よそはよそ、うちはうち
親切な畑の隣人の皆さまにご教示いただきようやく土づくりなるものを一旦終え、種まきの段階までたどり着いた。そう、まだここは土。ただの土。畝の形をした土。あたりを見回すともう既に鮮やかなグリーンの小さな芽がちょんと頭を出していたり、苗がひとまわり大きくなって「野菜がここにいます!」という感じの所がたくさんある。雑草制御、保温のために黒マルチと呼ばれる黒いビニール製のシートを敷いていたり、害虫対策や遮光、保温のためにトンネルネットを設置している区画も多い。ここで焦る。我々もこの覆いやら支柱をうにょっとまげるやら雑草対策やらしなければならないのか…!わからない!難しい!助けてー!
師匠、現る。
種を蒔こうと意気揚々と畑にやってきたのに、立派にスタートを切りどんどん畑の設えを整え野菜を育ててゆく多くの区画をみて尻込みをする我々。夫婦揃ってもじもじしていたらふらりと現れ声をかけてくれた男性。「てきとうで大丈夫だよ。きちんとするのはね、きちんとしたい人がやればいいの。俺なんかはてきとうだよ。畝すらないよ。何年か前なんて業務スーパーで買った枝豆をね、植えたら、いっぱい成ったよ。成ったらラッキー、成らなきゃ成らなかったなあでいいの。」その大らかな男性の畑は、全く何も設置することなく、その人柄のように自然体でいてドンとしていてなんだかとても広く感じた。いわゆる露地栽培(トンネルや不織布を使わない栽培方法)だ。田舎で生まれ育ったと言っていたから、きっと身体に畑が馴染んでいるのだろうとも想像したし、畑というのはなにかとセンスが重要なのではないか?とも思った。そして勝手ながら心の中で「師匠!」と呼び、勝手に慕っている。
種をまく人、のように
ジャン=フランソワ・ミレーの「種をまく人」のようにそれは豪快にわっとやるものだと思っていたのだが、現実は全く違った。1.5センチ程の深さの溝の線を引き、植える野菜ごとに株間や間隔を開けて胡麻のような種をちまちまと土にのせる。ビーズでアクセサリーを作っているような細々とした作業に15㎡の畑が無限の広さに感じた。例の如く開始数分でピーピー言い出すわたしをよそに黙々と種を植える夫。黙々とショベルカーのおもちゃに土を積む息子。ピン!ときた。息子のちいちゃいお手手、このちっっっさい種をつまむのにちょうどいいのではないか。こっちへおいでと息子を呼びこれをこうするのよ、と種を植えてみせ教えてみるとなんと器用にちんまり作業をこなすではないか。2歳の好奇心と集中力、吸収力はあっぱれなものですっかり種植え職人さんになった。

学びながら我が道をゆく決心
2時間半ほどかけて種まきを終えた。水をたっぷりとかけ、にんじんの種を植えた畝だけに保温のために不織布をふんわりとベタがけし、あとは師匠を見習い露地栽培で育ててみることにした。自然のままに害虫や天候の影響をどれだけ受けるかも学びたいし、なるべく資材を使わずして野菜を育ててみたいと夫と共に決めた。超初心者の東京野菜、育つかどうかわからないけれどやってみよう。

ミレーの描いた「種をまく人」はソバの種(有力説)を撒いているらしい。自然の中で一生懸命に、威勢よく身体を動かし働く姿はとても尊く人間の芯からのエネルギーを感じる。わたしたち家族も自然も少なければ日々目まぐるしく時が流れ移り変わる東京の端っこで日々精一杯生き抜いていこう。
008 - つかごん
主婦兼イラストレーター / 東京都 / LEE100人隊
33歳/夫・息子(1歳)・ミニチュアダックス/手づくり部・料理部・美容部/描いたり、つくったり、伝えたりのお仕事をしています。ゆるっと子育てをしながら暮らしと表現のあいだを探る日々を送っています。自分の感覚を大切に「LOVE!」と思った物事を気張らずに綴ってゆければと思っています。つくり手やデザイナーさんの想いがこもっている物や作品が好きです。身長160cm。
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