に。
どう転んでもかわいらしく、"自分だけの一着"になるのがダーニングの長所。
ダーニング共通の下準備とルール
ダメージが中央にくるように生地をピンと張り、ダーニングマッシュルームにセット。ずれないようにヘアゴムで根元を結んで固定する。
糸は長すぎると作業しづらいので、1本50㎝程度を目安にし、短くなったら糸替えをする。

1
ダメージエリアの右上角5㎜外側に針を刺し、右から左に小さく1目すくう。縦糸の長さが揃うよう、しるしつけで上下に線を描いておくと作業しやすい

2
①の糸端は玉結びせず10㎝ほど残しておく(以下すべての糸で同様)。そのまま針を真下(ダメージ部分の右下角5㎜外側)におろし、右から左に小さく1目すくう

3
今度は下から上に糸を張る。糸の太さ分をあけて、右から左に小さく1目すくう。糸同士の間は詰めすぎず、糸1本分を目安にあけると、横糸が刺しやすい

4
②〜③を繰り返して縦糸を張る。ダメージ部分の左上角5㎜外側まで縦糸が張れたら、小さく1目すくい、糸端を10㎝残して切っておく

5
横糸をくぐらせる。まず、縦糸の右上角の右隣やや下側を小さく1目すくう。糸端は約10㎝残す

6
針の頭を使って縦糸の1本目を拾い、2本目は飛ばし、3本目は拾い……と交互に横糸を通していく。横にした針で、その都度上端まできっちり上げながら

7
最後まで通したら、縦糸のすぐ左隣を右から左へ1目すくって1段目が完成。2段目以降は、その都度マッシュルームを180度回転させると、作業しやすい

8
また右から左に小さく1目すくい、次は縦糸の1本目を飛ばし、2本目を拾い……と1段目とは逆に針をくぐらせ、最後に右から左へ1目すくって2段目が完成

9
再びマッシュルームを回転させて右から1目すくい、横糸を1本目は拾い、2本目を飛ばし……と交互に渡し、端で右から左に1目すくう、を下まで繰り返す

10
マッシュルームをはずし、表に出たすべての糸を針に通して裏に出す。それぞれ縫い目の下に3〜4目くぐらせ、糸を切る。玉留めはしなくてOK

教えてくれたのは
テキスタイルデザイナー 野口 光さん

15年間の英国在住時にダーニングに出会う。ダーニングの道具やオリジナル糸の販売も。9月に新刊『お繕いの本』(日本ヴォーグ社)を発売。https://darning.net
2020年LEE10月号【おうち時間の新たな愉しみに! かわいく繕う「ダーニング」】では、ほかにもいろんなダーニングをご紹介。ぜひあわせてチェックしてみてくださいね!

















