暮らし発見

【カナダで入院17日間・最終回】カナダの病院食と、支えてくれた人たち

  • 016 Umi

2025.12.29

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11月末から12月中旬まで、思いがけず17日間入院していました。

はじまりはインフルエンザA→肺炎をこじらせて水がたまってしまった経験を綴っています。

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病室で迎えた、49歳の誕生日

49歳の誕生日を、病室で迎えました。

朝からナースやドクター、清掃の陽気なおばちゃんたちまでが
「Happy Birthday♪」と笑顔で病室に入ってきてくれます。

その日は、
「そろそろ退院の目処が立つかも」と言われていた矢先に、
「肺の水がまだ抜けきらないから、別の治療をしよう」と告げられた日でもありました。

「全然ハッピーじゃありませんけど。」と、正直、ちょっと凹んでいた誕生日。

「コーヒーご馳走するわよ〜」と、毎日来る清掃係のおばちゃんから声をかけてもらっても、
あんなに毎日飲んでいたコーヒーすら飲みたいと思えないほど、すっかり弱り気味。

「死(4)と苦(9)で49歳か……」

思わずそんな自虐が浮かぶくらい、なかなかにハードな誕生日。←なかなか気に入った自虐ネタ

でも、日本にいる友人から
「女性は7の倍数の年齢は体を壊しやすいって言うし、年内に膿が出せてよかったんじゃない?」
と言われて、少し肩の力が抜けました。

ああ、そうか。

今まで溜め込んできたものを、このタイミングで一気に出す時期だったのかもしれない。

そんなふうに思えるようになったのは、少しずつ元気が戻ってきてからのことです。

カナダの病院食と、ありがたすぎる差し入れ

さてさて、カナダの病院食。興味がある方もいらっしゃるのではないかと。

ある日の朝食:ワッフルスティック、レモンメレンゲグリークヨーグルト、みかん、コーヒー
ある日の昼食:ミネストローネ、サーモンサラダサンドイッチ、コールスロー、チョコチップクッキー、紅茶
ある日の夕食:トマトクリームスープ、ジンジャーチキンライス、グリークサラダ、マスクメロン、デカフェコーヒー

日本の栄養バランスが取れた美味しい回復食とはまったく違っているので、ぜひ楽しんで見てほしいです。ざっくり言うと「機内食」みたいな感じです。

次の日の病院食は、前日までに丸をつけて好きなものを選べるシステム。

もちろん出していただいたものを出来るだけ食べようとしていましたが、
体が弱っている時、食べたいのはやはり日本食…。

本当に本当にありがたいことに、

友人たちが数日おきに手作りの料理を届けてくれて、それをオットがお弁当箱に詰めて病院へ持ってきてくれていました。

ムスメがおにぎりを握って、インスタントお味噌汁を持ってきてくれたり。

まるでお惣菜屋さんみたいに、食べやすく盛り付けてくれた友人も。

時にはわたしの「今日はこれが食べたい」というリクエストに応えて、オットがお気に入りのお店のテイクアウトを持ってきてくれたことも。

いつも美味しそうなものを食べているおかげで、
ナースやドクターから
「今日は何食べてるの?」
「いつもおいしそうだね」
と声をかけられる、ちょっとした有名人に。

ゼリー飲料やインスタントスープなど、さっと口にできる差し入れも本当に助かりました。

娘も、いただいた料理を温めて
保温容器に入れ、学校へ持っていっていたそうです。

最後の週、辛すぎる治療があった日には、友人が豪華なお寿司セットを持ってきてくれて家族三人病室の机で食べたこともあります。久々に家族三人で食事を囲みながら喋りながら食べて、早く家に帰りたいよねって半泣きになりながら食べた記憶も…。

食べることは、生きること。
それを実感した17日間でした。

清拭と洗髪、そしてシャワーの尊さ

ICUで過ごした5日間は、まったく身動きが取れず、ナース2人がかりで清拭と洗髪をしてくれました。

大人になってから、あたたかいタオルで体を拭いてもらうことなんて、なかなかありません。

思わず
「なんだか…プリンセス気分〜♪」と言ったら、笑われたのも今となっては微笑ましい思い出。

個室に移ってからは、
使い捨ての温かいタオルをリクエストして自分で清拭でした。
洗髪も、こんなものを使います。

その名もシャンプーキャップ

この温かいシャンプーキャップをかぶって、数分もみもみするだけで、驚くほどすっきり。洗い流し不要なのです。

それでも。

17日ぶりに自宅で浴びたシャワーの爽快感は、もう、格別でした。フラフラしたけど。



ありがとうを、いくつ重ねても足りなくて

この17日間、支えてくれた人たちへの感謝は、いくつ重ねても足りません。

1日2回、午前と午後。
欠かさず病室に顔を出してくれた夫。

時には病室からオンラインミーティングに参加し、午後は学校が終わった娘と一緒に来てくれました。

娘と2人での生活は、宿題、お弁当、洗濯…
きっと大変だったと思います。

それでも娘は、どこかあっけらかんとしていて、
でもきっと、いろいろ感じて、学んだ17日間だったはず。

忙しい12月にもかかわらず、料理を届けてくれた友人たち。
退院後も、参鶏湯やモツ鍋、栄養たっぷりスープなどなど、体力がつくような栄養たっぷりの食事が続々届き、優しい声がけとともにそれは今も続いています。

クリスマスには、毎年一緒に忘年会をしている友人夫婦から、今年は一緒に過ごせないけれどとお食事と
ケーキを作って届けてくれました(涙)

「遠くの親戚より、近くの…」
そんな言葉が何度も頭をよぎりました。

お米ラバーの私にとって、入院中も退院してからも、だれかの手料理を食べられたことは、
回復の大きな力になったと思っています。

日本にいる家族には、何もできないもどかしさを味わわせてしまいました。
それでも、クリスマスイブに届いた姉チョイスのおいしそうなものに、
心まで温まりました。

美味しくて便利なものがいっぱいの日本ってすごい

無料医療という現実

そしてもうひとつ、今回の入院を通して強く感じたことがあります。

それは、
これだけの高度な医療を受けながら、退院時のお会計が「ゼロ」だったという事実。

カナダでは医療費が基本的に無料です。
正直なところ、
「無料だからサービスはよくない」
「待たされる」「雑だ」
そんなイメージを聞くことも少なくありません。

実際、細かい部分を見れば、
「日本だったら、もっとこうしてもらえたのに」と思うことがなかったわけではありません。

それでも。

今回に限って言えば、症状が悪化してからの対応はとても迅速でした。検査や処置についても待ち時間は一切なし。

あの判断の速さがなければ、私はこうして生きて、家に帰ってくることは
できなかったかもしれません。

無料だからこそ、ではなく、
無料であっても、
ここまで本気で向き合ってくれた医療関係者の皆さんに、心から感謝しています。

深刻な場面でも、カナディアンらしいウィットのある一言でふっと緊張をほぐしてくれたこと。

そのおかげで、どれほど救われたか分かりません。

長くなってしまいましたが、これにて入院生活の記録は終了です。

体重も4キロほど減ってしまい、まだまだ自宅で療養中ですぐに息切れしてしまうのですが、
幸いにも、家族みんなが冬休みでのんびりできています。

まだまだインフルエンザが猛威を奮っているようなので、
どうか皆さんもご自愛して新しい年を迎えることができますように。

016 - Umi

教育系 / カナダ / LEE100人隊

48歳/夫(ポーランド人)・娘(12歳)/手づくり部・料理部・美容部/気づけば、カナダ暮らしも20年。3年目のLEEラストイヤーは、心豊かに、彩りゆたかに。旅やネイル、ワークアウト、発酵生活やおいしいものを通して、海外にいても心の余白を大切に。「丁寧に」、そして「笑顔で」。少しの冒険心とユーモアを添えて、多面的に進化していけたらと思います。読む人の心に、ぽっと灯りがともるような瞬間を届けられますように。パーソナルカラー:イエベ秋 顔タイプ:エレガント 骨格:ナチュラル。

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