最近、すっかり寝不足の日々が続いていました。 その理由は辻村深月さんの最新作『ファイアドーム』。
「あと1章だけ……」と思いながらページをめくる手が止まらず、気がつけば時計の針は真夜中を回っている、そんな「夜更かししてでも読みたくなる」エネルギーを持った、とにかく面白い一冊でした。
物語の進み具合がとてもテンポよく、誰が読んでも引き込まれてしまう小説だと思います。
あらすじ
物語の舞台は、どこにでもあるような穏やかな地方都市。 ある日、ひとりの男子小学生が姿を消したことから、街の空気は一変します。
誘拐なのか、事故なのか。真相がわからないまま、少年の家族の過去や、担任教師のほんの些細なボタンの掛け違いが、周囲の好奇心に火をつけてしまいます。 ネットとリアルが交錯し、恐ろしいスピードで「犯人ゲーム」のように膨れ上がっていく噂の炎。その描写のリアルさに、最初から一気に引き込まれます。
「噂」という暴力
前半の主軸となるのは、失踪した少年の担任である若手女性教師・美冬。 生徒思いで真面目な彼女ですが、不運な偶然と、世間の「おもしろおかしく消費したい」という悪意なき好奇心によって、一瞬にして炎上の中心に立たされてしまいます。
読んでいて背筋が凍ったのは、「発信する側の軽さ」と「受け取る側の絶望」の圧倒的な格差です。
誰かにとっては、暇つぶしや興味心の一言に過ぎない。 けれど、本人にとっては呼吸ができなくなるほどの巨大な暴力となって襲いかかります。 味方が誰もいない孤独と恐怖が緻密に描かれていて、「もし自分や大切な人がこの渦に巻き込まれたら……」と、恐ろしくなりました。
弁解しようとすればするほど余計に疑わしく聞こえてしまうという蟻地獄のようなループです。
【後半】噂の先に見える、真実
物語の後半は、地元紙の若手記者・透真の視点を中心に、急速に動き出します。 これまで街に漂っていたいくつもの「噂」の糸が絡み合い、過去の歪みが次々と暴かれていく展開は圧巻です。
上巻を読んでいる最中は、「一体どこまで嫌な展開が続くのだろう」とハラハラしていたのですが、下巻に入ると物語の色合いがガラリと変わります。
読んでいて、私自身もなにが本当か、惑わされてハラハラしつつも、昔からある噂による誹謗中傷、現在のSNSでの誹謗中傷の事件など誹謗中傷についても考えさせられます。
辻村深月さんの代表作をなりそうな名作です!
TB - あお
会社員 / 埼玉県 / LEE100人隊トップブロガー
40歳/夫・息子(14歳・8歳)/フルタイムの会社員、ワーママ歴は13年目に突入。39歳でリモートワーク中心の会社に転職しました。平日はとにかく質素に疲れないように過ごし、土日は子ども達の試合を見に行ったり、カフェに行ったりアクティブに過ごしてます。趣味は読書、料理、インテリア。特技は家計管理。日々、自分の心と身体を整えるために、ジャーナリング、読書、ヨガ、ウォーキングや筋トレに勤しんでいます。骨格ストレート、イエベ秋。身長153cm。
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