暮らし発見

『スノードームの捨て方』(くどうれいん)を読んで

  • 008 つかごん

2026.02.20

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あれから10年近く経っているのか

はじめて、くどうれいんさんの作品を読んだのが2018年のこと。東京の青山にあるスパイラルでくどうれいんさんのデビュー作である『わたしを空腹にしないほうがいい』を手に取り、なんてお腹の空く文章を書くのだろうか…!と感動にお腹を鳴らしたのをよく覚えている。そこからすっかり大ファンで、くどうれいんさんの書く五感を刺激する繊細な描写の虜になっている。

エッセイ、短歌のイメージが強かったくどうれいんさんの初の小説作品集とのことでわくわくしていた。もっぱら本は図書館で借りるか、中古で購入することが多かったが、久しぶりにお気に入りの本屋さんで新書として購入した事がよりわくわくを盛り上げた。
カバーのクラフトみを感じる手触り、青い箔押しのタイトル、フラミンゴの入ったスノードームと松ぼっくり。冬の枕元にぴったりだった。

本を開けば胃がきゅーっとなるような、10年前くらいに読んでいたらあまりに身に沁みて倒れてしまいそうな、20代あるいは30代の人生の嬉し悲しい機微がまるで目の前で演劇を鑑賞しているかのように描かれていた。登場人物の服装や仕草の描写が妙にリアルで、どこか自分と重ねてしまう所がぽつぽつあってそこがまた、他人事として突き放せなくってチクチクと心痛かったり。でもすうっとトゲ抜けるときがくることを知っているのが歳を重ねた今であることも含めて、ひょーーーーというなんとも言えぬ気分になった。(思い返しても、ひょーーーー)

結論を急いだり、シュート動画が流行り、ファストな世の中に生きていて「余白の救い」を感じる事が多くなった。正直言ってモヤモヤの残る『スノードームの捨て方』は少し余分に考えを巡らせる時間を与えてくれたし、過去のあの時確かにあった永遠に答えの出ないと思っていた事件たちを鮮明に思い出させてくれた。結局答えなんてないのだけれど。息子がお昼寝する横で一緒に布団に入り手だけカピカピに冷やしながら夢中で読んでしまった。

008 - つかごん

主婦兼イラストレーター / 東京都 / LEE100人隊

33歳/夫・息子(1歳)・ミニチュアダックス/手づくり部・料理部・美容部/描いたり、つくったり、伝えたりのお仕事をしています。ゆるっと子育てをしながら暮らしと表現のあいだを探る日々を送っています。自分の感覚を大切に「LOVE!」と思った物事を気張らずに綴ってゆければと思っています。つくり手やデザイナーさんの想いがこもっている物や作品が好きです。身長160cm。

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