女々しいお話です。
柚木麻子 「BUTTER」
男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。
週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。
そんな紹介文に、怖さや巧妙さや緊迫感を求めると、裏切られます。
サスペンスやドロドロ要素は少なく、「グルメ小説!?」と思うくらい美味しいものが目白押しで、お腹いっぱいになるんです。
まずエシレのバターにはじまり・・
ロブション
牧場の絞りたてミルク
ブフブルギニョン
夜中の塩バターラーメン・・
贅沢なまでにしつこく、食欲をそそられます。
梶井のエピソードと共に紹介されるグルメに怪しさは覚えますが、女性の恐ろしさは感じません。
甘美な味だけを求めて欲望のまま素直に生きてきたばかりに周りをかき乱した梶井真奈子と、自分の常識と理想に囚われて、衣食住や恋人とも向き合ってこなかった主人公が、拘置所の面会を通じて、友情を育んでしまいます。
(事件は置いておいて)環境も容姿も生き方も全然違う女性だけど、「女の幸せ」って、差し引きとんとんなんじゃないかな。
女性が読む本だと思います。
ちなみに
バターの良さを一番に感じられる食べ方として“バター醤油ごはん”が登場するのですが・・
個人的に「いや、トーストでしょ」と思ってしまった。
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まだ序盤を読んでいる最中、仕事帰りに、エシレ本店でバターとフィナンシェを購入してみました。
主人公がした事と一緒です。
ここのフィナンシェは主人の大好物なのですが、お菓子にこだわりのない私は、高級バターにドキドキ・・
バター独特の臭みがなくて、確かにリッチな風味。
お菓子やパン、食材との融合で力を発揮するタイプのバターかな。
よつ葉な私は、贅沢になりたい時にまた買ってみようと思います。
明日香
35歳/夫/料理部・美容部/北海道出身です。ランニング、美容、美術館巡り、ときどき旅行をしています。相変わらず苦手な料理と整理整頓を今年も目標にしています。Instagram:@kmr28ask
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明日香