暮らし発見

【カナダで入院17日間②】インフルから重症化して水が貯まった肺炎と、その治療

  • 016 Umi

2025.12.27

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娘のインフルAが移り、2時間くらい診てもらってお家に帰ろうと思っていたら、肺炎が重症化→水が貯まってしまい、17日間の入院だったという…カナダでの入院生活を綴っています。

①のプロローグはこちら↑

目が覚めたら、ICUでした

目が覚めたとき、そこはICU(集中治療室)でした。

口の中には管が入っていて、人工呼吸器。
両手はベッドに拘束されていて、
声を出すことも、身振りで伝えることもできません。

眠っている間、人工呼吸器で体に酸素を送り込み、点滴で強い抗生物質を入れて治療が行われていたそうです。

インフルエンザAをきっかけに、溶連菌と肺炎球菌にも感染。
右側の肺に、かなり重い肺炎が起きていました。(あとで聞いたところによると、あと数時間遅かったら、もう手遅れだったとのこと)←全然自覚がない…

少し目が覚めたところで人工呼吸器をオエオエ言いながら引き抜かれ、高濃度酸素のマスクに切り替えたあたりから、ようやく記憶が戻り始めます。

これも今となっては記憶がないのですが、筆談でなにか伝えている様子。

過酷すぎて、記憶がほとんどないICU生活

ICUで過ごしたのは、5日間。

その間、
一度もベッドから動くことはできず、
今となっては、あまりに過酷だったせいか、
記憶がほとんど残っていません。

血圧も、なんとか上が3桁になってはいたけれど、まだ上の数値が2桁の時も。

炎症がひどく、「今日はこれだけね」と渡されたのは、コップ一杯の氷だけ、という日もありました。

それでも口の中がとんでもなく乾燥していたので、命の氷。

それでも不思議と、記憶に残っているのはナースたちの天使のような笑顔と優しさ、温かさばかり。

ICUの個室も、まるでホテルの一室のように清潔で広々としていて、居心地は良かったです。

私が日本人だと分かると、さらに気遣いが増したように感じるほど、
みんなとてもフレンドリーで、日本贔屓。

あの環境の中で、人の温かさに何度も救われていました。

肺の水を抜く、しんどすぎた治療

5日後、ICUから肺科(日本でいう呼吸器内科)へ移動し、個室に。

この時点でもまだ隔離状態で、お見舞いに来る家族は、フェイスカバーにマスクなどなど完全防備でないと部屋に入れないほどでした。

肺炎がこのまま落ち着けば、そろそろ退院の目処が立つはず…
そう思っていたのですが。

胸部レントゲンを撮ると、炎症が強すぎて一部の組織が傷つき、肺に水が溜まっているとのこと。

今度は、
胸に穴を開け、針と管を入れて水を外に出す治療をすることになりました。

この胸に穴を開けて、針と管を肺まで挿れる処置がね(涙)、痛みには強い私ではありますが想像するだけでちょっと怖気づいて、ずっと研修医さんに手を握ってもらって処置してもらいました。

ところが、なかなかドクター達が思っているように水が抜けないまま、数日経過。

次に試したのは、溶解剤を入れて水を抜こう大作戦。

これも1回目はまったく水が抜けず、ドクター達を困らせたのですが、

2回目に溶解剤を入れてようやく反応が出てきました。

ちょっと咳をした途端に、まるで蛇口をひねったかのように、
一気に800ミリリットル以上がジャーっと排水。

慌ててナースコールを押したものの、
意識が遠のき、そのまま気を失いかけました…。

次の日も、朝からCTを撮った結果、まだ水が残っているとのことで、同じ処置をもう一度。

今度は 1.4リットルがものすごいスピードで排水され、
呼吸ができなくなり、
緊急で痛み止めを入れられ、
また意識が遠のく——。

この量が一気に噴き出して、ナースもドクターも慌てふためく。
機械も、「この患者さんものすごい勢いで水抜けすぎですよー」と注意を出すくらい

そんな、もう本当にしんどすぎる処置を繰り返し、
ようやく、ようやく、
退院の目処が立ったのでした。



それでも、なぜここまで重症化したのか

ひとつだけ、どうしても腑に落ちないことがありました。

なぜ、ここまで重症化してしまったのか。

肺科の病棟を見回しても、患者さんはほとんどが高齢の方ばかり。(おかげで、90歳のお友達ができました。)

ドクターたちも首をかしげながら、
「これだけ健康に気を遣っていて、まだ40代。ここまで重症化するのは、エイズ患者かドラッグユーザーくらいなんだよ。正直、おかしい。」

……いや、
それは私が一番聞きたいんですけど???

原因ははっきり分からないまま。

ただ、この病棟で過ごす中で、
怖いことも、驚くことも、
思わず笑ってしまうようなことも、
そして心が温かくなる出来事も、たくさんありました。

ナースのシフト交代が夜23時でも、まるでお祭りのように笑い声とジョークが飛び交っていたり、だから睡眠薬ないと患者さんたち全然寝れない。
夜中に決まって叫び出す隣室のおじさんがいたり、
廊下でケアを受けながら
「たすけてー、たすけてー」と叫び続けるおばさんの声に眠れなかった夜も。

それでも不思議と、
仲良くなったナースが、医者になりたいと夢を語ってくれた時の会話や、娘さんが日本で勉強しているんだと写真を見せてくれたりしたナースとの何気ない会話や気遣いのひとつひとつが、この時間を「ただのつらい記憶」にしなかったのだと思います。

いろいろなことを含めて、
このカナダでの17日間の入院は、これからの生き方を考えるきっかけになるとても大きな経験になりました。

さて、次回は
入院中の食事や、病院で使われていたケアグッズについて、
少し肩の力を抜いて書いてみようと思います。

つづきます♪

016 - Umi

教育系 / カナダ / LEE100人隊

48歳/夫(ポーランド人)・娘(12歳)/手づくり部・料理部・美容部/気づけば、カナダ暮らしも20年。3年目のLEEラストイヤーは、心豊かに、彩りゆたかに。旅やネイル、ワークアウト、発酵生活やおいしいものを通して、海外にいても心の余白を大切に。「丁寧に」、そして「笑顔で」。少しの冒険心とユーモアを添えて、多面的に進化していけたらと思います。読む人の心に、ぽっと灯りがともるような瞬間を届けられますように。パーソナルカラー:イエベ秋 顔タイプ:エレガント 骨格:ナチュラル。

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