寿木けい、10作目の随筆集は家づくりと生活の哲学
予約した本の発売日を心待ちにしたのはいつぶりだろうか。そもそも本を予約したことがあっただろうか?webで先行公開されていた序章を拝読し、その胸の高鳴りは増し増しになっていた。「ごはん」を綴っていた著者がその延長線上、はたまた同じ土台といえる暮らしの美、哲学に派生していく軌跡を読むことの虜になっている。
住む、とは。
ここ数年家についてよーく考えている。インテリア、暮らし、移住についての本や雑誌、メディアを隙あらばみていたがどこか表層的であったり、どうもしっくりこないというか。わたしの暮らしではない、というところに落ち着いてしまいなかなかおもしろく思えずにいた。でも『澄んでゆけ住まい』は別物だった。ひとりの女性の住まいあるいは生き様に深く潜るようで、暮らすということについて自分自身が思い描く根源的な部分に問いかけられているような気がして、ドーパミンが出た。せっかく集中して読んでいたのに何かせずにはいられなくなって、部屋の隅っこをせっせと掃除しはじめてしまった。
『澄んでゆけ住まい』を鑑賞する
『澄んでゆけ住まい』の中に描かれる色や質感が心地よい。自然を感じる淡い中間色、重ねたような濃色、絵の具をそのままのせたような鮮やかさも感じるし、そこに差すやわらかくも的を得た白い光の加減がとにかく美しい。それに加えて匂いと湿度をしっかりと感じる。読書の最中、目を閉じひと呼吸するとフィルム写真の現像の最中のようなイメージで寿木邸がたちあがってくるのを何度も確認した。
過去にも未来にも正直な古民家と著者が重なる
寿木さんの審美眼、生きるということを決して他人任せにしない姿勢、そして家と暮らしをつくる事への情熱には憧憬の念を抱かずにはいられない。そして素直な儚さを携えた芯のある美しさにとことん魅了されてしまう。いまのわたしにはあまりにも神々しい遠矢山房へ、いつか自分の足で訪れてみたいと切に思う。歳月を重ねることの尊さ、ひとつの完成された美へ向かう魂の宿へ。
女たるもの、足の指全部に力入れて大地踏み締め気張ってやらねば。精進せねば。と気が引き締まったところで、再び本を開き頭から読み進めた。
008 - つかごん
主婦兼イラストレーター / 東京都 / LEE100人隊
33歳/夫・息子(1歳)・ミニチュアダックス/手づくり部・料理部・美容部/描いたり、つくったり、伝えたりのお仕事をしています。ゆるっと子育てをしながら暮らしと表現のあいだを探る日々を送っています。自分の感覚を大切に「LOVE!」と思った物事を気張らずに綴ってゆければと思っています。つくり手やデザイナーさんの想いがこもっている物や作品が好きです。身長160cm。
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